如月隼人 2019年9月28日(土) 9時40分
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北京市西郊外にある石景山区で1986年9月28日、石景山遊楽園が開園した。同園は日本での報道がきっかけで、国外企業のキャラクターを無断利用する「パクリ・パーク」として知られるようになった。
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北京市西郊外にある石景山区で1986年9月28日、石景山遊楽園が開園した。同園は2005年、日本での報道がきっかけで、ディズニーをはじめとする国外企業が作り出したキャラクターを無断利用するなどで「パクリ・パーク」として知られるようになった。
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中国は当時すでに、知的財産権の保護で問題が多い国とされており、自国企業に損害が出ているとして、米国通商代表部が世界貿易機関(WTO)に提訴するなどの動きがあった。しかし石景山遊楽園は問題を認識していなかったと見られ、日本からの取材に対して、従業員が「他社のキャラクターを使っている」などと“率直”に説明したという。
また、同社は公式サイトで、目玉アトラクションを「ディズニーの雰囲気を備えたジョーンズの冒険」「ヨーロッパ調の幽霊の邸宅」などと誇らしげに紹介していた。園全体のキャッチフレーズは「ディズニーは遠すぎる、石景山に来てください!」だった。
しばらくすると園側も問題の深刻さを認識しはじめたようで、同園広報部は「ミッキーマウスのコピー」とされたキャラクターについて「ネズミではなく、耳の非常に大きな猫」などと説明しはじめた。
また、従業員による「他者のキャラクターを使用」などの説明について「正規の職員でなく、連休期のパレードに出演している役者。園のことを全く理解していない」などとの説明を始めた。
中国では2007年ごろになり、同問題が改めて注目されるようになった。中国メディアの国際先駆導報と新浪網が共同で行ったアンケート調査によると、回答者の65.84%が石景山遊楽園について「一種の海賊版行為」と批判的な見方を示した。一方で、22.59%は「悪くない」との考えを示し「米国ディズニー(ランド)は高すぎて遠すぎる。ディズニーが想像したアニメの人物を使っているだけだ」といった意見もあったという。
石景山遊楽園では現在までに、ディズニーランドとの類似を感じさせるアトラクションは姿を消した。公式サイトにも「パクリ」を思わせる記述は見当たらなくなった。
石景山遊楽園の経営実態については不明な点が多いが、北京市石景山区が出資した企業とされる。現在の石景山遊楽園総経理(社長)の呉海龍氏については、石景山区政府が2012年8月8日付で「任命」を発表している。
【1986年のその他の出来事】
・スペースシャトル「チャレンジャー」が爆発、搭乗員7人全員死亡(1月)
・フィリピンのマルコス大統領が国外脱出、コラソン・アキノ大統領が就任(2月)
・チェルノブイリ原子力発電所で爆発事故(4月)
・瀋陽防爆器械廠が倒産、中華人民共和国初の企業倒産(8月)
・土井たか子が日本社会党委員長に就任、日本の主要政党として初の女性党首(9月)
・台湾で民主進歩党が正式結成(9月)
・ソ連のK-219原潜がバミューダ沖で沈没(10月)
■筆者プロフィール:如月隼人
1958年生まれ、東京出身。東京大学教養学部基礎科学科卒。日本では数学とその他の科学分野を勉強し、その後は北京に留学して民族音楽理論を専攻。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業とするようになり、ついのめりこむ。毎日せっせとインターネットで記事を発表する。「中国の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執筆。中国については嫌悪でも惑溺でもなく、「言いたいことを言っておくのが自分にとっても相手にとっても結局は得」が信条。硬軟取り混ぜて幅広く情報を発信。 Facebookはこちら ※フォローの際はメッセージ付きでお願いいたします。 ブログはこちら
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