人民網日本語版 2022年5月31日(火) 22時30分
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世界保健機関は現地時間29日に感染症関連情報を発表し、サル痘について、世界全般の公衆衛生に「中程度のリスク」があるとの見解を示した。資料写真。
世界保健機関(WHO)は現地時間29日に感染症関連情報を発表し、サル痘について、世界全般の公衆衛生に「中程度のリスク」があるとの見解を示した。新型コロナウイルスが大流行する中、サル痘の国を跨ぐ感染拡大、強いヒト−ヒト感染の特性が世界的に注目されている。
北京協和病院感染内科の李太生(リー・タイション)科長は30日、「今回のサル痘の大陸をまたぐ流行にはさまざまな潜在的原因がある。個体の特徴および行動モデルによる特定グループ内での流行、ウイルス変異による感染力の強化といった要因以外にも、天然痘ワクチンの接種中止後のサル痘ウイルスへの免疫力の低下も原因として考えられる」と述べた。
李氏によると、世界で天然痘ワクチンの接種が中止し、過去40年近くにわたり未接種者が増加しているのに対し、接種済みの人の特異的免疫が時間の経過に伴い弱まっているため、サル痘にかかりやすい人が増え続けている。
中国では今のところサル痘の感染者が報告されていない上、野生動物から、または入境検疫でウイルスが検出されていない。李氏によると、海外旅行と貿易の再開により、中国に感染者が入国してくる可能性がある。そのため水際対策を強化すると同時に、規範的なモニタリング体制を構築する必要があるという。
■複数種類のサル痘早期診断遺伝子検査技術を確立
中国は現在すでにサル痘早期診断に使用できる複数種類の遺伝子検査技術を確立しており、サル痘ウイルスのスクリーニングを急速に実現できる。中国疾病予防管理センターウイルス予防管理所の譚文傑(タン・ウェンジエ)研究員によると、例えば、定量リアルタイム蛍光ポリメラーゼ連鎖反応検査技術の場合、3時間内にサル痘ウイルスの早期スクリーニングと診断が可能だ。新世代シーケンシング方法と結びつけると、24時間内に検体がサル痘ウイルスかその他のウイルス(例えば天然痘ウイルスや牛痘ウイルスなど)かを判断でき、そしてサル痘ウイルスの出処と感染経路の分子トレースが可能だ。
譚氏はさらに、「中国疾病予防管理センターはすでに『サル痘感染緊急処置技術プラン』を策定し、サル痘分子検出試薬を確保するとともに各省・自治区・直轄市の疾病予防管理専門人員を対象にサル痘PCR検査訓練を実施済みだ」と述べた。
■100万回分のワクチン緊急接種が可能
李氏によると、天然痘ワクチンのサル痘予防効果が約85%にのぼることがこれまでの研究で分かっている。アメリカ食品医薬品局も2019年に、第3世代弱毒化天然痘ワクチンによる成人の天然痘及びサル痘の予防を承認した。譚氏も、天然痘ウイルスとサル痘ウイルスの相似性が交差免疫を形成するため、高感染リスクグループもしくは輸入感染症がある地域の人々を対象に、リスクの研究・判断を行った上で需要に基づき適時緊急接種を行えるとの見方を示した。「中国は長期的に天然痘ワクチンの緊急備蓄を行っており、いつでも100万回分ほどの天然痘ワクチンの緊急接種が可能だ」と譚氏。
中国ワクチン業界協会の封多佳(フォン・ドゥオジア)会長は、「中国がサル痘ワクチンを開発するかはまだはっきりしないが、必要であれば技術的にはそれほど難しくない。関連技術は数十年前からあり、現在はそれより進んでいるはずだ。研究開発が必要かについては、具体的な状況を見てから決める必要がある」と答えた。
吉林大学生命科学学院の姜春(ジアン・チュン)教授は、「現時点でサル痘感染を過度に懸念する必要はない。一般の人は密集を減らし、マスクを着用し、こまめに手洗いをし、野生動物との接触を避け、生肉を食べないことで感染リスクを効果的に下げられる」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/YF)
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