Record China 2014年2月5日(水) 6時20分
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31日は旧正月だった。中国版紅白と呼ばれるCCTVの特番「春晩」がつまらなかった。爆竹で大気汚染が悪化、花火で火事多発といった毎年お決まりの旧正月ニュースが流れているが、新鮮だったのは「ソーシャルお年玉」の流行だ。
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2014年1月31日は旧正月だった。中国版紅白と呼ばれるCCTVの特番「春晩」がつまらなかった。爆竹で大気汚染が悪化、花火で火事多発といった毎年お決まりの旧正月ニュースが流れているが、新鮮だったのは「ソーシャルお年玉」の流行だ。
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「ソーシャルお年玉」とは、“中国のLINE”微信(Wechat)が28日に開設した機能「微信紅包」(Wechatお年玉)のこと。特定の相手にお年玉を送る「普通お年玉」と、「運試しグループお年玉」の2つの機能がある。
特に遊ばれているのが後者だ。複数人のフレンドとチャットするグループチャットを対象としたもの。最大200元のお年玉をいくつかのお年玉袋に分けてプレゼントするのだが、中身の金額はランダムで決まる。総額100元を2つのお年玉袋に分けた場合、10元と90元といったふうにアンバランスな分割となる。中身がどれだけ入っているのかは運試しというわけだ。
普通に新年のあいさつを送るのと比べれば、ちょっと気の利いた、楽しいお年玉つきメッセージが送れるわけで、なかなか楽しい機能と言えそうだ。
■モバイル決済の王者は誰の手に
この「ソーシャルお年玉」だが、たんに旧正月の話題作り以上の効果があるのではないか、と見られている。というにもお年玉を送るにも受け取るにも、微信アプリに銀行口座をひも付けしなければならないからだ。この「微信紅包」の大ヒットで、新たに1億人ものユーザーが微信に銀行口座をひも付けしたとみられる。ネット決済戦争を闘うテンセントにとっては何よりの朗報だ。
というのも今、中国のIT業界でもっともホットな話題は、IT企業が銀行の縄張りに進出する「インターネット金融」だ。主な戦場は「決済」と「預金」だが、微信は決済の分野で戦っている。「中国版LINE」と「インターネット金融」がどう関係するのか不思議に思われるかもしれないが、テンセントはこれまでネットを使わなかった層にも普及しつつある微信をプラットフォーム化する戦略を立てている。
その柱となるのが決済だ。微信に銀行口座やクレジットカードをひも付けすることで、ネットの決済がしやすくなるほか、公共料金などを支払うことも可能。今後、支払いに使える分野はさらに拡大する予定。スマートフォンで微信を立ち上げて、QRコードを読み込むだけで支払いできるようになるという。
日本だとクレジットカードが担っている分野だが、中国ではクレジットカードやデビッドカードがある程度普及したとはいえ、まだIT企業が狙うチャンスは残されている。微信紅包で新たに1億人もの口座ひも付けユーザーを手に入れたテンセントは、モバイル決済の王者の地位に一歩近づいたと言えそうだ。
■便利でお得なインターネット「貯金」
「インターネット金融」、もう一つの戦場である「預金」についても簡単に説明を。余額宝を皮切りに次々と「預金」サービスが登場している。テンセントも微信理財通という同様のサービスを開始した。
余額宝などのサービスは「ネットの決済用口座に現金をチャージしておくと利子が付く」という内容。実際には超少額で購入可能な信託商品という構造だが、銀行口座同様に簡単に現金として引き出せる上、利率は普通預金の14倍(2014年1月30日時点で6.36%)という高利だ。信託商品だけに運用失敗で元本割れの危険性もあるはずだが、「理論的には損失の可能性もありますが、収益はきわめて安定しておりリスクは極小です」と説明されている。
余額宝の残高は今年1月15日時点で2500億元(約4兆2000億円)を突破したが、その後、旧正月を前に残高は急増しているという。年終奨(旧正月前のボーナス)が出たこの時期は投資シーズンでもある。「宝飾店に金を買う人が殺到」というニュースも投資のバリエーションの1つのわけだが、選択肢の1つとして余額宝を選ぶ人が増えているという。
◆筆者プロフィール:高口康太(たかぐち・こうた)
翻訳家、ライター。豊富な中国経験を活かし、海外の視点ではなく中国の論理を理解した上でその問題点を浮き上がらせることに定評がある。独自の切り口で中国と新興国を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。
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