人民網日本語版 2020年9月20日(日) 10時20分
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日本経済新聞がこのほど、日系企業が中国からの撤退待ちの列に並んでいると伝えたことが注目を集めている。写真はユニクロのコラボTシャツ。
日本経済新聞がこのほど、日系企業が中国からの撤退待ちの列に並んでいると伝えたことが注目を集めている。7月末現在、工場を日本に戻す申請を行った第2弾の在中国日系企業は1670社に上り、補助金の申請額は1兆7600億円に達し、日本政府が組んだ予算の8倍になった。一部のメディアはこれに乗じて日系企業が大挙して中国から撤退しつつあると騒ぎ立てるが、それは事実と大きく異なる。環球時報が伝えた。(文:張玉来・南開大学世界近現代史研究センター教授、日本研究院副院長)
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、日本政府は今年4月、「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」政策を打ち出し、日本国内の健康・ヘルスケア産業のサプライチェーンの安全を確保しようとした。補助金の規模は2200億円で、総額57兆6000億元に上るコロナ対策の補正予算案に占める割合は4‰にも満たない。日本は過去の危機対応においても同様の政策を打ち出しており、たとえば2011年の東日本大震災の時には、サプライチェーン強化のために総額2000億円の国内立地補助金を交付した。
今回の撤退をめぐって補助金を申請した第1弾・第2弾の企業1700社余りは、在中国日系企業約3万5000社の5%にも満たない。普通の状況であれば、企業の5-10%が経営環境や企業自身の状況のために、経営戦略を調整したりさらには中国市場から撤退したりするのは、ごく当たり前のことだ。第2弾の補助金獲得企業のリストはまだ公表されていないが、第1弾の87社をみると、製造業の労働集約型産業の企業が中心になるとみられる。
実際のところ、最近の日本の対中投資は減少するどころか、かえって増加している。日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査では、19年の日本の対中投資は143億7000万ドルに達し、前年比約24億ドル増加し、増加幅は約24%だった。コロナの深刻な打撃を受けながら、20年上半期の対中投資は64億5000万ドルに達した。例えば資生堂を例にすると、年初に上海に研究開発センターを新設したと発表しただけでなく、大規模な投資を行って中国でデジタル化へのモデル転換を推進する方針も明らかにした。
また、日系企業にとって、中国消費市場の魅力がますます大きくなっている。日本経済研究センター(JCER)と日本経済新聞が最近、上場企業で働くビジネスマン3000人を対象に行った調査では、回答者の約70%が、「14億人の人口を擁し、中産階級がますます増加する中国市場はとても重要だ」との見方を示した。自動車市場の場合、19年の中国での新車販売量は約2500万台に上り、世界最大市場の座をキープした。また、在中国日系自動車メーカーの新車販売量が初めて500万台を突破し、日本国内の市場規模を上回った。感染症の中でも、ホンダとトヨタの中国販売量は過去最高を更新し続けている。
また、共同でのイノベーションが日系企業が中国を重視する新たな動機になりつつある。日本の経済界では最近、「グローバルイノベーションセンターが中国をはじめとするアジア地域に移ってきている」との共通認識が形成された。経済界は中国に次々誕生するたくさんのハイテク企業に非常に注目しており、こうした中国企業との協力による共同でのイノベーションを模索し始めたところもある。たとえばトヨタは深センのモノのインターネット(IoT)デバイス支援企業の「硬蛋」と技術協力を展開するだけでなく、清華大学系の北京億華通科技、北京汽車集団などの中国企業5社と共同で燃料電池の開発を進める。ホンダも世界最大の車載電池メーカーである中国の寧徳時代新能源科技と資本提携を行い、600億円の資金を投入するという。
感染症が発生した以降、日本政府はさきに、「日系企業に産業チェーンの一部を中国から撤退させて日本に戻すか東南アジアに移転するよう要請し、中国への依存度を引き下げる」としていた。しかし現在、世界経済の衰退リスクが高まる中、日本経済にとって「中国要素」がますます重要になっている。日本政府が中国と「デカップリング」(切り離し)するという軽率な選択をすることはないだろう。(提供/人民網日本語版・編集/KS)
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