「指導者外交」が五輪競技なら中国は米国破り金メダル―豪シンクタンク

Record China    2021年8月9日(月) 10時0分

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オーストラリアのシンクタンク、ローウィー研究所は7月28日、「指導者外交」がオリンピック競技なら中国は米国を破り金メダルを獲得するだろうとする分析を発表した。資料写真。

オーストラリアのシンクタンク、ローウィー研究所は7月28日、「指導者外交」がオリンピック競技なら中国は米国を破り金メダルを獲得するだろうとする分析を発表した。中国のニュースサイトの観察者網がその内容を要約して次のように伝えている。

2013年以降の世界の指導者による中国と米国への訪問数を比べると、毎年、中国が米国を上回っており、特にドナルド・トランプ政権下では米国は中国の3分の1に満たない。

中国の国力の高まりとともに外交的影響力が拡大し、米国の同盟国の指導者でさえも中国訪問を優先的に検討するようになってきている。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の間に、「戦略的競争」の新しいダイナミクスが中国と米国との間で形成された。両国はどちらも、経済的、政治的、および領土的規範を形成するための「支持者」を求めている。例えば、菅義偉首相は4月に訪米し、ホワイトハウスでジョー・バイデン米大統領に会った最初の外国人指導者となった。会談では中国について大いに語り合い、台湾と新疆の問題にも言及した。

しかし米国が、世界の指導者を引き付けるという点で中国に大きく後れを取っていることは、1990年から2019年までの外国の元首と政府首脳による両国への訪問数から明らかだ。世界の指導者による訪米の記録は米国務省によって保管されている。中国については、中国外交部発表の資料と中国共産党機関紙「人民日報」の報道を通じて追跡できる。記録にはニューヨークでの国連総会や中国での上海協力機構サミットなどの多国間会議への訪問が含まれ、米国と中国による世界情勢への全体的な関与が反映されている。

指導者による訪問は、外交上の優先事項の良い代理人であるという意味でとても重要だ。また「対面」訪問は、中国または米国の指導者が他国の指導者との間で信頼を築き、協力を深めるのにも役立つ。多くの指導者が米国よりも中国を訪問していることは、中国が外交的影響力の尺度で米国を上回っていることを示唆している。

中国は近年、世界の政治家のホットチケット(人気者)となっている。新型コロナで大規模な渡航が中断される前年の19年に79人の外国人指導者が中国を訪問したが、米国を訪問したのは27人だけだった。13年以降毎年、多くの世界の指導者が米国よりも中国を訪れており、冷戦時代初期の米国の支配から急激に転換している。

ジョージ・H・W・ブッシュ大統領とビル・クリントン大統領の時代、世界の指導者による年平均訪問回数はそれぞれ65.8回と60.5回だった。米国が「対テロ世界戦争」を繰り広げたため、ジョージ・W・ブッシュ大統領の時代にはその数が71.8回に急増した。これは当時の中国の3倍以上だ。しかし、01年に中国が世界貿易機関(WTO)に加盟すると、世界の指導者の中国訪問が倍増した。

バラク・オバマ政権では、金融危機に加えて対外戦争に陥ったため、米国への訪問が減少した。一方で、中国は13年から経済と結び付けて積極的な外交を推進し、年平均約87人の世界の指導者が中国を訪れた。

中国のリードは、ドナルド・トランプ政権下で劇的に拡大した。トランプ氏の「アメリカ・ファースト」は外交を無視し、同盟国を疎外した。17年から19年にかけて、世界の指導者による中国への訪問数は272回であるのに対し、米国への訪問数はその3分の1未満で、米国はかつてないほど不人気となった。

中国と米国を訪問した指導者がどこから来たのかを分析すると、過去30年間に国際外交で天地を覆すような変化が起きたことが分かる。

1990年代には、あらゆる地域の国家指導者が中国よりもはるかに多く米国を訪れた。米国は2000年代も魅力的な目的地であり続けたが、中国の経済軌道にますます引き込まれているアジアとオセアニアの指導者がより頻繁に中国を訪れるようになった。

その後、中国への訪問数はさらに増え、2010年代には、米国と比較して、中国はアジアとオセアニアの指導者による訪問数が3倍以上、アフリカの指導者による訪問数が2倍以上、東欧の指導者による訪問数がほぼ2倍となった。米外交の「裏庭」である南米・北米の指導者でさえ、中国への訪問を好むようになった。米国への訪問数が多いのは、中東と西欧の指導者だけだ。

注目すべきなのは、過去10年間で、韓国、ドイツ、フィリピン、タイ、シンガポール、ニュージーランドなど、多くの米国の同盟国やパートナーの指導者が米国を訪れるよりも頻繁に中国を訪れているということだ。フランスの指導者は両国を同じ頻度で訪問した。日本は指導者が中国よりも米国を多く訪問したアジアで唯一の国だ。英国、イタリア、オーストラリアの指導者も米国を優先したが、その差は縮まっている。

世界の指導者による中国への訪問の増加は、国力の増大の表れでもあり、その因果関係の1つでもある。政府が多くの分野で影響力を持っている中国との商業的関係を構築するためには、各国は外交的足がかりが必要だ。

19年には、中国は経済規模が米国よりも30%小さいにもかかわらず、世界の指導者による訪問数は米国の2倍となっており、ビジネスだけではこの差を説明できないことを示唆している。

中国は、「注意」と「努力」が外交に大いに役立つ可能性があり、指導者の訪問はより多くの二国間協定、投資、援助を生み出す傾向があることを認識している。その国の指導者ほど影響力のある外交官はいない。外国の指導者が中国を訪問するたびに、中国の指導者がその外交政策目標を前進させるための特別な機会を提供している。

中国政府は近年、外交を重視し、中国外交部の影響力も拡大している。外交への投資が、他国の指導者に中国を訪問し、世界情勢における中国の立場を支持し、「一帯一路」を始めとする中国の構想に参加するよう説得するのに役立っている。

「一帯一路」発展フォーラムや中国国際輸入博覧会、中国・アフリカ協力フォーラムの定例会議には、多くの国、特に中国の成長を模倣したいと考え、国連総会などで中国を支持する発展途上国の指導者が出席している。

バイデン氏が世界で「米国のリーダーシップを再確立する」という公約を果たしたいのであれば、外交を復活させて拡大する必要がある。

日本、韓国、ドイツ、イスラエル、ヨルダン、アフガニスタンの指導者はすでにバイデン氏を訪れているのに対し、コロナ対策のためこれまでのところ中国を訪れた指導者はいない。アフリカ、アジア、南米の指導者へのホワイトハウスの招待状がさらにいくらか役立つことは間違いない。(翻訳・編集/柳川)

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