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中国が「農業農村近代化計画」公布、「共同富裕」を促進

内藤 康行    2022年2月28日(月) 21時50分

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中国国務院はこのほど、農業と農村の近代化を促進するための「第14次5カ年計画」を発表し、戦略的方向性、主な目標、主要な任務および政策措置を包括的に策定した。写真は中国の農村。

「三農(農業、農村、農民)」の近代化構築は中国の最優先事項だ。先日、国務院は農業と農村の近代化を促進するための「第14次5カ年計画」(以下「計画」)を発表し、戦略的方向性、主な目標、主要な任務および政策措置を包括的に策定した。「第14次5カ年計画」期間中の農業と農村の近代化を促進するため、経済および社会的発展とバランスを基軸に農業と農村地域の支援と保障を強化し、農民の生活水準を向上させるとしている。

「計画」では、中国の特徴を備えた農業と農村地域の近代化を促進するために、10の戦略的方向性を遵守しなければならないとしている。管理システム、小規模農家の近代化、農業技術と設備を強化し、また農業産業チェーン全体の発展を促進し、農村整備を強化、革新する。また都市部と農村部の統合発展、農業と農村部の持続可能な発展を促進し、農民と農村部の「共同富裕」を促進させるとしている。

「計画」では7つの発展タスクを掲げる。

1.農業生産の基盤を強化、穀物貯蔵と技術を促進し実施し、重要な農産物の供給安全レベルを改善する。

2.イノベーション主導の開発では、農業の科学技術革新をさらに促進し、管理メカニズムを改善し、優良品種の確保、品質改善、ブランド構築、標準化された生産を促進する。また農業の質量と効率、競争力を改善する。

3.農村産業システムの近代化を構築し、農村地域における一次、二次、三次産業の統合を加速し、地域の産業チェーンを維持し、雇用機会と付加価値を生みだす。農民への産業チェーン、そして産業チェーンとサプライチェーンの近代化レベルを改善する。

4.交通手段の利便、生活の利便、サービス品質の向上、環境に焦点を当て、住みやすくビジネスに直結する農村建設活動を実施する。

5.農村の環境文化構築を強化し、農村の生産とライフスタイルのグリーンによる低炭素改革を促進する。

6.郷村整備を強化改善し、党指導の下で自治、法の支配、道徳を組み合わせた郷鎮統治システム構築を加速させ、文化と調和のとれた郷村を構築する。

7.貧困撲滅の拡大を進め、農村の活性化と貧困から脱出を目指す。

2025年までに、農業基盤をより強固にし、農村活性化戦略を推進し、農業と農村地域の近代化において重要な進歩が見られるようにする。農業や農村の近代化を実現し、貧困緩和の統合と拡大で農村の活性化と効果を実現する。

これまでの実績内容:

穀物などの重要な農産物の供給を効果的に保障する。穀物の総合生産能力を着実に改善されており、生産量は6500億トンを超え、穀物は基本的に自給自足状況にある。食糧配給は完全に保障されている。生豚の生産能力は整備と改善が進み、綿花、種子油、砂糖作物、水産物は着実に発展しており、その他の重要な農産物は合理的なレベルの自給自足を維持している。

農業の質量、効率、競争力の向上。農業生産構造と地域構造が大幅に最適化され、材料、技術、設備条件が継続的に改善され、規模化、集約化、標準化、デジタル化のレベルに改善された。グリーンで高品質の農業の供給能力の向上で近代的農村産業システムが基本的に形成された。

農村のインフラ建設において新たな進歩が見られた。郷村建設活動は結果を挙げ、郷村構造はさらに最適化された。農村生活施設は継続的に改善され、都市部と農村部の基本的な公共サービスの平準化は着実に改善された。

農村の生態環境は大幅に改善された。農村部は全体的に生活環境が改善され、農業の面源汚染が効果的に抑制され、化学肥料や農薬の使用が減少した。資源利用効率が改善され、農村部の生産とライフスタイルは低炭素型へと向かっている。

郷村整備能力がさらに強化された。党組織が主導する農村基層組織の建設が大幅に強化され、農村整備システムがより完全に近づいている。農村の慣習と文化が大幅に改善された。

農村住民の収入は着実に増加した。農民所得を増やすための経路は継続的に拡大されており、農村住民の一人当たり可処分所得の伸びは基本的にGDPの伸びとシンクロナイズしている、都市住民と農村住民の所得格差は縮小している。農民の科学的・文化的質量と雇用スキルはさらに向上し、質の高い農民群が日々成長している。

貧困緩和の成果が拡大した。貧困緩和政策システムと活動メカニズムは、農村の活性化と効果的にリンクされ、貧困人口に対する「2つの不安と3つの保障」は達成した。貧困問題は改善され、大規模な貧困揺り戻しがないように効果的に運用された。

