大串 富史 2020年11月29日(日) 14時30分
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中国のコンビニの「サンドイッチセット」と「お菓子セット」。ガソリンスタンド・コンビニにせよ普通のコンビニにせよ、中国のコンビニは日本のコンビニに比べると、全然気合いが入っていない。
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数日前、1年ぶりにコンビニに足を運んだ。僕はずっと中国にいるから、もちろん中国のコンビニである。
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そこでサンドイッチセット(サンドイッチ+紙パックの牛乳+コーヒー飲料)を買った。全部で13元少しだから、日本円にして200円程度。日本人の僕からすれば、まあお買い得である。
とはいえ、このサンドイッチと紙パックの牛乳とコーヒー飲料が日本のそれとほとんど同じかと言えば、決してそうではない。
まず、(消費期限切れではないものの)1日前に製造されたというサンドイッチ(特にスイートコーン)が美味しくない。
また中国で(少し高めのロングライフ牛乳でない)紙パックの牛乳を飲んだことのある人なら分かると思うが、味がなんだか違う。
2割引きだったコーヒー飲料は味的には合格だと思うものの、消費期限(賞味期限ではない)の1日前のものだったから、飲んで本当に大丈夫なのかどうか、少しおっかなびっくりである。
だから、「日本のコンビニを利用した中国人が『尋常じゃない』と思う理由 | サーチナ」という記事を読んで、中国人が日本のコンビニの「弁当やサラダ、スイーツなどのレベルは高く、淹れたてのコーヒーは専門店に負けないほどおいしいと絶賛」するのはよく分かる。
逆の言い方をすれば、中国のコンビニは日本のコンビニに比べると、全然気合いが入っていないのである。
たとえば、「店舗数1位は?セブン‐イレブンから『スマートコンビニ』まで、中国コンビニ事情|レコードチャイナ」という記事にもある、「中国石油化工集団(シノペック)」傘下の易捷(easy joy)。
この易捷は「中国国内で最も店舗数の多いコンビニで、2万7699店舗展開」とあるから、日本国内に2100店以上を擁する日本国内シェアナンバーワンのセブンイレブンの中国版とでも評せるコンビニだ。
それで早速、車に乗って自宅からほど近いガソリンスタンドにある易捷に行ってみる。
「いらっしゃい、コーヒーが安いよ!」。見ればネスカフェのコーヒーラテ(268ml)が5.5元つまり100円弱とある。うーん、まあ安いんだけど…やっぱり普通かな…
当然のことながらサンドイッチなどあろうはずもなく、「パン?パンならそこ」と、パン菓子(菓子パンのことではなく、固めのロールパンのようなパンが一つ一つ個包装されてお菓子売り場に並べられている)を示される。
ついでに中国で店舗数2万という「店舗数第3位」な「中国石油天然気股份有限公司(ペトロチャイナ)」傘下のガソリンスタンド・コンビニである崑崙好客(uSmile)にも立ち寄ってみる。ここはさしずめ、日本国内第3位のローソンのような立ち位置にある。
「あんた一体何が欲しいの?選んであげようか?」。いやいや自分で選ぶよと答え、さっき買ったばかりのコーヒーが6元で売られているのをしり目に、オレオのイチゴ-ブルーベリークリームサンドに手を伸ばす。
このクッキーが6.5元つまり100円強だから、さっきのペットボトルコーヒーと合わせて12元つまり約200円。質的にもそうかもしれないが、値段的にも日本とほぼ同じだから、正直、お得感も満足感もほとんどない。
というか、こんな「お菓子セット」では、食事らしい食事ができそうにない。
これは余談だが、僕は以前から、このいわゆるガソリンスタンド・コンビニで幾度となく失望を味わってきた。というのも、外見的には明らかにコンビニなのに、品揃えが全然コンビニでないのである。
そこにあるものと言えば、どこにでもあるようなお菓子と、カップ麺と、パン菓子(ごくたまにだが、ロングライフ・パンもある)と、とっさに必要となった時のための間に合わせな贈答品セットと、幾許かの生活用品と、缶やペットボトルの飲料だけである。
