内藤 康行 2021年4月21日(水) 20時50分
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不動産業不況を横目に葬儀産業市場が急成長している。資料写真。
■2021年 中国葬儀業界の現状
中国は2000年から高齢化社会に突入り、高齢化プロセスは間断なく加速している。国家統計局のデータでは、2019年では全国60歳以上の人口は2億5388万人で、前年から439万人増加し、全国の総人口の18.1%を占め、前年比で0.2ポイント増加した。関連する予測では、「第14次5カ年計画」期間中、全国の高齢者人口は3億人を超え、軽度高齢者から中等度の高齢化に移行する。深刻な高齢化問題により、死亡者数も年々増加しており、死亡率も上昇傾向にある。こうした背景から葬儀業界の将来は「ブルーオーシャン(競争相手のない未開拓市場)」になる可能性を秘めている。
■葬儀業の業界チェーン
葬儀業は、葬儀サービス、遺体処理、墓地サービス、およびその他の製品の販売とサービスの4つの部分で構成されている。
遺体処理:
火葬サービスを含む遺体の処理を実施する。中国では、火葬サービスは政府機関が全権責任と管理されている。関連するサービスを提供できるのは政府機関だけで、価格も政府によって厳格に管理されている。
墓地サービス:
1.火葬後の埋葬の関連販売を指し、埋葬および墓地販売(墓地販売、墓の設計と計画、墓石の製作と設置を含む)、2.その他埋葬サービスで、墓地サービスは政府が民間企業の参入を認めており、現在、民間企業の参入率は比較的高くなる傾向にある。
葬儀:
1.遺体処理、輸送、火葬までのサービス(遺骨の化粧と着装)、2.葬儀式開催で、葬儀に関連するその他の追加サービスを含む、3.葬儀および追悼式のための追悼ホールのリース。 葬儀は現在、主に政府とその関連専門機関によって管理されており、民間企業の参入は少なく、一部の省では依然として参入制限されている。
その他の製品販売およびサービス:
1.葬儀サービスの製品販売、2.法的に登録された葬儀サービスプロバイダーによって提供される。現在、中国のこの分野での市場開発力は弱く、民間企業が参加しているものの、業務量は比較的少なく、専門性とサービスの質は低い。市場全体の成熟度は低いと言える。
葬儀業界産業チェーン
■葬儀業界の市場規模
国民の所得水準が上昇し、葬儀への消費概念が変化するにつれて、葬儀業の規模は拡大している。2013年の中国の葬儀業の市場規模は1395億元(約2兆3000億円)で、2017年には1800億元(約3兆円)を超えた。高齢者人口の増加と国民所得の増加及び家計消費の増加に伴い、葬儀業の市場規模は拡大を続け、2024年には3000億元(約5兆円)を超える市場規模が見込まれる。
■筆者プロフィール:内藤 康行
1950年生まれ。横浜在住。中学生時代、図書館で「西遊記」を読後、中国に興味を持ち、台湾で中国語を学ぶ。以来40年近く中国との関わりを持ち現在に至る。中国の環境全般と環境(水、大気、土壌)に関わるビジネスを専門とするコンサルタント、中国環境事情リサーチャーとして情報を発信している。著書に「中国水ビジネス市場における水ビジネスメジャーの現状」(用水と廃水2016・9)、「中国水ビジネス産業の現状と今後の方向性」(用水と廃水2016・3)、「中国の農村汚染の現状と対策」(CWR定期レポ)など。
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