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中身が見えないブラインドボックスで何を売っているか?

人民網日本語版    2020年6月19日(金) 20時50分

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中身が見えない「盲盒」(ブラインドボックス)は日本の福袋やガチャガチャを源流とするコンセプト消費で、ここ数年の間に人々の視界に入ってきた。

中身が見えない「盲盒」(ブラインドボックス)は日本の福袋やガチャガチャを源流とするコンセプト消費で、ここ数年の間に人々の視界に入ってきた。

「盲盒は以前のインスタントラーメンを買ってカードを集めるのと似ているが、ラーメンは安くておいしかった。盲盒は見て楽しいし遊べるけれど、口には入らないし、値段もラーメンの何倍もする」。盲盒についてこのように評価するネットユーザーがいる。

しかし価格が高くて、小さな可愛らしいグッズだが、大勢の90後(1990年代生まれ)や00後(2000年代生まれ)は惜しげもなくお金を使って盲盒を購入する。

天猫のデータによると、2019年には約20万人が一人あたり平均2万元(1元は約15.2円)以上を盲盒のコレクションにつぎ込み、年間100万元近く使った猛者もいる。中国で盲盒という習慣を広めたポップマート社は、若い人の支持を受けて株式も上場した。盲盒の魅力はなぜこれほど強いのか。盲盒が売っているのは結局何なのか。

高プレミアで盲盒が新たな「資産運用商品」に?

盲盒は簡単に言えば次のようなものだ。買う時に中に何が入っているかはわからず、何かが入っている。今最も人気があるのは漫画アニメのフィギュアや関連グッズで、値段は30元から100元までと開きがある。

盲盒の中国での歴史はそれほど長くない。05年頃に人気おもちゃ工房と独立したデザイナーが登場し、10年前後にポップマートや19八3などのカルチャートレンド企業が誕生し、市場の標準化が始まった。15年から16年にかけては、52toysや葩趣などのプラットフォームがリリースされた。

キャラクター玩具の後押しを受けて、盲盒が確立して爆発的な成長期を迎えた。中国産業情報網のデータによれば、19年の盲盒の成長率は609%に達し、消費者1人当たり平均4.2個を購入したという。

粗利益率の高さ。これが現在の盲盒産業の際だった特徴の一つで、企業の中には65%に達するところもある。さらにびっくりするのは、盲盒玩具は中古取引市場でのプレミアが価格の数十倍にも、時には100倍以上にもなることだ。

天猫が19年8月に発表した「95後(1995年から1999年生まれ)ゲーマー手切れ力ランキング」(手切れとはネット通販などで過剰な衝動買いをしてしまうことを指す)をみると、95後が最もお金を使う趣味のうち、人気おもちゃ・フィギュアが1位だった。盲盒のコレクションは「ガチ」の愛好家の増加率が最も高い分野となっている。天猫だけみても、20万人近い消費者が毎年平均2万元以上をつぎ込み、購買力が最も高い層は年間100万元以上使い、年代別では95後が大半を占めた。中古品取引プラットフォームの閑魚が発表したデータでは、ポップマートで人気の盲盒は値段が59元から2350元に跳ね上がり、59倍にもなった。盲盒を転売して年間10万元を稼ぐ人もいる。ポップマートはおもちゃを大人の楽しみに変えた人気おもちゃブランド企業で、売上高は17年の1億5800万元が19年は16億8300万元になり、粗利益率は64.8%に達し、時価総額は14倍増加した。

こうした発展の流れと同時に、盲盒の楽しみ方も「枠を超える」ようになり、飲食、化粧品、文房具、アパレルなどより多くの業界が盲盒を受け入れ、盲盒のノウハウを参考にするようになった。たとえばピザレストランのピザハットとオンラインフードデリバリープラットフォーム「Eleme」がこのほどAthiefやBeasterといった30の「国潮」(中国の伝統要素を取り入れたおしゃな国産品トレンド)ブランドとコラボして30種類の記念Tシャツを打ち出し、盲盒の形で発売した。

盲盒が売っているのは「盲」か「盒」か?

