<コラム>2020年 世界の堆肥産業市場の現状

内藤 康行    2021年1月22日(金) 14時20分

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世界のごみ生産量は急増しており、堆肥化処理の需要も高まっている。資料写真。

堆肥(コンポスト)処理とは廃棄物処理の一種である。特定の人工的条件下で、自然界に広く分布する細菌、放線菌、真菌などの微生物を使用して、生物分解性有機物の安定した腐植への変換を制御可能に促進することを指す発酵プロセスである。堆肥処理には2つの利点がある。1つは不快な廃棄物を扱いやすい材料に変えることができること、もう1つは貴重な商品や堆肥製品を生み出すことができることだ。現在、世界のごみ生産量は急増しており、堆肥化処理の需要も高まっている。堆肥技術の高度化や設備の改善により、堆肥産業の成長を促進させ、世界の堆肥産業市場は拡大を続けている。

■世界の固形廃棄物発生量22億トン

急速な都市化と人口増加により、世界の固形廃棄物の発生量は年々増加している。2018年に世界銀行が発表した「WHAT A WASTE 2.0」データによると、世界の固形廃棄物の発生量は2016年に20億1000万トンに達した。 「WHAT A WASTE 2.0」で指摘した予測モデルでは2019年の世界の固形廃棄物の発生量は23億2000万トンに達すると推定されていた。

IMFが発表した予測データによると、2020年の世界のGDP成長率は-4.4%、2020年の世界のGDPは約83兆8000億ドルと推定されており、この予測に基づくと、2020年の世界の固形廃棄物の発生量は22億7000万トンと推定される。

2016~2020年 世界の固体ゴミ発生量(億トン)

引用:「WHAT A WASTE 2.0」より編集

「WHAT A WASTE 2.0」のデータによると、世界の固形廃棄物生産の地域分布で見ると、東アジアとオセアニア地区が世界全体の23%を占め、最大の固形廃棄物を生産している。ヨーロッパと中央アジアがそれに続く。発生した廃棄物量は世界全体の20%を占め、南アジアで発生する固形廃棄物は世界の17%を占め、北米で発生する固形廃棄物は世界の14%を占めている。

世界の固体ゴミ発生地域分布(%)

引用:「WHAT A WASTE 2.0」より編集

「WHAT A WASTE 2.0」のデータでは、世界の固形廃棄物の堆肥化処理率は5.5%で、地域によって異なるが、南アジアが最も高く16%に達している。続いてヨーロッパと中央アジアで、ごみ堆肥処理は10.7%となっている。

世界の固体ゴミ処理方式(%)

引用:「WHAT A WASTE 2.0」より編集

世界の異なる地域のごみ堆肥処理割合(%)

引用:「WHAT A WASTE 2.0」より編集

世界の堆肥産業は、農業、家庭菜園、造園、園芸、建設産業分野でビジネス機会を創出する。 あるシンクタンクが発表したデータによると、2019年の世界の堆肥産業の市場規模は62億ドルだったが、新型コロナの影響で世界的な景気が後退し、世界の堆肥産業の市場規模は2020年に減少したものの、2020年の世界の堆肥産業の市場規模は約60億ドルを確保した。2021年には復調し、2026年までに90億ドルに達し、2020年から2026年までの年間成長率は5~7%に達すると予測される。

2014~2026年 世界の堆肥産業市場規模と予測(億ドル)

引用:「WHAT A WASTE 2.0」より編集

■筆者プロフィール:内藤 康行

1950年生まれ。横浜在住。中学生時代、図書館で「西遊記」を読後、中国に興味を持ち、台湾で中国語を学ぶ。以来40年近く中国との関わりを持ち現在に至る。中国の環境全般と環境(水、大気、土壌)に関わるビジネスを専門とするコンサルタント、中国環境事情リサーチャーとして情報を発信している。著書に「中国水ビジネス市場における水ビジネスメジャーの現状」(用水と廃水2016・9)、「中国水ビジネス産業の現状と今後の方向性」(用水と廃水2016・3)、「中国の農村汚染の現状と対策」(CWR定期レポ)など。

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