中国の宇宙事業、6000億円の投資で6兆円の収益が可能に―中国メディア

Record China    2013年6月20日(木) 17時30分

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18日、有人宇宙技術と言うとまるで遠く手が届かないものに見えるが、実際には生活のあちこちで宇宙技術から派生した製品を目にすることができる。写真は福建省福州市で開催された中国宇宙科学普及展。

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2013年6月18日、キシリトールガム、有機野菜、スニーカーの靴底、デジタル高画質テレビ―有人宇宙技術と言うとまるで遠く手が届かないものに見えるが、実際には生活のあちこちで宇宙技術から派生した製品を目にすることができる。国際金融報が伝えた。

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有人宇宙事業の開始から20年が経過し、中央財政から計390億元(約6130億円)の経費が割かれ、主に技術開発、サンプルの製造、飛行製品の製造、試験施設・設備の建設、陸地での大量の実験、飛行試験に充てられている。米国・欧州の各研究機関が、異なるモデルと手段を採用し行った調査結果によると、宇宙事業に1円を投入することで、7〜12円の収益が得られるという。これはつまり390億元の有人宇宙プロジェクトが、約4000億元(約6兆2870億円)の産業を形成する可能性があることを意味する。

アナリストと専門家はこのほど、宇宙技術の民用化について、「経済の法則および海外の経験から見ると、宇宙などの軍事寄りの技術の発展は、中国の軍需産業と関連するハイテク技術などの産業をけん引する。さらに技術が成熟すれば、より広範囲の実用化が実現され、衛星測位システム北斗のような民需商品が多く生まれる」と指摘した。

中国有人宇宙技術の「第1ステップ」である有人宇宙船段階は、有人宇宙船「神舟5号」と「神舟6号」により順調に完了された。ドッキング目標機「天宮1号」の打ち上げ、「神舟10号」とのドッキングは「第2ステップ」の宇宙実験室段階に属し、「第3ステップ」の宇宙ステーション建設に向けた技術面の準備となる。

ドイツの週刊紙は、「中国の宇宙計画推進の主要目的は、威信の樹立だ。この世界2位の経済大国は、安価な消費財を生産できるだけではなく、技術面でも米国に追いつけることを証明しようとしている」と指摘した。

◆宇宙事業と空母の競争

2105年までに、中国国防情報化産業の生産高は、年間267億6000万元(約4210億円)に

ある証券会社の戦略アナリストは取材に対し、「神舟10号と中国有人宇宙事業の3ステップ戦略は、中国の軍需産業に長期的な発展の機会をもたらし、市場の短期的な情報操作の的になるだろう」と指摘した。同氏から提供されたデータによると、5月末より軍需産業関連株に、多くの資金が集まっているという。

南京大学の宋頌興(ソン・ソンシン)教授は、「中国は防衛中心の国防政策を実施しているが、これは中国が軍需産業を発展させないわけではない。一連の流れと国家計画から見ると、軍需産業は注目する価値がある」と述べた。

現状を見る限り、宇宙技術のみならず、空母・国防情報化も、軍需産業の発展を促す可能性がある。海外メディアはこのほど、「中国は段階的に空母建造計画を実施する。第1段階では4隻の通常動力空母を、第2段階では2隻以上の原子力空母を建造し、2020年頃に海軍に交付する」と伝えた。しかしこの情報は、公式な裏付けを得ていない。

華創証券は、「中国国防情報化の3ステップ発展計画によると、2020年に情報化主導の機械化を実現することになる。中国は2015年までに年間平均10%のペースで軍事費を増加させ、軍事電子・通信システムなどの情報技術が国防費に占める比率は3%に達する見通しだ。それならば、2105年に、中国の国防情報化市場の生産高は、年間267億6000万元(約4210億円)に達することになる」と計算した。

宋教授は、「神舟10号や空母などが、電子技術、太陽光収集、特殊鋼材、大型機械などで採用しているのは、中国最先端の技術・製品である。つまり神舟10号の打ち上げ、空母の登場などで、その他の産業の発展を促進することが可能だ」と分析した。

◆軍用と民用の「出会い」

中国宇宙産業から派生する産業チェーンが1200億元(約1兆8920億円)規模に

宋氏は、「軍用製品を民用市場に普及させれば、より大きなビジネスチャンスと、関連産業への推進力が生まれる」と指摘した。

人民日報はこのほど、中国航天科技集団公司の馬興瑞(マー・シンルイ)総経理の発言を引用し、「宇宙技術は技術の金鉱とも呼ばれており、技術および経済成長に対するけん引力は、我々の想像をはるかに上回る。例えば衛星を1基、打ち上げることで衛星の開発や発射技術の向上がもたらされるだけでなく、運行サービスや地上でのメンテナンスサービスも向上する。この連鎖反応によってもたらされる価値は侮れない」と報じた。

一部の統計データによると、中国宇宙産業により派生する産業連鎖は、すでに1200億元(約1兆8920億円)の規模に達している。衛星だけでも、衛星放送・テレビ教育により、中国の数千万人がこの「宇宙学校」を利用し教育を受けることができ、数百億元(数千億円)の資源が節約できる。また、鉱物・地質・鉄道・橋梁などの部門は資源衛星を利用し調査を実施でき、これにより大幅な資源節約と収益増が見込める。

中国の軍需産業と宇宙事業などのハイテク技術は、持続可能な発展を実現しなければならず、大規模な資金・技術などの支援を必要としているため、民用業界からも収益と支援を得なければならない。業界関係者は、「この点については時期が熟した状況下、現在のこれらのハイテク技術を民用市場に普及させ、技術により資金や参考データなどを手にすることができる。また各条件が満たされた場合、民間の資本を導入することも可能だ」と語った。

ある研究データによると、米軍の研究プロジェクトの6割以上が、民用分野に直接使用されている。例えば国際ネットワーク、GPS、77基の衛星により形成されるイリジウム衛星通信システムは、米国の国庫に向け尽きることのない財源を創造している。一部メディアは、「米国の軍事投入はこのようなメカニズムにより、軍民一体の付加価値効果を生んでおり、軍隊は国家経済の成長を促す宝箱になっている」と伝えた。(提供/人民網日本語版・翻訳/YF・編集/武藤)

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