米国は「人権の守り手」という仮面の下に、何を隠しているのか

中国新聞社    2022年3月11日(金) 5時20分

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中国でこのほど、中国政府が発表した「2021年 米国の人権侵犯報告」を紹介する記事が発表された。写真は米サウスダコタ州ラシュモア山。左からワシントン、ジェファーソン、T.ルーズベルト、リンカーンの像。

中国中央政府で広報などを担当する部署の国務院新聞弁公室は2月末、「2021年 米国の人権侵犯報告」と題するリポートを公表。中国メディアの中国新聞社はこのほど、同リポートの内容を紹介する記事を発表した。以下は同記事に、若干の説明内容を追加するなどで再構成したものだ。

■米国では「最も基本的な人権」がないがしろにされている

米国は「人権擁護者」と自称しているが、その仮面の下には隠された三つの真実がある。その第一は、基本的人権をないがしろにしていることだ。

最も基本的な人権とは、生存権であり健康権だ。前例のない感染症の流行に直面している状況では、民衆の生存権と健康権を守ることがとりわけ重要だ。しかし、新型コロナウイルス感染症が爆発的流行に見舞われた米国では、感染症対策が極度に政治化された。党派と党派が泥試合を繰り広げ、互いに相手の主張を否定しあった。感染症対策は政治上の敵対勢力に対抗するためのカードになった。政治家は、自らの政治上の利益だけに注目し、民衆の生命と健康を無視した。南カリフォルニア大学とプリンストン大学の研究によれば、新型コロナウイルス感染症により、米国人の平均寿命は1.13歳短くなった。第2次世界大戦以来の最大の減少幅という。

米国の建国時、アダムス、ジェファーソン、フランクリンなどの「国父」らは「独立宣言」に、「すべての人は平等に創造され、創造主よって特定の譲ることのできない権利を与えられている。それらの権利の中には生命、自由、および幸福の追求が含まれる」という荘厳な言葉を書き込んだ。それから200年以上経った現在、米国は世界で最も先進的な医療機器と技術を持ちながら、新型コロナウイルスの感染者数と死者数が世界で最も多い国だ。

さらに、USAトゥデー紙(電子版)によると、米国の警察は年間約1000人を射殺している。ジョージ・フロイドさんが警察官の暴力によって殺害された後の1年内に、米国では数百人のマイノリティーが公務執行の際に殺された。今日の米国では、誰にとっても「生きる」こと自体が容易でない。「米国は平等な社会だ」は妄想に過ぎない。

■米国式民主主義は「金持ちのゲーム」になり下がった

2021年初めには米連邦議会が占拠された。同年半ばにはアフガニスタンの「民主主義実験」が失敗に終わった。米国の民主主義制度の欠落と欠陥が、かつてないほど鮮明になった。民衆の公民権や政治的権利はなおさらのこと、「見た目が美しい」だけの絵に描いた餅になり下がった。

マサチューセッツ工科大学の名誉教授で、政治評論家及び社会活動家であるノーム・チョムスキー氏によると、米国人の政策立案に対する影響力と財力との間には関係がある。約70%の米国人は政策立案に何の影響も与えていない。所得水準や財力で劣っていれば、参政権を剥奪されたも同様だ。ワシントンD.C.に本拠を置くピュー研究所によれば、米国国民の政府に対する信頼度は1958年以来の最低水準に落ち込んだ。一方で、異なる党派の支持者間に深刻な溝があるとする米国人回答者の割合は90%に達した。

米国は「民主主義で世界を照らす」役割りを自任してきたが、今や米国式民主主義は「金持ちのゲーム」と化した。米国メディアも「米国が多くの問題に直面するようになって、人々は、自国が民主主義の代弁者として適格に機能できるかどうかに疑問を持つようになった」と認めざるをえない状況だ。

■米国人研究者も「他国との付き合い方を再考する必要」の声

「人権擁護者」の仮面をつける米国は、自国内の人権問題で非難されるだけでなく、一部の行為は世界の人権問題への取り組みに脅威と損害を与えている。

米放送局のNBCは、米国では2021年3月以降の半年間で少なくとも1500万剤の新型コロナウイルス用ワクチンが廃棄され、多くの貧困国が自国国民のために準備できたワクチンをはるかに上回る量のワクチンを無駄にしたと報じた。すなわち米国の振る舞いによって、貧困国の民衆の「生存権」や「健康権」が損ねられも同然だ。アフガニスタンにおける米国の20年間の軍事行動では、累計3万人以上の民間人を含む17万4000人が死亡した。すなわち、民間人を含む膨大な人々の「生存権」が葬り去られたされたことになる。

国際関係学を専門とするハーバード大学のスティーブン・ウォルト教授は、「(米国は)国内の問題をまず解決した上で、世界の他の国々とどのように付き合うかを再考せねばならない」と述べた。今日の米国はもはや、周囲から見上げられる高山のような存在ではない。仮面を脱ぎ捨てて、自分自身の真の姿と向き合う時が来ている。(構成 / 如月隼人

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