文科省推進の「スーパーグローバル大学」、中国人留学生や大学教授らの目に映る問題点は―中国メディア

Record China    2019年8月6日(火) 11時10分

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5日、中国メディア・環球時報は、日本政府が推進する「スーパーグローバル大学」創成支援事業が学生に与える影響について伝えた。資料写真。

中国メディア・環球時報は5日、「日本政府は『スーパーグローバル大学』創生支援事業を実施して留学生への門戸を広げているが、それに伴い数多くの問題が生まれている」と報じた。

文部科学省は2008年、留学生の受け入れ拡大を目指す「留学生30万人計画」を公表し、14年にはその内容を発展させた「スーパーグローバル大学」の創成支援事業を開始した。同事業では東京大学や早稲田大学、京都大学などといった37の大学を「スーパーグローバル大学」に指定し、外国人学生や教員の割合、また日本人学生に占める単位取得を伴う留学経験者の割合を確保するなどといった成果目標を課している。

記事は、「同事業の呼びかけのもと、各大学が留学生誘致のためにさまざまな工夫を始めた」と指摘。各大学による「英語のみで学位が取得できるプログラムを設置する」「海外の提携大学において入学試験を行う」などといった対応を紹介した。さらに、「豊富な奨学金を提供することも留学生を惹きつけるポイントの1つだ」と指摘し、「日本留学奨学金パンフレット」には、留学生が日本政府(文部科学省)のほかにも日本学生支援機構(JASSO)や地方自治体、民間奨学団体などからも奨学金を受け取れる旨が記されていることを伝えた。

記事は続いて、「スーパーグローバル大学」が学生に与える影響ついて、学生や教員を対象に行なったインタビューの結果を紹介。上智大学に通うある中国人留学生は、「留学生向けの学費減額制度を利用して1年間の学費を20万円も抑えることができた。日本政府の奨学金も申請し、月に最大5万7000円の給付が受けられるようになった。でも、周りの留学生の中には奨学金を申請できなかった人も少なくない。奨学金には発展途上国からの留学生を対象にしたものや女子学生向けのものなどさまざまな種類があるが、『スーパーグローバル大学』の実施以降、留学生が増え、奨学金の申請も難しくなった」と話したという。

また、大学に長年務めるある教授は、「政策によって留学生は増えたが、そのことが日本人学生の利点を奪ってしまった。われわれの大学では修士の学生は基本的に全て中国人で、日本人の割合は極めて少ない。これは重大な問題であり、だからこそわれわれは日本人学生がもっと容易に修士や博士課程に進めるような条件を考えなければならない」と話したという。

一方で、ある私立大学の教授は「本校には留学生の受け入れに人数制限があるため、留学生が日本人学生のメリットを奪ったり、両者間で対立が起きたりといった問題は見られない。しかし留学生の急増により、学生たちが寮の空きを見つけられないといった状況が起きている」と指摘。その上で、「彼らは必ずしも東京の大学に通わないといけないということはない。東京は混雑しているし、生活費も地方より高い。地方都市にも少なくとも1校は公立大学がある。少子高齢化の影響で地方の大学は学生が不足しており、多くの優遇条件を提示して留学生を誘致している」と紹介した。(翻訳・編集/岩谷)

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