Record China 2020年6月21日(日) 9時0分
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中国メディアの澎湃新聞は16日、日本の主要各紙の中国に対する認識と姿勢について論じた、天津社会科学院日本研究所の劉樹良副研究員の論評を掲載した。
中国メディアの澎湃新聞は16日、日本の主要各紙の中国に対する認識と姿勢について論じた、天津社会科学院日本研究所の劉樹良(リウ・シューリアン)副研究員の論評を掲載した。
劉氏は中華人民共和国成立70周年の節目の年の国慶節(建国記念日)に中国政府が行った閲兵式や記念活動について、日本の主要各紙が掲載した社説からその違いを説明している。
劉氏はまず、「日本の5大全国紙の社説はいずれも新中国成立以来の70年の成果を肯定的に評価した」と指摘。毎日新聞が10月1日の社説「建国70年を迎えた中国 国際秩序と共存する道を」で「中国の国内総生産(GDP)は建国初期と比べ170倍以上に増え、平均寿命も35歳から77歳へと倍以上に延びたとされる。最貧国の一つだった中国が『世界の工場』と呼ばれるまでに発展を遂げたことは人類史上も特筆されるべきことだろう」などとしたこと、日本経済新聞が10月2日の社説「中国は70周年を機に世界と調和めざせ」で「1978年に『改革・開放』を打ち出して以来、国民生活は上向き、その後の高度成長で世界2位の経済大国に躍り出た。その発展ぶりには目を見張る」としたことを例に挙げた。また、朝日新聞、読売新聞、産経新聞の社説も同様に経済発展については肯定的に評価しているとし、「中国が世界第二の経済体となった事実を受け入れた」とした。
次に、天安門広場で行われた軍事パレードに関する内容について、劉氏は「指摘しなければならないのは右翼メディアの読売新聞と産経新聞、そして朝日新聞までもが依然として深い偏見と誤った認識を抱いていることだ」と指摘。例として、読売新聞が「経済成長率を上回る軍事費の膨張で軍拡が進む。南シナ海の軍事拠点化は地域を不安定化させた」、産経新聞が「透明性に欠ける国防政策の下での軍備拡張の脅威は一段と高まるだろう」、朝日新聞が「肥大化する中国の軍事力は、地域の安全保障環境を悪化させている」としたことを、いずれも「でたらめ」との評価を付けて紹介した。その上で、「日本のメディアは中国の国防力が正常に発展している現状に偏見を捨てきれず、依然として深い偏見と警戒を持っている」と評した。
続いて、「日本の主要メディアは中国の平和的な発展および今後の方向性についてはまだ古い考えを持っており、疑念と誤解、偏見が残っている」とし、「この点においては右翼メディアの論調が顕著だ」と説明。読売新聞が「強権的な統治を続けていけば、国際社会の圧力と国内の不満が高まり、経済成長の停滞や社会の不安定化を招くのではないか」「中国が国際ルールを守らないことへの危機感は、多くの国が共有する」としたこと、産経新聞が「中国共産党の独裁下で覇権の確立へと邁進(まいしん)するのか」「米国は中国の覇権を阻もうとあらゆる手を尽くしている」としたことを紹介した。
また、「これにとどまらず左翼メディアも同様の論調だった」とし、朝日新聞が「『一帯一路』と呼ばれる開発構想についても覇権狙いの疑いが拭えない」「70年を機に、時に尊大に映る自らの姿を見つめ直してもらいたい」「このまま時代錯誤の強権国家として摩擦を生み続けるのか、それとも国際社会との真の平和的共存をめざすのか。持続的な発展のかぎはそこにある」などとしたこと、毎日新聞や日経新聞も「強大化した中国に世界は戸惑い、警戒感が高まっている。(中略)国際秩序を破壊するのか。それとも共存を図るのか。中国の姿勢が問われている」「習近平政権の発足以降、目立つ対外強硬姿勢は、米国との摩擦を激化させ、世界経済の不安定要因になっている」とそれぞれ報じたことを紹介した。
このほか、日中関係の今後について、日経新聞が「厳しい時期が続いた日中関係は改善傾向にある。安倍晋三首相は中国建国70年を祝うビデオメッセージで習主席が来年、桜の咲く頃、国賓として来日する合意に触れ、中国でも繰り返し放送された。米中関係に左右されない安定した日中関係づくりには、首脳の定期的な相互訪問が欠かせない」、読売新聞が「日中関係改善の機運を生かし、中国が国際協調を重視して大国としての責任を果たすよう促さねばならない」と伝えたとする一方で、「日本は天安門事件後、いち早く対中支援を再開して強権支配の復活を助けた。関係改善を急ぐあまり同じ轍(てつ)を踏まないよう改めて求めたい」と伝えた産経新聞については「思想が過激」「明らかに時勢を理解しておらず、悪い下心を抱いている」と批判した。
劉氏はまとめとして、3つのポイントを挙げて改めて各紙の違いを解説した。
1つ目は「日本の主要メディアは中国の成功を肯定的に見ているものの、その心理状況には差がある」ことだとし、毎日新聞が中国の経済、社会、科学技術などの成果を詳しく紹介し、日経新聞が「その発展ぶりには目を見張る」と報じたのに対して、「朝日、読売、産経各紙はひと言ふた言触れる程度だった」と指摘した。
2つ目は中国の軍事力に関して「偏見と警戒を持っている」ことだとし、5紙について「わざわざ社説でDF-41(弾道ミサイル)や中国の国防費増、軍事力発展などの状況を挙げ、日本国民に向けて中国の『軍事的脅威』という雰囲気をつくり出している」と批判。「21世紀に入ってから、日本のメディアは軍事脅威論によって中国の軍事力の発展を表現し、日本国民の中に偏った対中認識と敵意が生まれるようリードしてきた」とも論じた。
3つ目は「日中関係発展への姿勢の差」だとし、「日経新聞と毎日新聞はよりポジティブにとらえ、安定的な発展を望んでいる。読売新聞と朝日新聞は、『強権国家』とのレッテルを貼りつつも対話の重要性を強調した」と指摘。一方で、産経新聞については「底意地悪く中日関係の改善を望んでおらず、米国と共に中国の脅威に対抗すべしとの言い訳を並べている」と批判した。また、「注意が必要なこと」として、「左翼メディアとして有名な朝日新聞も、対中問題においてはより保守的で偏っており、特に軍事的脅威においては早くから右翼メディアの仲間になっている」と指摘した。(翻訳・編集/北田)
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