中国江西省の幼稚園で3日午前に発生した9人が殺傷された事件について、中国メディアの九派新聞はこのほど、同事件に関する論評記事を掲載した。

安福県公安局によると、3日午前10時22分、安福県にある私立幼稚園で男が3人を殺害、6人を負傷させる事件が発生した。江西省吉安市安福県委員会宣伝部が九派新聞の記者に伝えたところによると、同日中に容疑者の男は逮捕された。

記事は、「容疑者はなぜ多くの罪無き子どもに凶悪な手をかけたのか。その動機については警察のさらなる調査が待たれている。しかし、この極めて悪質な事件が人々にもたらした心理的な衝撃を過小評価することはできない」とし、「まだ花盛りの時代にいる子どもたちは、本来楽しくて憂いのない幼少期を享受するべきだ。それなのに、この横暴な災いによって、心身ともに形容しがたいダメージを受けた」と述べた。

また、「このような凶悪事件の発生は、多くの人に“自分の身に降りかかったら”と考えさせた。もし自分たちの子どもが“他人の暴力にさらされる可能性がある環境”に置かれているというならば、恐怖に襲われる大くの人々を生み出し、誰もが戦々恐々とした世情によって、その地域の社会の治安、都市のイメージ、人々の安住などに不可逆的なマイナス効果をもたらすだろう」として、今後の対応と同様の事件の再発防止策について述べた。

記事は、「ある専門家は『リスク感知』『リスク受容力』『効果的な安全管理による安全環境の構築』を、人々の安心感を確立する3つの防御線としている」と紹介。「人々の安全に関して言えることは、女性、高齢者、子どもは弱者に分類されており、彼らが凶悪事件に遭えば社会感情はさらに激しくなるだろうということだ」とし、6月に河北省唐山市の焼肉店で起こった女性に対する暴行事件や今回の事件が全国的に注目された原因でもあるとした。「明らかに、個人のリスク受容力だけでは、このような極めて悪質な事件がもたらす結果に耐えられない。地方の司法機関はできるだけ早く事件の真相を明らかにし、暴力を振るった者を法で裁き、法律の『悪を必ず罰する』制度の強さを示す必要がある」と述べた。

その上で、「極めて悪質な事件に対して応急の対策だけでは十分ではない。人々が必要としているのは、より系統的で効果的な社会管理システムや全体的な安全環境の建設である」とし、事件が起こった幼稚園について「容疑者はなぜ簡単に園内に入ることができたのか。幼稚園には十分な警備員が配置されていたのか。部外者が幼稚園に入るのに必要な審査はなかったのか」との疑問点を提示。「園内の治安と全体的な社会管理システムをいかに改善し、極めて悪質な事件が発生する確率をいかにして最大限減らすのか。これらの疑問にも関連部門が対応する必要がある」と述べた。

さらに、「確かに今回の極めて悪質な事件の発生は、ある程度の予測不可能性を持っている。しかし、園の安全対策が無意味であることを意味するものでは決してない」とし、「個々の事件からその内因を模索し、特に社会（の安全）管理に存在している可能性のあるさまざまな機能不全の部分を反省し、管理の欠陥を補うことは、公共安全保障システムの持つべき意義である」とした。

記事は、国務院弁公庁が2017年4月28日に発表した「幼稚園・小中高等学校の安全リスクの防止と抑制システム建設の強化に関する意見」の規定を引用。同意見は、「キャンパスの防犯カメラシステムと緊急警報装置を公安機関や教育部門の監視または警報プラットフォームに接続し、公共安全防犯カメラネットワーク共有プラットフォームと連結し、キャンパスのオンライン安全パトロールシステムを段階的に構築し、学校の安全に関する問題を速やかに把握し、迅速に処理しなければならない。緊急通信及び情報プラットフォームの構築により、公安機関がより短時間で出動できるようになり、より多くの子どもの命を救うことができる。これらの措置は現地のキャンパスで普遍的に実行される。国民もその実効性を見たいと望んでいる」としている。

記事は、「『幼稚園で凶行が起こり、人が傷つく悲劇』の再発を回避するにはどうすればいいのか」について、「明らかなのは、『常態化された園のセキュリティー』の構築を加速することだ。事件発生後、地元や他の地域の関係者や学校は教訓を十分に汲み取っている。さまざまな管理上の脆弱性を解消するため、園内の必要な安全保障人材の配置、情報迅速対応プラットフォームなどの面で建設を拡大することで、突発的なリスクをより効果的に防ぐ園を構築し、子どもたちと保護者の安心感をより保障できるようにする。これも各地の教育部門や公安部門など複数の部門が連動し、より効果的な回答を出す必要があるものだ」と指摘した。（翻訳・編集/刀禰）