消費者の欧さんは盲盒について、「何が入っているかわからないので、ドキドキするし期待もする」と話す。業界関係者の文果さんは、「盲盒は1つ買うと止まらなくなる。誰でも多かれ少なかれコレクション癖があるので、1つのセットの中に1個でも2個でも特に気に入ったものがあれば、あっという間にコンプリートしなければ気が済まなくなる」と話す。

盲盒はフィギュアとは違い、世界観や価値観はなく、芸術性は高くない。理解するために長い時間をかける必要はないし、デザイナーや創作の理念をざっと理解するだけでいい。あとはデザインが好きかどうか、自分に買えるかどうかだけだ。盲盒という名前の由来は、おもちゃが表示のない箱(盒)に入っていて、消費者は開けるまで自分が買ったのがどのおもちゃかわからない(盲)というところにあり、こうした仕掛けが単純な商品に不確実性を持たせる。この不確実性こそが人々の心にぴたりとはまり、盲盒はギャンブルのように癖になる。

盲盒経済には人々の「ギャンブル性」が潜むというなら、そこに付随するのはメンタル性だ。

業界関係者がいみじくも述べたように、盲盒が成功したのは、これが単なる商品やモノを売っているのではないから、売っているのが感情や娯楽性だからだ。

つまり盲盒とは「小売の娯楽化」だ。買う側にとって、商品を開けた時に商品そのものとの関係は終わる。買ったのは感情であり、ワクワクする感覚であり、商品を買うことから感情を買うことへの非常に大きな変化がそこにはある。

盲盒には書籍、おやつ、化粧品、飲食品、アパレル製品などがあるが、主役はキャラクター玩具だ。盲盒のおもちゃに人々は何を見るのだろうか。ある種の人々にとって盲盒のおもちゃは、パートナーであり、愛玩物であり、人とつながるきっかけだ。

現代の都市社会では「パートナー」は希少資源になった。同年代の親族がいない95後や00後の一人っ子、仕事が忙しく日常的な交流や交際が少ないホワイトカラー、お金と暇をもてあます高齢者が、「パートナー経済」を急速に発展させた。

こうした人々にとって、盲盒のおもちゃは自分に寄り添う「パートナー」で、持っているおもちゃを「うちの子」と呼ぶ人もいる。盲盒おもちゃのコミュニティで人と交流したり楽しみを共有する人もいて、盲盒に社交的な属性も加わった。

盲盒の根本はキャラクターの戦い

現在の盲盒ビジネスは、おもちゃでも、書籍、アパレル製品、飲食品、化粧品、文房具などの分野でも、実質的にはキャラクターの商品化だ。特におもちゃは漫画・アニメ・映画に関するものが多く、デザイナーが単独でデザインしたものもあるが、消費者にとってみれば、盲盒を購入する一番大きな動機はキャラクターとデザインを手に入れたいというところにある。

趙さんはハリー・ポッターの熱烈なファンで、ハリー・ポッターは某盲盒メーカーと提携したときには、「これまでずっと盲盒を買う人の気持ちが理解できなかった」という彼女が、コラボシリーズを手に入れると決め、「全部買ってもいい」と言うまでになった。

ポップマートの創業者の王寧さんは以前に講演会の中で盲盒のコア競争力に触れ、「それはキャラクターの価値だ。人気キャラクターとの独占契約がまさにポイントの1つ」と語った。

商業化のポテンシャルを秘めたキャラクターを探し、ルートの優位性を利用して商業化を進めるのが、盲盒が長らく人気を獲得し続けていることの内在的な中核論理だ。パートナーのようであることと不確実性がこの業界の発展の根本にある。キャラクター、サプライチェーン、ルートはこの業界によって検証されたビジネスの内側の実質だ。

未来のビジネスの戦いは盲盒に限定されず、人気おもちゃ界全体で新旧のキャラクターが戦うことになるだろう。(編集KS)

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