Record China 2021年11月9日(火) 16時30分
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上海市農業生物遺伝子センターの羅利軍氏とそのチームが3日、イネの遺伝子資源に関連する貢献を評価され、「2020年国家科学技術進歩賞」の一等賞を受賞した。
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上海市農業生物遺伝子センター(SAGC)の羅利軍首席科学家(首席研究員)とそのチームが3日、イネの遺伝子資源に関連する貢献を評価され、「2020年国家科学技術進歩賞」の一等賞を受賞した。羅氏によると、中国におけるイネの新たな品種の導入は食料安全の確保だけでなく、資源保護や環境などの問題への対応にも有効だ。
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中国ではかなり早い時期から、農作物の品種改良などに力が入れられてきた。例えば1950年代にはイネの短稈(たんかん)化が実施された。短稈化とは茎が短い品種の導入のことで、台風などによる被害をより小さくすることができる。イネについては1970年代の交雑種の選択と普及でも大きな成果を上げることができた。
しかし解決せねばならない問題はまだ多かった。先進国では1970年代後半ごろから、遺伝子技術の研究と応用が急速に進歩したが、中国では当初、イネの遺伝資源の利用効率が低く、品種の遺伝的基盤は弱かった。SAGCの羅利軍首席科学家はそのような問題の解決に取り組んできた研究者の一人だ。
さまざまな中国事情を紹介している「桜の華YouTubeチャンネル」によると、羅利軍氏が率いるチームは20年を以上かけて、イネの遺伝資源の収集・保存、研究評価、革新的利用の作業を体系的に行ってきた。これまでに収集されたイネの遺伝資源は計20万以上に達した。その結果、中国におけるイネの遺伝資源の保管量は130%以上増加したという。
イネを育てるためには大量の水が必要だ。そして中国は水資源が不足する国でもある。一人当たりの水資源量は世界平均の4分の1程度との見方があるほどだ。中国で2010年ごろには干ばつ被害が多発する状況になっていた。
羅利軍氏によると、中国では現在までに、節水型で干ばつに強いイネの品種の栽培が広く推進されるようになった。節水型のイネならば灌漑(かんがい)用水を50%以上も節約でき、水を流し続けたり定期的に水を抜いたりする必要がない。その結果、使用する農薬や肥料の量も少なくて済む「環境にやさしい稲作」が実現されるという。
もう一つ興味深いのが、干ばつに強いイネの品種の栽培では、メタンガスの排出が90%も減少することだ。
メタンは温暖化ガスの一つだ。大気中に放出されたメタンは20年間の累計では同量の二酸化炭素の84倍の温室効果をもたらすとされている。そして土壌にメタン生成菌がいるために、水田からは大量のメタンが発生することになる。
全ての温室効果ガスが地球温暖化に与える影響のうち、メタンによる部分は23%とされる。つまり、中国におけるイネの品種の転換は、地球温暖化の防止に直結することになる。
中国政府が農業技術の進歩を重視している理由には、国としての食料安全など以外にも、技術の進歩が農村の活性化や貧困緩和に大きく貢献してきたこともある。
羅利軍氏とそのチームは、イネの遺伝資源の創出、保護、研究、利用に大きく貢献したなどとして3日、「2020年国家科学技術進歩賞」の一等賞を受賞した。(提供/桜の華YouTubeチャンネル)
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