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<直言!日本と世界の未来>コロナ緊急事態宣言一部解除=冷静な伝達と対策を―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2020年5月17日(日) 6時40分

拡大

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が39県で解除された。コロナとの闘いは再流行を警戒しながら、慎重に経済を再起動する段階に入った。一部TV番組の報道は不愉快にさせられることが多い。

目下最大の脅威は新型コロナウイルス問題である。もっぱら新聞やテレビで情報を得ている。とりわけ高齢者にはテレビは貴重な情報源だが、ワイドショーなどの報道に不愉快にさせられることが多い。

コロナの話題となると、決まってウイルスの拡大画像が画面一杯に映し出される。オレンジ色と白黒の二種類ある。おどろおどろしい画像を繰り返し示す必要があるのか。毎日不安な話題ばかりに接している視聴者が、繰り返しあの画像を見せられたら気が滅入るばかりだ。

「脅威」をことさら強調して視聴者を惹きつけることが狙いのようだが、この傾向は、連日長時間にわたって放映されるワイドショーの番組内容にも通じる問題点だと思う。意図的にインパクトを与えるような画像、単なる憶測や雑談、必ずしも科学的とは思えない説明を垂れ流しているように見える。感情に訴えることを排し、あくまでも冷静に実態と対策を伝えてほしい。

それはさておき、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が、東京都や大阪府などを除く39県で解除された。コロナとの闘いは再流行を警戒しながら、慎重に経済を再起動する段階に入ったと思う。日本でのウイルス感染者数が減っていると報告されている。経済人として歓迎すべきことだが、懸念材料も多い。

政府は宣言解除の基準として(1)各地域の感染状況(2)医療提供体制(3)感染拡大の監視体制―の3項目を示した。宣言が解除された地域では、社会・経済活動の再開は段階的に進めるべきだ。各業界は感染防止指針の策定や周知に取り組む必要がある。

さらに働き方や日常生活を、長期にわたり感染対策と両立させていくことが求められる。感染リスクを減らしながら、社会・経済活動を続ける工夫をし、実践していかなければならない。

 

新型コロナは軽症者が多く、無症状の人からも感染するため拡大防止が難しい。海外では経済活動の再開後に感染者が再び増えたケースもある。日本でも感染爆発に至らないよう、状況に応じて臨機応変に対策を講じることが重要だ。

感染防止のために移動を制限すれば、売り上げが減り収入が途絶する。その全体的な規模をきちんと算定し、十分なセーフティーネットを張らなければ、人々は生きるために経済活動を行わざるを得ない。結果として感染の収束は遅れ、経済的損失はさらに増大してしまう。

さらに心配なのは感染第2波への懸念である。過去のパンデミック(世界的大流行)では第2波、第3波に襲われている。政府は「揺り戻し」を前提に、検査体制の拡充、病床数や医療機器の確保、給付制度や緊急融資制度のさらなる整備、治療薬やワクチンの確保など、必要な対応を加速させるべきだろう。

<直言篇118>

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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