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中国残留邦人2世の力強い半生描く『中国・日本 わたしの国』ちと瀬千比呂監督公開直前インタビュー

Record China    2014年6月19日(木) 18時10分

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19日、中国残留邦人2世の女性が、時代に翻弄されながらも力強く生きていく半生を描くドキュメンタリー映画『中国・日本 わたしの国』が、6月21日よりユーロスペースにて公開される。

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2014年6月19日、中国残留邦人2世の女性が、時代に翻弄されながらも力強く生きていく半生を描くドキュメンタリー映画『中国・日本 わたしの国』が、6月21日よりユーロスペースにて公開される。公開前に今作がデビュー作であり、自主制作で第1回水戸短編映像祭グランプリを獲得したちと瀬千比呂監督の公式インタビューをご紹介する。

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ちと瀬監督は、原一男監督主宰の「CINEMA塾」を経て、篠原哲雄監督、黒木和雄監督の助監督を務め劇映画への道を模索していたが、デビュー作はドキュメンタリーに回帰することになった。公開初日には、ちと瀬千比呂監督と共に山形国際ドキュメンタリー映画祭の桝谷秀一理事が舞台挨拶に登壇予定となっている。

――ドキュメンタリーとして山田静さんを撮ろうと思ったきっかけは何ですか?

たまたま本作のプロデューサーが、静さんの運転するタクシーに乗ったのがきっかけです。1時間ほどの道中、静さんが自身の半生を、延々としゃべり続けられたのだとか。その後、私が駆け出しの頃に原一男監督(「ゆきゆきて、神軍」など)の所に居たというのをプロデューサーが知って、私に静さんを紹介してくれたのだと思います。

――山田静さんのどこに魅力を感じましたか?

静さんを「社会主義の申し子」といっても過言ではない人だからです。自らに重きを置くよりも他人の笑顔こそが喜びと、心から思っている人だからです。ですから自然と静さんの周りには、多くの人たちが集まって来ます。当然、それ故の困難も彼女には降り掛かってくるわけですが、それにもめげず、他人を思い続けることができる人だからです。経済至上主義の日本人に、最も欠けているものを彼女が持っているからです。

――この映画は山田静さんという一人の女性を通して日中関係や女性の立場を描いていると思いますが、監督が一番重きをおいているテーマはなんですか?

「日中友好のプロパガンダ映画を撮るわけじゃない」と、強く自分に言い聞かせていたこと、あえて言えばそれがテーマです。とにかく、筋道を立てず無心に静さんを撮り続けること。そうして撮れた素材の声に耳を傾け、それに従い絵と絵を繋ぐ、それが本作の編集方針でした。

――影響を受けた映画監督は誰ですか?

編集作業の際、佐藤真監督の「ドキュメンタリー映画の地平」と、松川八洲雄監督の「ドキュメンタリーを創る」の2冊は、肌身離さず持っており、以下の文章などは呪文ごとく唱えておりました。

ドキュメンタリー映画とは<事実の断片>を集積し、その事実の持っていた意味を<再構成>することで<別の意味>が派生する【フィクション】のことだ。そのフィクションは、<当の現実>に対する何らかの<批判>とならねばならない。(佐藤真)

ぼくにとって映画とは<映像で語る>あるいは<映像によって表現する>芸術に他ならない。いいかえるなら原則的に言葉を必要としない芸術である。もっといえば【言葉や文字によって置き換えることの不可能な表現】である。(松川八洲雄)

――ちと瀬監督は日中友好のためには何が必要だと思いますか?

「国を知る」とは結局、「その国の人を知る」ことだと思いました。静さんは厳密に言えば、日本に帰化されているので、中国人ではありませんが、生まれてから青年期までを中国で過ごされていますので、やはり中国の人です。その静さんを好きになって行くと、必然的に「中国」にも魅せられて行くわけです。日中にかかわらず友好に必要なのは「その国の人を、まずは知ること」だと思っております。

――最後にこれから作品を見ていただく観客の皆さんへ一言お願いします。

「苦難こそが生きる糧」。そう考えているとしか思えない、静さんのバイタリティーを堪能して頂ければ幸いです。

監督は本作について「ドキュメンタリーの枠で撮らない『映画』として撮った」とおっしゃっていたが、本作は山田静さんという一人の女性の魅力と生き様を隅々まで描いた劇映画とドキュメンタリー映画の境界線をなくすような『映画』であるといえるだろう。(編集/武藤)

『中国・日本 わたしの国』(2013年/日本/HD撮影/DCP)

(c)2013パル企画

監督:ちと瀬千比呂

主演:山田静

山形国際ドキュメンタリー映画祭2013正式出品

2014年6月21日(土)より、東京ユーロスペースほか全国順次公開

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