Record China 2019年11月9日(土) 15時10分
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中国が新たな「台湾優遇策」を打ち出した。台湾人が海外で危険に遭遇した場合、中国の在外公館に保護や支援を求めることができるなどの内容。来年1月の台湾総統選を控え、総統府は「選挙に干渉」と警戒している。中華民国総統府サイトより。
来年1月の台湾総統・立法委員(国会議員)選挙を控え、中国が新たな「台湾優遇策」を打ち出した。台湾人が海外で危険に遭遇した場合、中国の在外公館に保護や支援を求めることができるなどの内容。台湾総統府は「優遇策は選挙に干渉するための政治的手段」と警戒している。
中国が台湾向けの優遇策を発表したのは、昨年3月以来。中国の台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室が4日に公表した新優遇策は26項目から成り、多くの分野で中国の企業や個人と「同等」の待遇を受けられるようにする。
台湾の企業に対しては、次世代通信規格「5G」の研究開発や通信システム建設への参入、航空業への投資などを認める。個人では不動産購入などで中国人と同じ待遇が享受できるとされたほか、「台湾同胞は中華人民共和国の在外公館で領事における保護や支援を受けることができ、渡航文書の申請も可能となる」と明記された項目もある。
新優遇策は中国の習近平国家主席が今年1月、中台統一への指針をテーマに行った演説を受けた「両岸(中台)の経済・文化交流のさらなる促進に関する若干の措置」とされる。中国としては台湾の企業・個人に「特別待遇」を与えることで、悲願の統一に向けて中台社会の一体化を図る狙いがあるとみられる。
総統選は再選を目指す民進党の蔡英文総統と国民党の韓国瑜・高雄市長の事実上の一騎打ち。独立志向の民進党が中国本土と距離を置く一方、野党の国民党は中台関係改善を主張している。今回の優遇策は国民党への側面支援の色合いが濃厚だ。
これに対し、台湾総統府の報道官は「(香港に適用されている)一国二制度による統一方針に基づく事実上の行動指針だ」と反発。「総統選に干渉するための政治的手段でもある」と中国側を非難した。台湾人の保護について、外交部(外務省)報道官は「中華民国台湾は主権国家であり、領事権は中国と無関係だ」と強調。「中国政府が代わって行使する必要はない」との立場を示した。
総統選をめぐり、米国のトランプ政権は今年7月、台湾に22億ドル(約2400億円)相当の武器売却を決めるなど蔡総統に“エール”を送っている。台湾メディアによると、米国務省は4日、「自由で開かれたインド太平洋」構想実現に向けた米国の具体的な取り組みを説明する報告書を発表し、台湾との関係を強化・深化させていく姿勢を示すと同時に、中国の台湾いじめを批判した。来年1月11日の総統選までは米中対立も絡んで今後ともさまざまな駆け引きが続きそうだ。(編集/日向)
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