Record China 2014年1月21日(火) 21時40分
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「東南アジア初のJリーガー」レコンビン。2014年以降も日本でプレーして欲しいと熱望されてきましたが、7日、コンサドーレ札幌は獲得交渉断念を正式発表しました。資料写真。
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「東南アジア初のJリーガー」レコンビン。2013年7月にJ2のコンサドーレ札幌に年末までの契約で加入。公式試合11試合に出場し4得点をあげる活躍を見せました。「東南アジア初のJリーガー」という色眼鏡を跳ね返すのに十分な活躍ですし、Jリーグの東南アジア展開の切り札としても期待されていました。2014年以降も日本でプレーして欲しいと熱望されてきましたが、7日、コンサドーレ札幌は獲得交渉断念を正式発表しました。
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レコンビンとその残留交渉については日本メディアでも相当報道がありましたが、ベトナム側ではどのように報じられてきたのでしょうか?
■ベトナムでは年末時点で「日本移籍断念」と報道
ベトナムメディアは12月28日の時点で「レコンビンはソンラム・ゲアンに残留と正式決定」との速報がありました。その前々日、26日にベトナムのサッカー誌ウェブサイトでレコンビンのインタビューが掲載されていましたが、「札幌が(移籍金として)提示した24万ドルは、ソンラム・ゲアン・クラブとの契約でも14年に日本でのプレーを許す条件を満たしている。後は自分の決断次第」と発言。札幌行き決断とも取れそうなコメントをしていたので、日本移籍断念という結論には驚きました。
コンサドーレはそれから10日ほどが過ぎた1月7日に交渉断念を正式発表したのですが、年末年始だったからか、あるいは「小野伸二6月加入!」という代わりのビッグニュースとともに発表したかったためなのかもしれません。
■日本に行けなかった理由とは?熱いサポーター、チーム事情、家族の問題
日本では「レコンビンは日本でのプレーを希望しているが、クラブがそれを許さない」と報じられたこともあり、ベトナムでの所属クラブがいわば“悪者”扱いされていた印象もありましたが、ベトナム側の報道から見るとどうなのでしょうか?熱いサポーター、チーム事情、レコンビンの家族の問題という3点が挙げられます。
「ベトナムの英雄という触れ込みのレコンビンですが、実は2012年には代表メンバーから外れる、所属クラブ・ハノイFCのオーナーが逮捕されチームが消滅という苦境に立たされていました。「いよいよレコンビン時代も終わりか」というムードもあったのですが、2013年にソンラム・ゲアンに加盟して再び上昇基調に。
Vリーグ(ベトナムリーグ)そのものはあまり人気はないのですが、その中でもソンラム・ゲアンは熱狂的なサポーターが多いクラブとして有名。ベトナムの「浦和レッズ」とでもいうべき存在です。2013シーズン最終盤では優勝争いのライバルが負けるよう、わざわざ「逆応援」に出向いたサポーターもいたほど。
レコンビンはゲアンに所属するやいなや大活躍。ゲアン省出身の地元選手であり、2013年シーズンは13得点を挙げて得点王ランキング2位につけました。シーズン終盤での移籍がなければ得点王を取っていた可能性は相当高いでしょう。というわけで、レコンビン残留を求めるサポーターの圧力は相当大きかったでしょうし、そもそもコンサドーレへの短期移籍についても「優勝争いほっぽりだして行くなよ」と思っていた人も多いでしょう。
また、ソンラム・ゲアンのチーム事情としても、主力選手が次々と抜けるなか、14年度の戦力の見通しが立たない危機に立たされています。今シーズンのVリーグは1月11日開幕。年末にも地元サッカー紙で「毎年優良外国人を獲得するソンラム・ゲアンだが、今年はまだ補強がない」と報道されていました。「レコンビン残留が最大の補強」という状況。Huu Thang監督が「レコンビン売るならオレも辞める」と発言したほどで、移籍金で合意したとしてもチーム事情的にはとても放出できる状況ではなかったのでしょう。
また、家族の問題もありそうです。レコンビン自身、「家族と離れるのはつらい」と繰り返し発言しています。奥さんは人気歌手のThuyTienさん。お仕事もあるだけに単身赴任は仕方がないところです。
■今夏に日本再チャレンジか?
もっともこれで終わりではないのではないでしょうか。
レコンビン自身が日本行きに未練を残す発言を繰り返しています。Vリーグは1月11日に開幕、8月24日に閉幕します。その後ならばソンラム・ゲアンが手放す可能性は十分ありそうですし、コンサドーレ札幌も移籍金なしのフリー獲得できるのではないでしょうか。
「英雄」レコンビンがラストシーズンでしっかりとベトナムでの貢献を果たし、その上で日本に再チャレンジ。となれば一番いいのではというのが筆者の偽らざる気持ちです。
◆筆者プロフィール:いまじゅん
ハノイ在住のベトナムウォッチャー。ブログ「ハノイで考えたこと」作者。中国在住も長かったため、ベトナムから見た中国、中国とベトナム比較といった視点にも注目。個人的には湘南ベルマーレの熱烈サポーターということから、サブトピックとしてはアジア・ベトナムサッカーにも関心大。
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