「十四五計画」農業農村近代化主要指標

指標、2020年基準値、2025年目標値、平均増速(累計)、指標属性

1.糧食総合生産能力(億t)、―、>6.5、―、コミット

2.肉類総生産量(万t)、7748、8900、2.8%、予定

3.農業科学技術進歩貢献率、60%、64%、(4)、予定

4.高基準農地面積(億ム)、8、10.75、(2.75)、コミット

5.農作物作付け・収穫総合機械化率、71、75、(4)、予定

6.畜産屎尿総合利用率、75、>80、(>5)、コミット

7.農産品質量安全条例行政監督合格率、97.8、98、(0.2)、予定

8.農産品加工業&農業総生産比率、2.4、2.8、(0.4)、予定

9.農村水道水普及率、83、88、(5)、予定

10.郷村義務教育学校専任教師、60.4、62、(1.6)、予定

11.郷村医師比率、38.5、45、(1.6)、予定

12.郷鎮範囲の総合養老サービス機構カバー率、54、60、(6)、予定

13.農村住民平均可処分所得増速(%)、3.8、―、対GDP成長と基本的同歩調、予定

14.全体収益5万元(約90万円)以上の村割合(%)、54.4、60、(5.6)、予定

15.県レベルおよび以上の文化的村割合(%)、53.2、60、(6.8)、予定

16.農村住民教育文化娯楽の消費支出割合(%)、9.5、11.5、(2)、予定

農村の給水保障レベルの改善。水源と給水施設の合理的配置を確定し、水源建設と水源保護を強化する。大規模給水事業の建設と小規模給水事業の標準化された改革が実施され、農村における水道水の浸透率を向上。都市の給水管網を周辺の村鎮に拡大するよう奨励する。合理的な水価格メカニズムと水道料金徴収メカニズムを確立し、農村給水プロジェクトの建設、運営、管理、維持のための長期メカニズムを改善する。農村部の消防用水支援施設の建設を強化する。農村の洪水制御と干ばつ救援施設を改善し、洪水災害の早期警戒と予防を強化する。

農村生活環境の向上を目指す。地域の状況に応じて農村のトイレ革命を推進する。中西部の農村トイレの改造を強化する。農村の公衆トイレの合理的な計画と配置を行い、郷村景勝地の観光トイレの建設を加速させる。乾燥地域や寒冷地に適した公衆トイレ技術や製品の研究開発を加速する。農村のトイレ革命と家庭汚水処理間の有機的なつながりを促進し、家庭、農村、村鎮の統合的な処理を奨励しする。政府が定めた基準により、農民は基準に従い自主的にトイレを交換することで、政府検査に合格した場合、規則に従い各世帯に補助金が与えられることを奨励する。農村トイレ建設の管理システムを改善し、プロジェクト品質責任システムを厳格に実施する。

農村生活汚水処理を段階的に整備する。県域を基本単位とし、郷鎮政府は農村部の生活汚水処理を整備し、農村部の大面積悪臭汚水水域を排除する。農村の実情に合わせた汚水処理モデルとプロセスを採用し、低運用コスト、簡便な管理と保守技術の普及を優先させ、資源の活用方法を積極的に模索する。

健全な農村生活ごみ処理の長期的効果メカニズムを整備する。農村生活ごみ発生源でごみ分別と削減を促進し、農村生活ごみの効果的な処理と資源利用ルートを模索する。農村生活ごみの収集、搬送、処分システムを整備し、農村の再生可能資源の回収と利用ネットワークを整備する。

農業の面源汚染の防止と管理強化。現状では2025年には、主要作物化学肥料と農薬利用率が43%以上に達すると予想されているため、化学肥料と農薬の削減と効率を促進する。徹底的な土壌試験と配合施肥を実施し、肥料投入の構造を最適化し、有機肥料の使用量を増やし、効率的な施肥技術を促進する。高毒性・高危険農薬の排除を推進し、低毒性・低残留農薬や高効率の大型・中型植物防除技術の推進を加速させる。地域の現状に応じたグリーンな害虫駆除技術の適用を進める。動物用抗生物質の使用量の削減し、飼料および飼料添加物の生産と使用を基準化する。

重点区域に生態環境保護を促進する。長江流域の重点水域で10年間の漁業禁止を完全実施する。長江を重点とした漁業法執行力を構築し、漁業を廃業した漁民の再定住保障活動を実施する。長江の水生生物資源と水生態の保護と回復を促進し、カラチョウザメ、長江イルカ(すでに絶滅)、長江チョウザメ(すでに絶滅)の保護活動計画を実施する。長江流域と黄河流域の農業の面源汚染管理を実施し、徹底的な節水と水管理活動を実施する。

以上が一部環境保護分野に焦点を当てた「計画」の要約である。

■筆者プロフィール:内藤 康行

1950年生まれ。横浜在住。中学生時代、図書館で「西遊記」を読後、中国に興味を持ち、台湾で中国語を学ぶ。以来40年近く中国との関わりを持ち現在に至る。中国の環境全般と環境(水、大気、土壌)に関わるビジネスを専門とするコンサルタント、中国環境事情リサーチャーとして情報を発信している。著書に「中国水ビジネス市場における水ビジネスメジャーの現状」(用水と廃水2016・9)、「中国水ビジネス産業の現状と今後の方向性」(用水と廃水2016・3)、「中国の農村汚染の現状と対策」(CWR定期レポ)など。

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