【特別寄稿】新型コロナワクチン、「安全性」をめぐる最新事情

Record China    2022年7月19日(火) 6時40分

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7月13日、東京都の新規感染者数が1万人を超えた。全国でも7万人を超え、最大の感染者数を出した第6波に迫るスピードだ。

倉澤治雄(科学ジャーナリスト)

7月13日、東京都の新規感染者数が1万人を超えた。全国でも7万人を超え、最大の感染者数を出した第6波に迫るスピードだ。一方で7月13日現在、死者数は第6波のピーク時の10分の1程度にとどまっている。全世界ではこれまでに5億5000万人以上が感染し、600万人以上の死者を出している。

東京大学医科学研究所の佐藤佳教授によると、「BA.5」と呼ばれるオミクロンの変異株は、従来のオミクロン株に比べて病原性が高い可能性がある。佐藤教授のグループは変異株に関する世界最強の研究拠点で、これまでにもワクチンがオミクロン株に「ほとんど効果がない」ことなどを明らかにしてきた。コロナの波はまだ収まる気配がない。佐藤教授は「今後もBA.6、BA.7と新たな変異株の出現が続くと考えられる」と語っている。


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬としては「抗ウイルス薬」「抗炎症薬」「中和抗体薬」の3種類が開発されている。「抗ウイルス薬」としては「レムデシビル」「モルヌピラビル」「パキロビット」、「抗炎症薬」としては「デキサメタゾン」「バリシチニブ」「トシリズマブ」、「中和抗体薬」としては「ロナプリーブ」「ソトロビマブ」が承認されているほか、複数の経口抗ウイルス薬と中和抗体薬が臨床試験に入っている。

国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、「ウイルスの増殖を抑える薬と過剰な免疫を抑制する薬で、酸素が必要な患者に対する治療法はほぼ確立された」と語る。事実、ウイルス変異株の弱毒化や治療法の確立により、新型コロナによる致死率は2020年5月の7.2%から、現在では0.1%程度にまで下がった。

しかし「特効薬」がないことも事実である。このため政府は引き続きワクチンの接種を勧めている。これまでに2回接種を終えた人は全人口の80.9%、3回目の追加接種を終えた人は62.2%となっている。とくに65歳以上では2回接種が92.7%、3回接種が90%と高い接種率を記録しており、政府は4回目の接種を勧めている。

一方、ワクチンの安全性については臨床現場の医師から疑問の声が上がり始めた。通常、新しいワクチンの開発には「有効性」と「安全性」を確認するため、10年の歳月と1000億円の資金が必要と言われている。しかしCOVID-19では「ワープスピード作戦」のスローガンのもと、わずか1年で開発・承認された。

国立感染症研究所でワクチンの安全性研究を行っていた元研究者は、「従来ならファイザー、モデルナのmRNAワクチンやアストラゼネカのウイルスベクターワクチンが1年で承認されることはなかったでしょう」と語る。

COVID-19のワクチンとして世界保健機関(WHO)が認めているのは従来の手法で作られた「不活化ワクチン」、実績のある「組み換えタンパクワクチン」、それに「遺伝子ワクチン」である。「遺伝子ワクチン」には「mRNAワクチン」「ウイルスベクターワクチン」がある。

「不活化ワクチン」を製造するのは中国のシノファーム、シノバック、インドのバーラト・バイオテクである。「組み換えタンパクワクチン」は米ノババックスと、ノババックスと技術提携するインドのセラム血清研究所が製造する。

一方、「mRNAワクチン」はファイザー/ビオンテクとモデルナ、「ウイルスベクターワクチン」は英アストラゼネカ、セラム血清研究所、米ジョンソン&ジョンソン、ロシアのガマレア研究所、中国のカンシノが製造する。

問題となっているのはファイザー/ビオンテクとモデルナが開発したmRNAワクチンである。厚生労働省の発表によると、ファイザー/ビオンテクとモデルナのワクチンを接種後に死亡した人の数は今年6月までに1760人に達した。しかもこの数字は氷山の一角である。新潟大学名誉教授で『大丈夫か、新型コロナワクチン』の著者である岡田正彦医師は語る。

「私の施設でもワクチン接種後に不自然な亡くなり方をした方たちがいます。しかし厚労省に報告するシステムがないので報告しませんでした。接種後の死者数は厚労省の発表よりはるかに多いと思われます。コロナで亡くなる方よりも、ワクチン接種後に亡くなる人の方が多いというのが私の実感です」

厚労省はワクチン接種と死亡の因果関係について、一貫して「不明」としたままだが、現場の医師からは様々な声が上がっている。「東北有志医師の会」は米国疾病対策予防センター(CDC)のデータを引用して、ワクチン接種によって免疫不全が増えている現状を訴える。またカナダ全土のデータから、3回目接種を終えた人の方が、未接種者より感染する確率や死亡する確率が高いことを明らかにした。その上で「4回目の接種は受けるべきではない」と警告を発している。

