中国新聞社 2022年4月2日(土) 21時30分
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英国人ミュージシャンで、世界に向けて中国の民族音楽の普及活動をしているシャーテンさんが、中国の民族音楽について感じていることを語った。写真は貴州省などに多く住むミャオ族の踊り。
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中国は歴史が長く国土が広いだけに、古くから伝わる民族音楽も多い。また、人口の大部分を占める漢族だけでなく、それぞれの少数民族も特色がある音楽を伝えている。英国人ミュージシャンのシャーテンさんはこのほど、中国メディアの中国新聞社の取材を受け、中国の民族音楽について感じていることを語った。以下は中国新聞社の解説とシャーテンさんの言葉に若干の説明内容を追加するなどで再構成したものだ。
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■中国にも英国にも多種多様な民族の伝統音楽がある
中国ではさまざまな民族が、それぞれの民族音楽を伝えてきた。現在では民族音楽や民族歌舞に新たな演出を施して披露されることも多い。それらの音楽や歌舞が、国際会議やその他の国際的なイベントの場で演じられて、多くの外国人が接することも珍しくない。中国音楽や中国の歌舞の外国人ファンも増えてきた。シャーテンさんは英国のロンドン生まれのミュージシャンだ。打楽器を教えてもいる。中国に20年以上も住み、中国音楽を世界に広めようと努力している。
シャーテン:「私が中国文化に魅了されたのは、本を読むことが多かったからかもしれません。あるいは、映画の影響かも。『とっても面白い』と思って、中国語を学ぶことに決めたのです。深く考えたわけではありません。20年以上も中国で暮らすことになるとは、思いもしませんでした」
中国には56の民族が存在する。自らの言語や民族楽器、歌謡形式を持つ民族も珍しくない。英国にもイングランド人、ウエールズ人など複数の民族があり、それぞれに独特の音楽を伝えている。
シャーテン:「英国を代表する楽器としては、例えばバグパイプがあります。スコットランドのバグパイプです。撥弦楽器(弦を弾いて奏する楽器)や吹奏楽器もいろいろあります。それからバイオリン類です。打楽器もあります。アイルランドには打楽器が比較的多いですね」
■伝統音楽は「発掘される」ことを待っている
英国でも、現代風のポップスなどが流行したことで民族音楽が下火になった。しかし、「ワールド・ミュージック」という新たな概念の分類が登場すると、自らの伝統音楽が「世界各国に存在する音楽の一つ」として見直されるようになった。
シャーテン:「英国では以前から、都会に住む人が(田舎に伝わる)民謡を発見して、その民謡が流行する。しかし、しばらくすると忘れられてしまう。そして、都会の人がまた(別の)民謡を発見して流行する。そんな歴史が繰り返されてきたように思います」
中国、そしてシャーテンさんが住む雲南省の民族音楽も「発見者」を必要としていた。シャーテンさんは1998年に雲南に移り住んで、現地の少数民族の音楽文化の研究をするようになった。そして長期間にわたって、中国の民族音楽を世界に広めている。
シャーテン:「民族音楽を聴くことは流行音楽を聴くのとは違うと思います。ただ素晴らしい音楽を聴いているだけではないのです。伝統を鑑賞しているのです。あなたが聴いている音楽の背後には、何百年も何千年もの歴史があるのです。私は民族音楽を聴く時、いま響いている音を耳にしているだけでなく、一つの世代から次の世代へと受け継がれてきた状況を想像します」
■民族音楽を、もっと多くの人に聴いてもらうには
中国では、民族音楽が極めて重視されてきた。中華人民共和国が成立して間もない時期から、自国の民族音楽の調査研究や、演奏法や歌唱法の研究、楽器改良、教育などが文化政策の一貫として行われてきた。また、民族音楽の特徴を生かし、主に伝統楽器で演奏する楽曲の創作活動も熱心に行われてきた。
シャーテンさんは、新たな民族音楽楽曲の創作などで、ポップスなどの要素も取り入れてほしいと願っている。多くの人が容易に親しめる楽曲が増えることが、民族音楽の世界を知ってもらうために、まずは有効と考えるからだ。
シャーテン:「雲南の民族音楽でも、まずは誰かに『いい音楽だな』と思ってもらうのです。多元化して、多くの楽器を使い、いろいろな歌い方をする。いろいろとそろえる。多くの人が興味を持っていくことになるでしょう」
シャーテンさんは同時に、少数民族の若者に自分の民族の伝統的な音楽を学んでほしいと考えている。
シャーテン:「雲南の(さまざまなジャンルの)優秀な音楽家の多くは少数民族です。ですから私は、彼らがそのエネルギーの一部を使って、伝統的な音楽をやってほしいと願っています。私はそのような目標のために、全力で取り組んでいます」(構成 / 如月隼人)
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