Record China 2019年5月26日(日) 16時0分
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中国メディア・経済観察報は23日、広東省仏山市高明区にある住宅機器メーカー・ANNWA(安華衛浴)の工場を取材した内容を紹介し、中国の製造業の特性を論じた。
ANNWAはトイレや浴室設備といった水回り住宅機器を製造するメーカー。記者は、「同社は2013年に人の手ではできない、便器内のU字型パイプの内部の塗装工程のために計153台のロボットを導入し、それに付随するプログラム開発、システムデザイン、ライン構築などをも含めて合計1億元(約15億8500万円)以上を投資した」と説明した。
その上で、「これには政府からの支援も背景にあった」と指摘。従業員の葉(イエ)さんは、「13年は中国の陶器産業にとって1つの分岐点だった。当時の市場競争は激しく、価格競争も熾烈で、従業員もあまりやりたがらなかった」とし、「そこで政府は伝統的製造業である陶器産業をスマート化するため、多くの補助金を出しロボットの運用を進めた。当時、塗装生産ラインのスマート化に当社はすでに3年ほど取り組んでおり、達成間近というところだったわれわれにも2000万元(約3億1700万円)が提供され、ちょうど政府の政策に便乗することができた」と話したという。
記者は、「これにより、工場に以前1万2000人いた労働者は8000人になった」と指摘。葉さんは、「労働者がこれほど減ったのは、ロボット導入のおかげでもあり、また、働き手が集まりにくいからでもあった。工場での労働環境はあまり良くなく、長期的に働ける人は少ない。とりわけ塗装段階の作業内容はきつく、昔は人の手で行っていたのも今はロボットがするようになった。それでも、工場ではロボットの点検作業や、ロボットアームがトイレ本体を運ぶ作業の補助など、多くのプロセスがまだ人の手によって行われている」と話しているという。
記者はこれを受けて、「ANNWAの生産ラインはまさしく中国の伝統的な製造業がスマート化していく光景そのものである」と述べた。
記者は続いて、同社の商品マネージャー・陳(チェン)さんの発言を紹介。陳さんはグループ会社FAENZAの商品、「座ればすぐに温かくなり、立ち上がれば元の温度に戻る」という便座を例に、「技術はしばしば見落とされがちな部分にこそ存在する」と指摘。「ANNWAは目下、家に着いて洗面所に入れば、アップル社のシリ(Siri)のようにトイレや蛇口、浴室や鏡と対話できるようなスマートバスルームシステムの研究を、自社の研究所で進めている」と話したという。
さらに、陳さんは「日本の便座は実はすべて中国製だ」と強調。記者の「では、なぜ日本で売るような便座を直接中国では売らず、わざわざ中国人消費者に日本で買わせて中国まで持ち帰らせるのか」という問いかけに対しては、「中国国内では価格競争が激しく、日本の水準で作ったとしても日本で売るのと同じ価格では売れない。これが、中国が日本に劣っているように見える本質的な原因だ」と答えたという。
これを受けて、記者は、「あらゆる技術を追求していくと、最終的には『競争力とコスト』という原点にたどり着く。中国の製造業は日本やドイツと比べたとき、その差が現れるのは技術だけにとどまらない」と指摘。「これが、中国の製造業が直面する最も独特な市場環境だ。盗用や模倣、すぐに作られるコピー品、価格競争、売上至上主義などは、中国の製造業が終始拭い去ることのできない特性だ。これらはイノベーションにかかるコストより高くしているだけでなく、企業を知的財産権を守ることとすぐにコピー品を作って市場を奪うことの間で板挟みの状態にしている」と論じた。(翻訳・編集/岩谷)
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