人民網日本語版 2021年4月29日(木) 20時50分
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アムールトラが田園地帯を疾走し、前方にいた農家の女性に飛びかかった。これは23日にトラが村に現れた際、最も人々を驚かせた一コマだった。幸い、トラは引き続き飛びかかったり、かみついたり、口にくわえるといった狩猟行動を取ったりせず、さらに前方へと駆け抜けていった。
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このアムールトラは同日午前6~7時ごろ、人里にいるところを村民に発見された。警察が駆けつけたところ、誰も住んでいない空き家のすき間に腹ばいになって寝そべっていた。トラが本当に村に現れたということで、その場は騒然となった。
それから約3時間に及ぶ膠着状態の末、トラは村民1人と自動車1台に飛びかかり、村民は負傷し、車は窓ガラスが1枚割れた。トラは人に飛びかかった後、その毛色に似た草むらと畑の間に入り込み、捕獲作業は難航した。
午後6時ごろになり、麻酔針が2本命中すると、トラは6時間近く立てこもっていた草むらから飛び出し、さらに2本の麻酔針を打ち込まれ、最後にもう1本打ち込まれたのち、午後9時ごろになってようやく捕獲された。
この間、メディア数社が現場で様子を伝え、捕獲の動きがネットでライブ配信され、全国の視聴者が捕獲の様子をリアルタイムで見守り、一時はのべ1000万人以上が視聴していたという。
このトラは体重225キログラム、2~3歳のオスの野生の虎で、黒竜江省林業・草原局は26日の記者会見で、「完達山1号」と命名したと発表した。
すると中国ネットユーザーから、「どうして完達山で泰山ではないのか?」といった声が次々に寄せられた。
中国猫科動物飼育繁殖センターの劉丹(リウ・ダン)チーフエンジニアは、「この野生のアムールトラは非常に強健かつ獰猛だ。トラは山林の王であり、山の大王とも呼ばれている。トラの習性を見ると山に君臨しており、王者の風格がある。このアムールトラが発見された地域は完達山エリアに属している。完達山は黒竜江省のアムールトラの生息地でもあり、現在は野生の群れに4~6頭のアムールトラがいる。こうした状況を踏まえ、国家林業局に報告し、承認を得て最終的に名前を『完達山1号』とした」と説明した。
記者会見ではこのトラのここ3日間の様子も公開された。まず24日に自分から獣舎に入り、25日の夜から餌を食べ始め、26日朝には排便があった。現在は同省にある中国横道河子猫科動物繁殖センターに送られ、隔離観察が行われているという。
野生のアムールトラが人間の視界に入る場所へとやって来るケースが、ここ数年時々発生しているが、人里に直接やって来て、道で人に飛びかかるというのは、世界自然保護連合(IUCN)の絶命危惧種レッドリストに入る野生のアムールトラとしては非常に珍しいケースだ。2019年の虎・豹類越境保護国際シンポジウムでのデータによると、中国に生息する野生のトラは50頭に満たず、そのうちアムールトラはわずか27頭ほどだという。
中国で初めて保護することに成功した野生のアムールトラとして、「完達山1号」がどこからやって来たのか、これから調査することになる。「完達山1号」は今後どうなるのか、大きな注目が集まっている。(提供/人民網日本語版・編集/KS)
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