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「風立ちぬ」にみる宮崎駿監督の理想と精神―中国メディア

Record China    2013年8月10日(土) 14時0分

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8日、「風立ちぬ」は宮崎駿監督初の、実在の人物と出来事をモデルに創作した、作品タイトルに「の」を含まない初の作品であり、大人の男性を主役にした、あまり子ども向けでない異例の作品でもある。

2013年8月8日、「風立ちぬ」は宮崎駿監督初の、実在の人物と出来事をモデルに創作した、作品タイトルに「の」を含まない初の作品であり、大人の男性を主役にした、あまり子ども向けでない異例の作品でもある。東北網が伝えた。

「風立ちぬ」は宮崎監督本人の自伝的作品により近く、子供たちを置き去りにしたともいえる。もし宮崎監督の世界観や思想が好きでなければ、「風立ちぬ」に感情移入するのは難しい。だがこのように凛として自らを表現する勇気は、宮崎監督が人々から敬慕されてきた精神のひとつでもある。

■人生観:たとえ世界に関心をもっても、できるのは誠実に努力して生きていくこと

「風立ちぬ」は「零戦」(第2次大戦時の日本の主力戦闘機)の設計者、堀越二郎をモデルに、小説の作者堀辰雄を融合したリアルな物語だ。

作品は次のような大人の価値観と人生観を表現している。主人公は美しい夢を追い求め、ひたむきに働き、恋愛をする。日本の大正から昭和にかけての激動の時代(関東大震災、失業者の増加、病気の蔓延、戦争の開始)、「最後には若者たちが零戦に乗って戦場に飛び立つことになるが、二郎は美しい飛行機をつくることを励みに仕事に打ち込む」「自分の今いる場所(職場)で、可能な限り誠実に、努力して生きるしかない。たとえ世界のあらゆる事に関心をもっても、変化する政治情勢に基づき自分の行動を決めることはできない。職業人は自分の職業に専心することで、小さな窓から世界を見つめる。これが世界と接触し、感じ取る方法なのではないだろうか?」

この人生観は、宮崎監督が敬愛する堀田善衞の評論集『空の空なればこそ』で紹介されたことがあり、旧約聖書の言葉「凡て汝の手に堪ることは力をつくしてこれを為せ」にも相通じる。宮崎監督は2008年の講演で、この言葉を引用し「事前に意義があると判断したから、はじめてその仕事をするというものではない。どんな仕事を前にしても全力を尽くせば、その価値を感じる瞬間がきっとある」と語った。

「風立ちぬ」の二郎はまさに「できることを懸命にする」という理想を担っている。これは宮崎監督の理想でもある。

■現代日本との同時代性

堀辰雄も同様の精神の持ち主だ。サナトリウム文学(当時の日本の結核療養所を背景に創作された文学)は軟弱と思われているが、本当にそうだろうか?戦争について何も書かなかった彼らは、実はぎりぎりのところでレジスタンスをした人なのではないか?私は多くの時間を費やして、あの時代の優れた二人を混ぜ合わせて、二郎という主人公を創造した。実在の人物をモデルにすることは、宮崎監督のこれまでの作品とは表現手法が大きく異なることを意味し、リアルな描写が目立つ。空想的なキャラクターが登場しないのは、まさに「ファンタジーは制作せず、この変動期にどう生きていくべきかを探し求める」という宮崎監督の意識の表れだ。

宮崎監督は「風の谷のナウシカ」(文明崩壊後の世界を描いた)の制作時には「本来、未来の世界を予想していた」が、20世紀末を経て21世紀に入ると「作品が時代に追いついたことに気づいた」と語る。2008年の「崖の上のポニョ」には津波と水没した世界が登場したが、その3年後に東日本大震災が発生した。「時代に追いつかれる感覚がますます強まり、ついに『風立ちぬ』で同時代性が実現された」。宮崎監督は、作品の中の日本の大正末〜昭和初期は、現在の日本と「一定の同時代性(相似)を持つ」と指摘する。「だが私は、ドキュメンタリー映画を現場で撮影するように私の表現したいものを示したかったわけではない」と語る。実際、「風立ちぬ」には関東大震災で人々が混乱に陥る描写はあるが、堀越二郎の代名詞となった「零戦」の戦闘シーンは出てこない。(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/武藤)

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