<コロナの脅威>「人類共通の敵」撲滅へ、全世界が一致協力すべきだ=立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2021年4月11日(日) 5時40分

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新型コロナウイルス感染者の増加が続いている。「人類共通の敵・コロナ」撲滅に向け、日本の官民が総力を挙げるのはもちろん、全世界が一致協力して取り組んでほしい。写真は新型コロナPCR検査センター新橋店。

新型コロナウイルス感染者の増加が続いている。大阪に続き東京などでも急増し、危機的状況が迫っているようだ。政府は東京、京都、沖縄の3都府県で緊急事態宣言に準じる「まん延防止等重点措置」を適用することを決定した。すでに実施中の大阪、兵庫、宮城を含め対象が6都府県に広がる。「人類共通の敵・コロナ」撲滅に向け、日本の官民が総力を挙げるのはもちろん、全世界が一致協力して取り組んでほしい。

1日あたり新規感染者数は感染力が強い変異ウイルスの影響もあり、大阪で1000人に迫る勢いである。東京も500人を超える日が3日連続している。地方にも広がり、9日には全国で3500人余りに達し、3日連続で3000人を超えた。「第4波」の規模は「第3波」を超える可能性がある。

関西圏を中心に、感染の広がりや医療体制に関する一部の指標はすでに緊急事態宣言が必要な水準に達していると危惧する。緊急事態宣言の解除後に人の動きが活発化し感染者が増えるのは当然だろう。

政府は自治体と連携し、病床の追加や症状に応じて患者を円滑に割り振る仕組みづくり、医療者の確保などに全力をあげてほしい。時短営業を迫られる飲食店は苦しい経営が続く。重点措置の適用などで引き続き協力を得るには、手厚く切れ目のない支援が不可欠である。

新型コロナウイルスによる国内累計感染者は50万人を超えた。死者は累計で1万人に迫る勢い。弟の立石義雄(オムロン社長・京都商工会議所会頭など歴任)が新型コロナウイルス感染症で亡くなってから間もなく1年が経つ。これからも一緒に豊かな白秋期を歩もうと励まし合った直後の急逝で、今でも悲しみは癒えない。

弟の義雄が社長に就任した時、「兄さんの弔辞は読みませんよ」と私に語り掛けたことがあった。「何てこと言うんだ、おまえは」と笑いながら返すと、「長生きしてくださいね」と言った。義雄らしい憎まれ口だったが、優しさの裏返し表現だった。私が残されその通りになってしまった。

父・立石一真(立石電機=オムロン創業者)は「最もよく人を幸福(しあわせ)にする人、最もよく幸福になる」という言葉を残した。私も義雄も、この言葉をかみしめ、「人の幸せをわが喜びとする」という信条を実践してきた。弟は「人の幸せづくりをする素敵な生き方をしたい」というのが口癖だった。その言葉通りに実践し、人生を私より速く駆け抜けた。

世界の新型コロナウイルスによる感染者は世界全体で1億3390万人に達し、死者数は290万人を超えたという。人類にとってコロナとの闘いは待ったなしである。米国英国では行動制限で感染拡大を抑え、その間にワクチン接種を急いで新たな大流行を防ぐ戦略をとる。日本も重症化リスクの高い高齢者らのワクチン接種を急ぐ必要がある。次々に変異して感染するウイルスの脅威から解放されるよう、全世界が総力を挙げて取り組んでほしい。

<直言篇156>

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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