<日本人が見た中国>日本人が中国で活動する意味は何か?

Record China    2014年4月22日(火) 2時20分

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20日、中国で活躍している俳優・矢野浩二が、日本人が中国で活動する意味についてつづっている。公開中の映画「最佳嫌疑人」ではドジでまぬけな日本人のキャラクターを演じている。悪のイメージとはかけ離れた、ユーモアのある日本人キャラクターだ。

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2014年4月20日、中国で活躍している俳優・矢野浩二が日本人が中国で活動する意味についてつづっている。

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現在中国で公開中の映画「最佳嫌疑人」では、私はドジでまぬけな日本人のキャラクターを演じている。悪のイメージとはかけ離れた、ユーモアのある日本人キャラクターだ。

しかしこのような日本人のキャラクターは中国では多くはない。日本人の役はほとんどが軍人で悪役が多い。そういう中で人間としてきちんと描写されている役やユーモア性のある日本人の役だけを模索してくのは大変だ。そういう役は決して多くないからだ。ここでステレオタイプの日本軍人役ばかりを追及したら、いくらでも仕事はあると思う。でも、そういう役ばかり演じていては、役者としてプラスにはならない。

私は2006年以降から、新しい役を模索するよう方向転換をした。覚悟がいる決断であったが、常に挑戦することが自分を成長させるという思いがあったので、その気持ちのまま前へ進んだ。

それまでステレオタイプばかり演じていた。そういう境遇にいる自分に「これでいいのか?」という葛藤、矛盾そして疑問を感じた。それに悩み苦しみ、ある監督の前で辛さのあまり自分のその苦痛や弱みを涙を流して露呈したこともあった。弱みを人に出したことによってすぐに決心がついた。心のどん底から吹っ切れた。それ以降、コメディーの役や現代ドラマの会社社長役など多彩な役を挑戦することができた。軍人の役でも以前のような血も涙もない勧善懲悪な日本軍人ではなく、心の中で葛藤、矛盾を抱いている軍人の役を演じるようになった。

すべてではないが、中国の中年層以上の人たちが「日本」や「日本人」と聞いて連想するのは悲しいかな「戦争」「日本鬼子」というイメージが多い。役者が頑張ってこのイメージを払拭するなどと途方もない理想を掲げるつもりは毛頭ない。ただ自分が演じる日本人によってこういう日本人もいるんだという日本人に対する新しい印象を感じてくれる中国人が1人でも増えればという小さな願いは持っている。そしてそういう日本人の思いを役を通して伝えていければと思う。

昨年、ドラマ「烽火双雄」で演じたのは、日本人の弱い部分を描写した役。今までの中国ドラマにあまりなかったタイプかもしれない。戦争時代のドラマであるが、日本人であろうが、中国人であろうが、人を傷つけたくない、そういう人物。武器を一切持たないそんな弱い人物を演じた。

この作品は年内、検閲が順調に通れば放送されるが、あまりにも人間的に描かれている日本人の役なので、正直放送されるか少し心配だ(笑)。願わくば放送されて欲しいが。

話を戻して、弱さをいかにして表現するか。現実も架空の世界も、そこが大事だと思う。弱さを自ら露呈すれば何も怖いものはない。中国では、そういう弱さを自ら見せるというのは御法度とされている部分もあるかもしれない。だからこそ、そういう態度を見せていくことが大事になってくると思う。

弱さを自らさらけ出すことが真の強さであると、私はそう信じている。今後中国の映像界でも、弱さの中に見える強さが垣間見られるそういう日本人の役が増えればと願うばかりだ。

●矢野浩二(やの・こうじ)

バーテンダー、俳優の運転手兼付き人を経てTVドラマのエキストラに。2000年、中国ドラマ「永遠の恋人(原題:永恒恋人)」に出演し、翌年に渡中。中国現地のドラマや映画に多数出演するほか、トップ人気のバラエティー番組「天天向上」レギュラーを務める。現在、中国で最も有名な日本人俳優。2011年、中国共産党機関紙・人民日報傘下の「環球時報」主催「2010 Awards of the year」で最優秀外国人俳優賞を日本人として初受賞。中国での活動10年となる同年10月、自叙伝「大陸俳優 中国に愛された男」(ヨシモトブックス)を出版。

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