そう、もうお気付きかもしれないが、ガソリンスタンド・コンビニには冷蔵ショーケースがないのである。これでは一昔前の日本の-そして今の中国の-個人スーパーと何ら変わりない。
だから、サンドイッチやお弁当などを置きようがない。もちろん淹れたてコーヒーのようなものも、あったためしがない。
幸い、このガソリンスタンド・コンビニ以外のコンビニであれば冷蔵ショーケースもあるから、日本のコンビニの品揃えにかなり近いものがある(サンドイッチもあるし、もし飲みたければ淹れたての「コーヒー飲料」もある)。
もっとも最初に書いたように、中国のコンビニは質も満足感も、日本のコンビニには遠く及ばない。
では中国にいて、コンビニで食事らしい食事をしたい僕は、一体どうすればいいのか。
正直、中国にある日系のコンビニにはあまり行きたくない。日本の本家のそれに及ばない上に相対的に値段が高い(物価が中国より高い日本とほぼ同価格)。
ないないづくしなガソリンスタンド・コンビニも、もうこりごりである。
それで普通のコンビニに行くのだが、10-20元(日本円にして150‐300円)で普通にランチが食べられる中国で、それ以上の金額を出すなど、半ば中国人な僕にとっては全く論外である。
だから数日前に中国のコンビニに行った折、経済性を最優先しつつ日本人の嗜好または習慣で「それらしい」ものをチョイスしたつもりだった。
結果は…帰ってからお腹の調子があまり良くないことに気付き、正露丸を飲んだ…
正直な話、僕はこれを機に、自ら進んで中国のコンビニに行くのをやめようと本気で思っている。それはなぜか。
僕がもし中国人であったなら、コンビニは決して最初の選択肢ではなく、もしかしたら最後の選択肢であろう。もし日本人で日本にいたとしても、コンビニは常に次善の選択肢でしかない。
そもそも中国のコンビニに日本のそれを期待すべきではなかったと、今は深く反省している。
もっとも数年後の中国のコンビニは、また違うのかもしれないが。
というのも、「中国がコンビニ倍増計画 2022年までに30万店目標 物流整備が課題 | SankeiBiz(サンケイビズ)」によれば、中国政府が全国のコンビニ店舗数を2022年までに現在の倍以上の30万店に増やすというこの計画は中国商務省がこのほど「3年計画」として発表した。
「コンビニが新型コロナで『人々の生活を保障した』と評価。今後は地方都市への展開を強化し、無人店を含めた24時間営業店も増やすよう指示した。各店で生鮮食品や食事を提供し、電気、水道など公共料金の支払いができるようにするなどサービス面の強化も促す」とある。
うーん…中国政府のテコ入れで、コンビニ無人店か…
あるいは将来、中国のコンビニは大化けするのかもしれない。このお国の政府が自ら気合注入となれば、なおさらである。
そして「中国のコンビニを利用した日本人が『尋常じゃない』と思う理由」みたいな記事が出る日が来るのかもしれない。中国在住の日本人としてワクワクするが、正直なところ複雑でもある。
というのも最近の中国のスーパーやファストフードのセルフレジから察するに、その記事はこんな感じになるからだ。
「新型コロナで人々の生活を保障するため、中国政府が提供するこの全く新しいタイプのコンビニは、生鮮食品や食事を提供し、電気、水道など公共料金の支払いができる。弁当やサラダ、スイーツなど、まるで日本のコンビニのレベルで、淹れたてのコーヒーも日本のコンビニに負けないほどおいしいと、日本人でさえ絶賛している」
「この無人店を含めた24時間営業店は、将来的には身分証確認か顔認証をしない限り売り買いも何もできないようにするための一環であり、個人スーパーに取って代わる模範店舗として全国展開中である」。
■筆者プロフィール:大串 富史
本業はITなんでも屋なフリーライター。各種メディアでゴーストライターをするかたわら、中国・北京に8年間、中国・青島に3年間滞在。中国人の妻の助けと支えのもと新HSK6級を取得後は、共にネット留学を旨とする「長城中国語」にて中国語また日本語を教えつつ日中中日翻訳にもたずさわる。中国・中国人・中国語学習・中国ビジネスの真相を日本に紹介するコラムを執筆中。関連サイト「長城中国語」はこちら
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