Record China 2019年8月24日(土) 20時20分
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米国はインド太平洋における軍事的優位性を既に失い、同盟国を中国から防衛するのは困難となる恐れがあると警告する報告書を豪州シンクタンクが発表した。報告書は「日豪との協力を強化すべきだ」と提唱している。資料写真。
米国はインド太平洋における軍事的優位性を既に失っており、同盟国を中国から防衛するのは困難となる恐れがあると警告する報告書をオーストラリア・シドニー大学アメリカ研究センターが19日、発表した。報告書は「日本、豪州との協力を強化すべきだ」と提唱している。
米誌「ニュース・ウィーク」などによると、104ページの報告書のタイトルは「危機回避:米国の戦略、軍事支出とインド太平洋における集団的自衛」。AFP通信は「米軍を『危険なほど過度の負担を課された』『衰退する軍隊』と評し、中国と敵対するには『準備不足だ』と厳しく指摘している」と報じた。
報告書によれば、米国は今でも世界一の軍事大国と思われているものの、「中東で続く複数の戦争、緊縮財政、先端軍事技術への投資不足や自由世界秩序の構築を目指す大規模な対外関与などの複合的な影響により、中国と張り合うには準備不足の状態にある」という。
一方、中国については「大規模な部隊を作戦地域に運んで作戦を行い、全領域で軍事的優位性を確立するという米国の戦争手法を研究し、精密誘導ミサイルをはじめとする対介入システムを大量に配備している」と説明。「米軍がこれらの兵器の射程内に近づくのを難しくすることで、中国は限られた戦力でも先制攻撃を行い、米軍が到着する前に台湾、日本や南シナ海の島々を奪って支配を既成事実化できる」と述べた。
さらに報告書は「中国の海洋進出をめぐっては既に緊張が高まっている。米国は中国が南シナ海の広い海域や台湾について主張している領有権を認めておらず、台湾に新型戦闘機『F16V』66機(80億ドル相当)を売却することを決定。中国政府はこれに激怒している」と言及。「こうした対立はまだ武力紛争には発展していないが、中国が『限定的な戦争』を起こし、通常兵器だけではなくサイバー兵器や政治的な武器も駆使して、台湾侵攻や南シナ海の島々を実効支配する可能性がある」と警鐘を鳴らした。
米国の国防費は世界2位から8位の国々(中国、サウジアラビア、インド、フランス、ロシア、英国、ドイツ)の合計額を上回り、インド太平洋全域だけで何百もの軍事施設を維持してきた。
それにもかかわらず、米国の優位性が揺らいでいる背景として報告書は「『自由世界秩序を守る』という『時代遅れな超大国の考え方』が米国防総省に過度な負担を強いて、政府の注意力を散漫にしており、中国への対応が間に合わなくなる可能性がある」と解説。ニュース・ウィークは「報告書を執筆した研究者たちは、米国はインド太平洋地域のパートナー、とりわけ豪州と日本との協力を強化すべきだと提言している」と伝えた。(編集/日向)
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