日本の書籍、自国で下火なのに中国で好調なのはなぜか―華字メディア

Record China    2019年3月18日(月) 21時50分

拡大

15日、日本新華僑報網は、「日本の書籍が自国で下火にもかかわらず中国で売れるのはなぜか」と題する蒋豊編集長のコラムを掲載した。資料写真。

2019年3月15日、日本新華僑報網は、「日本の書籍が自国で下火にもかかわらず中国で売れるのはなぜか」と題する蒋豊(ジアン・フォン)編集長のコラムを掲載した。

記事はまず「日本では出版業界の不況が続いている。電子媒体の台頭や人口減少などの原因により、書籍や雑誌の販売額は21年にわたって減少し続け、2018年の販売額は1兆2921億円だった」と紹介した。

次に、「日本の出版業界が苦しむ中、中国市場の日本書籍の売り上げは好調だ」とし、2017年に出版された黒柳徹子の自伝的物語「窓ぎわのトットちゃん」中国語版の発行部数は1000万部を超えたと紹介した。また、中国出版業界の関係者によると、東野圭吾も人気で、中国の書店では入り口付近の一番目立つところに東野圭吾の中国語版が展開されているという。

記事は次に「日本書籍の翻訳版を出版する中国の出版社は多く、日本の出版社の中国法人や、中国企業との合弁で設立した出版社、そして中国の民間出版社などがある。民間出版社では、『窓ぎわのトットちゃん』を出した新経典文化股フン有限公司(フンはにんべんに分)は、東野圭吾や村上春樹などのベストセラー作家の作品も数多く刊行している。山岡荘八の『徳川家康』中国語版は累計300万部を販売した」と紹介した。

さらに記事は、「日本の出版社の中国事業も好調だ」とし、日本のポプラ社の中国法人・北京蒲蒲蘭文化発展有限公司(以下「蒲蒲蘭」)は2016年の売上高が1億元(約17億円)に達したことを紹介。そして、ポプラ社の長谷川均社長が「蒲蒲蘭はここ数年で日本のポプラ社の売り上げを抜くだろう」と述べたことを伝えた。なかでも中国児童書市場の成長が目覚ましく、日本の出版社にとって絶好のチャンスが到来しているという。

中国国務院の発表によると、2017年の中国書籍市場規模は803億元(約1兆3000億円)だが、児童書はこのところ2桁成長を続け、書籍市場のジャンルの中で最も大きい25%を占めているという。

記事は、「ポプラ社が中国に蒲蒲蘭を設立した当初、中国には『絵本』という言葉すら存在しなかった。そんな状況下で蒲蒲蘭は、当時外国資本に開放されたばかりの出版物小売業の免許を取得し、北京で絵本専門店を開設。日本や欧米の翻訳作品を中心に絵本を刊行してきた」と紹介した。

その後、絵本業界の中国における競争は激化。発行部数が多く、利益率の高い日本書籍だが、その刊行の主導権は先天的な優位があるはずの日本の出版社にはないという。記事はその理由を「日本の出版社が向上心に欠けていること、戦略的判断にミスがあることなどが原因ではないか」と指摘した。

そして、「明治時代から長期間、日本の出版社は国内の市場だけで十分稼いでこれた。海外の版権輸出はほとんどをエージェントに委託し、自分で出ていくことはしなかった。世界中で翻訳版が出ている村上春樹作品などを手掛ける新潮社ですら、海外への版権輸出を扱う専門部署が出来たのはほんの10年前のことだ」と述べた。

昨年11月に開催されたアジア最大の児童図書展「第6回中国上海国際児童図書展」では、海外出展社160社のうち、日本からの出展は2社のみだった。イギリスは19社出展し、中国を「最重要地域」と位置づけ、政府が中小出版社の出展に補助金を出したという。

記事は最後に、「日本出版社は意識、姿勢改革を行い、経営戦略において大きな『大転換』が必要ではないだろうか」と指摘している。(翻訳・編集/和田)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携