Record China 2013年11月7日(木) 9時0分
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「中国人漫画家、命懸けの告発」的な触れ込みで一部で話題のマンガ『中国のヤバい正体』は、かなり残念な内容だった。食品安全問題をはじめ、さまざまな中国の「ヤバい」話を紹介する内容。写真は天安門車両突入事件。
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「中国人漫画家、命懸けの告発」的な触れ込みで一部で話題のマンガ『中国のヤバい正体』は、かなり残念な内容だった。食品安全問題をはじめ、さまざまな中国の「ヤバい」話を紹介する内容。
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アマゾンのレビューを見ると、「こんなこと書いても大丈夫かよ」と心配している人がいるが、心配ご無用。食品安全問題をはじめ、同書がとりあげているネタのほとんどが中国メディアで報じられて明らかになったこと。日本でも報じられたネタが大半だ。そう考えると、本書の“売り”は中国人が書いたという以上のものはないと思われる。
しかも、著者は中国人であっても中国問題のプロパーではなく、メディアの誤報やネットが針小棒大に曲解した情報を鵜呑みにしている。
例えば「中国のマクドナルドはたった45日間で成長したブロイラーを使っている!危ない。その業者が摘発された!」という話。45日で成長するブロイラーは日本など他国でも出回っている。そうした飼育方法を問題視するのはいいが、何も中国だけの問題ではない。なお業者が摘発されたのは抗生物質の不正利用だった。
そのあまりの無知っぷりをさらけだしたのは以下の部分。
「山西省などの貧困地域では……洞窟で暮らす人たちがいる!もはや国家にとってはゴミ屑です!」
それは洞窟じゃなくて、ヤオトンと呼ばれる伝統的住居です。
▼あふれかえるウイグル人蔑視
そんな残念感あふれる本書だが、ぜひ一読をお勧めした部分もある。それは漢民族のウイグル人に対する蔑視を素直に伝えている部分だ。主人公と友人が街を歩いているとウイグル人の菓子売りに出くわすというシーンでのこと。一部セリフを紹介する。
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主人公「あ、ウイグル族人(原文ママ)……ヤバい、目をそらさなきゃ」
友人「あいつら一人っ子政策が適用されてないんだよな。あんな民族たくさん増やすなよな」
主人公「おい、気をつけろ。あいつら羊殺しの刃物持ってるから刺されるぞ」
説明「日本人は漢族がウイグル族人(原文ママ)を虐待していると思うかもしれない。でも現実の民衆レベルの生活では逆。僕ら民衆はウイグル族人(原文ママ)を恐れていた。ウイグル族人(原文ママ)は盗み、ひったくり、殺人などやりたい放題。政府も彼らに引け目があるからか、彼らの犯罪はろくに取り締まらない。路上の無許可商売も黙認状態だ。ぼったくりも日常茶飯事。客が拒否したら無理やり支払わせる。ウイグル地区内では2009年に192人が死亡するウイグル騒乱が勃発。それ以降も頻繁に暴動を起こしている。ただ国内メディアではあまり報道されていない。」
あふれる蔑視にくらくらする。しかも政府はウイグル人を守っている、犯罪も取り締まらない。暴動を報じないのもウイグル人を守るためというわけだ。
先日、天安門車両突入事件が起きた。当局発表によると容疑者はウイグル人で、独立派によるテロという見方を示唆している。
普段は政府批判的なネットユーザーも、この事件に関しては政府を支持し、ウイグル人の“テロ”を取り締まるべきだと声を上げている。
●高口康太(たかぐち・こうた)
翻訳家、ライター。豊富な中国経験を活かし、海外の視点ではなく中国の論理を理解した上でその問題点を浮き上がらせることに定評がある。独自の切り口で中国と新興国を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。
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