人民網日本語版 2020年10月31日(土) 14時40分
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ペットショート動画のアカウント、カメラの前の主人公はますます多様化し、よくある犬・猫だけでなく、ミニブタ、コールダック、アルパカ、亀などの小動物がネットユーザーの注目を集めている。写真はミニブタ。
誰でもライブ配信ができる今の時代、画面の主役は人だけではない。スケートボードをするブルドッグ、天使の笑顔のようなサモエド、ぐんにゃりとした姿がかわいらしい愛嬌あるトラ猫…たくさんのかわいいペットたちがいつのまにやらライブ配信室を占領し、大勢のネットユーザーがペットたちに「いいね!」を送り、QRコードをスキャンしてプレゼントを贈りまくっている。ペットショート動画のアカウント、カメラの前の主人公はますます多様化し、よくある犬・猫だけでなく、ミニブタ、コールダック、アルパカ、亀などの小動物がネットユーザーの注目を集めている。北京日報が伝えた。
ショート動画共有アプリの快手がまとめた報告では、2020年5月末現在、快手では5.4秒に1回ペット動画配信があり、視聴者は1億人を超えたという。こうしたペットたちが今や同じくショート動画共有アプリの「抖音」(TikTok)、快手、オンラインモールの淘宝(タオバオ)などのプラットフォームがアクセスを奪い合う強力な道具になり、ペットECさらにはペット経済の急速な発展をもたらしたことは否定できない。
■438万人がオンラインでミニブタを鑑賞
愛らしいミニブタが、自分でトイレに行ってペット用の便器にちょこんと座る。前足で後ろ足を押さえながら、ハーハー息をして用を足している。TikTokの「元宝不聴話」アカウントがこんなショート動画をアップすると、あっというまに438万の「いいね!」がつき、300万人のフォロワーがついた。コメント欄には「本当にかわいい!」、「人間の子どもみたい!」といったファンからの書き込みが続々と寄せられた。別のミニブタはライブ配信パーソナリティーになって、カメラの前でひたすら食べ続け、「ストレス解消になる」、「癒やされる」などの書き込みであふれた。
最近ネットで大人気のコールダックもライブ配信室の常連だ。快手では、コールダックとネットで人気のライブ配信パーソナリティーが中継をつないで歌の才能を競い合った。パーソナリティーが童謡「アヒルを数える」を歌うと、コールダックも負けじとガーガー歌い出し、緩急のついた歌声がかわいらしい表情や絶妙な動きと相まって大評判になり、ネットユーザーからは次々にプレゼントが贈られてきた。しばらくすると、コールダックの人気はプロの歌手ブロガーをしのぐようになった。コールダックの飼い主は、「相当のアクセスがあってかなりの収入になった。今の仕事を辞めて、プロのペットブロガーになろうかと考えている」と話した。
淘宝のライブ配信では、ペット民泊施設もファンの視野を広げた。カメラの前で、ゴールデン・レトリバーとコーギーがガイドになってネットユーザーに民泊の部屋を案内する。犬専用のプール、ブランコ、滑り台を見たネットユーザーは、「人間よりも犬の方が待遇がいい」と驚きを隠せずにいる。今では、大勢のネットユーザーがこうしたペットたちのファンになり、プレゼントなどで惜しみなくお金を使う。
■ライブコマース1回で売り上げ3240万円
かわいさだけでなく、ペットたちのライブコマースの集金力は軽視できない。ショッピングイベント「618」のセール期間中、TikTokのペット動画配信パーソナリティー「汪小隠厳選」さんは、ライブコマースで208万元(約3240万円)に達し、視聴者はのべ100万人に迫った。
実際、ペット消費の高度化は飼い主たちの間で争えない事実となっている。犬・猫用ペットフードなどの食品のほか、サプリメントやペット用娯楽施設も少なくない。「ビタミンにプロバイオティクス(善玉菌)にヨウ化カリウム、ラクトフェリン、フィッシュオイル、栄養補助食品…それからもっと大きな猫用爪とぎタワーも買う予定」。4匹の猫の飼い主の彭さん(女性)はこのようにペット関連の支出を説明した上で、「こういうペット用品はライブ配信室で紹介していたものが多い。ペットブロガーが使っているキャットフードやおもちゃを見て、自分も同じものをそろえようと思った。毎月ペットのライブ配信を見て2000元(約3万1000円)くらいペットグッズを買っている。最初の猫を飼い始めた時に比べて、今は1匹あたりの出費が5倍近くに増えた」と話した。
ペットライブ配信が盛んになってペットの日常的な消費が急増しただけでなく、ペットの誕生日を祝ったり、結婚式を挙げたりするのも珍しいことではなくなった。秦さんの家のブルドックは最近、3歳の誕生日を迎えたところだ。秦さんは、「シャンプーに連れて行って50元(約770円)、ペット用ケーキが188元(約2900円)、さらに部屋を装飾して、この子の写真をプリントして、誕生日のポスターを作った。今年の誕生日には500元(約7700円)近く使った」と振り返り、「以前はペットの誕生日を祝うなんて考えもしなかったけれど、TikTokで小さなワンちゃんの誕生日の動画を見て、いろんなアイデアが芽生えてきた。次はこの子に心温まる結婚式を挙げてあげたい」と話した。
ペット消費高度化の背後には、消費意識の変化と感情面でのニーズがある。ペット消費をする人の多くは80後(1980年代生まれ)と90後(1990年代生まれ)で、彼らは一定の消費パワーを備えるだけでなく、ペットを家族と考える。「2019年中国ペット業界白書」の研究結果によると、ペットの飼い主の59.1%がペットを自分の子どもと考えているという。ペット消費は「家族への愛」を物質的に表現したというだけでなく、自分のある種の感情的ニーズを満たすものであり、また暮らしの中で感じるマイナスの感情を和らげてくれるものでもある。
■市場規模は3兆1000億円を超える
同白書によると、19年に全国都市部で飼われている犬・猫は9915万匹に上り、消費規模は2000億元(約3兆1000億円)を超えた。この1000億元規模の市場が今もなお発展を続けている。
オンラインフードデリバリープラットフォーム「Eleme」が発表した「2020年ペットデリバリー報告」では、過去1年間に、Elemeのペット用デリバリー注文が前年比135%増加し、注文1件あたりの平均消費額は125元(約1900円)だった。キャットフード、ドッグフード、猫砂、ペット用缶詰、ペット用おやつなどの売上増加率は100%を超えたという。ここからわかるのは、人々がペットのためのオンラインショッピングをますます喜ぶようになったこと、ペットのためなら大枚をはたいても構わないと考えるようになったことだ。
ペット用デリバリーだけでなく、ペット業界のメディア企業も同じように発展を遂げている。星寵秀(ペットスター)はペットの動画を専門的に制作し、ネットで人気のペットをプロデュースする企業だ。同社が発表したデータをみると、20年の同社の売り上げは4倍近く増加している。今後は、個人メディアプラットフォームではTikTokか小紅書を中心にしつつ、bilibili(ビリビリ)と快手とも提携する。小紅書で協力にサインしたペット用アカウントはすでに800個を超えたという。
だが、過熱気味のペット市場だが冷静に眺める必要もある。今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、ペットのトリミングや医療サービスを提供する店舗の多くが大きな打撃を受けた。業界関係者は、「ペット業界は今なお内部や外部でさまざまな問題に直面している。この業界に携わる人はオンラインでのサービス提供へのモデル転換のチャンスをつかんだ人しか、ボーナスを享受することはできないだろう」との見方を示す。(提供/人民網日本語版・編集/KS)
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