一方、開業医としてワクチン後遺症の診療に当たる長尾クリニックの長尾和宏医師によると、接種後に寝たきりになった子ども、まっすぐ立てなくなった子どもなどが次々に病院を訪れているという。『ひとりも死なせへん』の著者でもある長尾医師は「これは副反応ではありません。ワクチン後遺症です」と語る。

ワクチンのリスクから子供を守るため、医師、地方議員、法律家らで作る「子どもコロナプラットフォーム」が設立された。

「安全性」が確立していないワクチンの子どもへの接種は、極めて慎重に行うべきことは当然である。そもそもCOVID-19による20歳以下の死者数はほとんどゼロである。


ファイザー/ビオンテクのワクチンは今年2月から5歳から11歳への接種が始まったが、6月までに重篤な副反応が23件、接種後の死亡が1件発生している。厚労省は副反応として心筋炎・心膜炎、アナフィラキシーの他、痛み、倦怠感、かゆみ、発熱などを挙げている。とくに心筋炎・心膜炎は若い人に多く、10代ではファイザー/ビオンテクが100万人に15.66人、モデルナが81.79人となっている。

「北海道有志医師の会」の藤沢明徳医師は、「子どもたちの未来を守るために、大人たちが立ち上がる時です」と語る。藤沢医師は『子供へのワクチン接種を考える』の著者でもある。

子どもへの接種に対する反対運動は欧米でも続いている。米国では医師や法律家、研究者で作る団体「STOP THE SHOT」などを中心に、接種義務化に反対する動きが活発化している。今年1月の集会では全米1万7000人もの医療関係者が、子どもへの接種に反対する声明に署名したことが明らかにされた。医師グループは「ワクチン接種が健康な子供たちの心臓、脳、生殖機能、そして免疫に取り返しのつかないダメージを与える」と警告している。

また米国CDCの統計によると、接種後に日常生活が送れなくなった子どもの比率は7.4%、学校に通えなくなった子どもの比率が10.9%に達したことが明らかとなった。9人に一人が学校に通えない状況は尋常ではない。


さらに米国、英国を中心に、欧米で小児の急性肝炎が発生しており、従来小児の急性肝炎は罹患率が極めて低いとされていることから、WHOは注意を呼び掛けている。罹患した小児からアデノウイルスが検出されていることから、関係が疑われている。医学雑誌「肝臓学」や米国メディアなどでは、新型コロナワクチン接種との関係が「疑われる」とする論文や記事が掲載されているが、日本の専門家は「患者の大部分はワクチン接種を受けておらず、関連は示されていない」と語る。

一方ワクチンの「有効性」についても疑問の声が上がっている。ある研究者は「免疫の機能は個人差が大きく、ワクチンの有効性が90%を超えることなどあり得ません」と語る。英国医師会が発行する雑誌『British Medical Journal』は「有効性」を示す研究や論文が、ファイザーの資金と研究者によって行われたことを指摘、隠されているデータを「今すぐに明らかにすべき」との論文を掲げた。英国ではワクチンが女性の生理などに与える影響などが問題となっている。

米国政府の首席医療顧問で国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は今年6月、COVID-19に感染したと発表した。ファウチ所長はワクチンを2回接種した後、さらに2回の追加接種を受けていた。

そのファウチ所長は著名な医学雑誌『New England Journal of Medicine』にウイルスとワクチンの「イタチごっこ」に終止符を打つため、「ユニバーサル・ワクチン(万能ワクチン)」を開発すべきだとの論文を寄せた。ファウチ所長が描く「万能ワクチン」は妊婦にも「安全」で「変異」に強く、すべてのコロナウイルスに効果があるワクチンである。米国ではすでにカリフォルニア工科大学で動物実験が始まっているほか、日本でも医療基盤・健康・栄養研究所やNECなどが研究を開始した。

ワクチンは健康な数多くの人々に接種することから、治療薬とは比較にならないほど高い安全性が求められる。mRNAワクチンやDNAワクチンなどの遺伝子ワクチンは人類がこれまで経験したことのないワクチンだ。子どもへの中長期的な健康影響は依然不明なままである。パンデミックの発生から2年半、次の流行に備えるためにも、ワクチンの「安全性」について、一度立ち止まって考えるべき時が来たと言えるだろう。

【倉澤治雄氏プロフィール】 1952年千葉県生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業。フランス国立ボルドー大学第三課程博士号取得(物理化学専攻)。日本テレビ入社後、北京支局長、経済部長、政治部長、メディア戦略局次長、報道局解説主幹などを歴任。2012年科学技術振興機構中国総合研究センター・フェロー、2017年科学ジャーナリストとして独立。著作に『原発爆発』(高文研)、『原発ゴミはどこへ行く?』(リベルタ出版)など。


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