TPP日米交渉は分かれ道、農産品と自動車でなお溝―中国メディア

Record China    2014年4月25日(金) 19時0分

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23日、米国通商代表部(USTR)のフロマン代表は甘利明経済財政・再生相(環太平洋連携協定(TPP)担当相を兼務)と東京で「環太平洋戦略的経済連携協定」の交渉を行った後、「交渉は重要な分かれ道にさしかかった」との見方を示した。資料写真。

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2014年4月25日、ロイターによると、米国通商代表部(USTR)のフロマン代表は23日、甘利明経済財政・再生相(環太平洋連携協定(TPP)担当相を兼務)と東京で「環太平洋戦略的経済連携協定」(TPP)の交渉を行った後、「交渉は重要な分かれ道にさしかかった」との見方を示した。その前日、甘利大臣は記者に対し、交渉で双方が一致するまでには、まだ相当の距離があると感じると述べていた。人民日報が伝えた。

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▼日米どちらにも合意に強い反対の声

フロマン代表は議会の公聴会で、日本と共通認識に達すれば加盟12カ国との合意達成に向けた障害が取り除かれる。米国側は、日本と貿易合意を達成すれば戦略的な側面から交渉にエネルギーを注入することができると考えていると述べた。日米の政府関係者はいずれも、オバマ大統領と安倍首相の会談は交渉の最終期限ではないとの見方を示すが、ある専門家によれば、双方が実質的な成果を得られなければ、交渉全体のエネルギーが大いにくじかれると指摘する。また、両首脳はそれぞれ国内に強硬な反対派を抱えている。

ここ数日間、東京の霞が関にある政府関連施設の周辺では、さまざまな団体によるTPP反対の集会がひっきりなしに行われた。安倍首相が率いる自民党の票田の半分以上は農業団体で、農業団体はまさしくTPPに断固反対する勢力の中心だ。農林水産委員会はこのほど、敏感な問題を抱えた農産品の関税を維持するよう求める決議を採択した。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、交渉がなかなか進まないため、一部のアナリストは安倍首相が承諾した構造的な経済改革、すなわち安倍政権が打ち出す経済政策アベノミクスの第三の矢(民間投資を喚起する成長戦略)に疑問を感じ始めている。

米国国内の政治環境も交渉の妥結にとってマイナスだ。オバマ大統領が力強く進めるTPP交渉は米国国内で強い反対の声にあっており、反対の中心は大統領の率いる民主党の同志たちだ。米国企業は交渉が妥結することで輸出を振興させたい考えだが、米国の労働組合やその他の反対派は、TPPという地域貿易協定が雇用の海外流出を激化させ、消費者に対する保護を弱めるのではないかと懸念する。

▼安倍首相は交渉によって国内の構造改革推進を目指す

TPPは世界貿易機関(WTO)のドーハラウンドが停滞することを背景とした、米国の主導するアジア・太平洋エリアの貿易自由化を推進する協定であり、「アジア・太平洋のリバランス」戦略が重要な内容だ。現在、ベトナムやブルネイなど12カ国が交渉に参加。12カ国の経済規模は世界全体の40%を占め、貿易額では30%を占める。

日本は昨年7月に交渉に加わり、牛肉、豚肉、米などを農業の重要5品目として関税の維持を前提として打ち出し、また米国に輸入自動車と輸入軽トラックに対する関税を撤廃するよう求めた。だが米国は農産品の関税を全面的撤廃との姿勢を崩さない。米国の元の計画では昨年末までに交渉は基本的に妥結するはずだったが、参加国の間には知的財産権や国有企業の改革などさまざまな問題で溝があり、これまで19回にわたる交渉が行われたものの、いまだに実質的な進展は得られていない。

安倍政権は交渉を通じて困難を抱える国内の構造改革を推進したい考えだ。とりわけ安倍首相が靖国神社を参拝して米国を「失望」させたことを踏まえて、安倍首相は交渉のペースを加速させ、日米同盟を強固なものにしたいと考えている。ある報道によると、日米のハイレベル貿易交渉代表はこれまで数週間にわたり緊迫したやり取りを重ねてきた。フロマン代表と甘利大臣が過去2週間に話し合った時間は累計約40時間に達したが、双方の溝は依然として埋まらない。日本は牛肉の輸入関税を現在の38.5%から15%前後に引き下げることを提案したが、米国は10%以下への引き下げを求める。米国はTPP発効から30年後に日本からの輸入自動車に対する関税を撤廃するとうち出したが、日本では「事実上の関税維持」との批判の声が上がっている。

日米両国の経済規模はTPP交渉参加国全体の80%を占めており、両者の「行き詰まり」が多国間の交渉の進展に影響を及ぼすことは必至だ。計画によれば、交渉に参加する12カ国は、今年5月中旬にベトナム・ホーチミンで主席交渉官会合を開催し、なかなか前に進まない交渉を再開する予定だ。アジア開発銀行(ADB)研究所の潘暁明(パン・シャオミン)顧問によると、24日の日米首脳会談で今後の交渉の方向性に話が及んだ際、双方が重大な溝をめぐって一致点を見いだせるかどうかが、交渉の進むスピードと協定が最終的な成立の可否を左右するという。(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)

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