日本僑報社 2020年10月11日(日) 15時40分
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中国では日本人は化粧が上手だというイメージがある。長崎に留学すると、本物の日本人をたくさん見る機会に恵まれたが、間近に目にした日本人の化粧は想像以上だった。資料写真。
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中国で「化粧術」といわれる日本のメイク方法は、中国の「PS術(※画像の加工)」、韓国の「整形術」、タイの「変性術」とともに「アジアの四大邪術」の一つとされている。だから、中国では日本人は化粧が上手だというイメージがある。
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今年の四月に、長崎に留学すると、本物の日本人をたくさん見る機会に恵まれたが、間近に目にした日本人の化粧は想像以上だった。
町を歩き回っていると、若い女性はもちろん、お年寄りもきれいに化粧をしていた。さらに、化粧品コーナーで熱心に化粧品を選んでいる人も珍しくなく、その中にはおじいさんまでいた。だが、それを気にする人はいなかった。若者だけでなく、お年寄りもごく普通に化粧をすることに中国人の私は、新しい魅力を感じた。
中国では、お年寄りの女性は素顔のほうが多い。特に田舎では、おしゃれをしすぎると人に嫌われる可能性もある。お年寄りの化粧には、本人のみならず、周りの人にも大きな抵抗感があり、それを許さない雰囲気があるのだ。何故、中国と違うのだろうかと疑問に思った。
でもその後、話を聞くチャンスがあった。私の寮には月に一回、隣の公園を掃除するボランティア活動がある。新入生の私も友達と一緒に参加した。学生以外では、近所のお年寄りたちも参加していた。草を抜きながら中国語で友達と話していると、傍で落ち葉拾いをしていたおばあさんに話しかけられた。
打ち解けた後で、ちゃんと化粧しているおばあさんに「中国ではお年寄りが化粧をするのは珍しいんですが、日本のお年寄りがきれいに化粧するのは普通ですよね。それはどうしてですか?」と質問した。おばあさんは微笑んで「わたしは化粧したいから化粧してるだけ。それに、美しい人のほうがモテるでしょう?」と答えた。「そうですか……。でも、文句を言われたりしませんか?年寄りなのにおしゃれをしすぎ!とか……」「化粧するのはね、きれいになりたいから。努力してもっと自分をよくする。それは人に迷惑をかけることじゃない。逆に、人に敬意を払う振る舞いだと思うのよ。もちろん、きれいに化粧をしようとして失敗しちゃったこともあるけど」とおばあさんは説明した。
それから、まだ初心者だったころ、チークの加減がわからず、塗りすぎて「おてもやん」状態になったことなど、若い頃の面白い話をしてくれた。知らず知らずのうちに時間は経って、寮の集合時間になったので、おばあさんと別れた。
帰る途中で、祖母のことを思った。大学に入ってから一度、生まれも育ちも田舎の祖母に化粧をしてあげようとしたことがあるが、祖母には「もうこんな年だから、化粧するなんて恥ずかしい」と断られた。しかし、祖母は時々鏡を見ては「シワがこんなにいっぱいになっちゃったか」とか、洋服を買うときには「どうしておばあさんだと紺とか黒とか、地味な色しかないのよ!」と文句を言ったりする。
実は祖母もきれいになりたいのだと思う。「もうこんな年だ」から化粧をしたくないとか言っているが、本当に化粧が嫌いなわけではないはずだ。それはただ「人に文句を言われたくない」とか「嫌われたくない」という理由だけでしかない。お年寄りは化粧をしないという中国の古い暗黙のルールにこだわってしまっているのだと思う。
しかし、化粧することと年齢とは、全く関係がないはずだ。化粧するかどうかは自分の気持ち次第だ。さらに対人関係では、相手を重視して敬意を払うために化粧をし、相手も年齢に関係なく美を求め続ける気持ちを認める。それが日本ではお年寄りでも化粧をしている理由なのだと思う。このような「化粧術」は「邪術」というより、むしろ「仙術」だと思う。
だから、日本のお年寄りの化粧を中国のお年寄りにも広められれば最高だ!今度は、祖母とちゃんと話をして、化粧をしてあげたい。祖母や中国のお年寄りが周りの目を気にせずにきれいに化粧をして、なりたい自分になることを心から望んでいる。(提供/日本僑報社)
※本文は、第十四回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国の若者が見つけた日本の新しい魅力」(段躍中編、日本僑報社、2018年)より、高楹楹さん(杭州師範大学)の作品「日本の新しい魅力、それは、きれいに化粧をしているお年寄り」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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