ファーウェイCFOが米国に引き渡されたら何が起きるのか―米華字メディア

Record China    2019年1月25日(金) 7時10分

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23日、米華字メディアの多維新聞は、中国の通信機器大手、ファーウェイの孟晩舟最高財務責任者(CFO)の身柄が米国に引き渡された場合の影響について分析する記事を掲載した。資料写真。

2019年1月23日、米華字メディアの多維新聞は、カナダ当局が昨年12月に米国の要請で中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟(モン・ワンジョウ)最高財務責任者(CFO)を拘束したことをめぐり、米司法省がカナダに対して身柄の引き渡しを正式に要請する方針であることが明らかになったことに関連し、孟氏の身柄が米国に引き渡された場合の影響について分析する記事を掲載した。

記事はまず、米国がカナダに対して孟氏の身柄の引き渡しを正式に要請する方針であることを、米司法省とカナダの駐米大使がこのほど相次いで明らかにしたことを受け、中国外交部の華春瑩(ホア・チュンイン)報道官が22日の記者会見で、「中国はカナダに対して、孟晩舟氏の即時釈放を促す。米国に対しても、直ちに過ちを正し、孟晩舟氏への逮捕状を取り下げ、カナダ側に正式な引き渡し要請をしないよう強く促す」と述べたことを紹介した。

その上で、「カナダが孟氏を米国に引き渡せば、現在の中国とカナダの間の対立は、中国と米国の間の対立へと転化することになる」とし、「次の4つの点からその影響を分析することができる」とした。

記事が最初に挙げたのは「米中間の『騒音』が増え、トランプ大統領の対中外交に対する米議会のチェックアンドバランスが顕著になること」だ。

記事は「孟氏の事件では、トランプ政権、米議会、そして米国の同盟国がそれぞれの役割を担っている。この事件が複雑なのは、米中関係、ファーウェイの事業の性質、そして孟氏の逮捕の政治操作に関連しているためであり、関係各方面が絶対的な道徳的ポジションを占めることが難しいのは、まさにこの複雑な要因のためだ。米議会は、トランプ政権誕生前からファーウェイに目をつけており、トランプ政権誕生後は、ファーウェイに厳しい対応を取るよう圧力を掛けてきた。だがトランプ氏が、中国の通信機器メーカー、中興通訊(ZTE)を巨額の罰金をもって許したことに対し、議会の多くの人々は不満を抱いた。米司法省が孟氏の逮捕を命じたのは、米議会とワシントンの極右勢力が長期に渡って圧力を掛け続けた結果だ。孟氏の身柄が米国に引き渡されれば、米議会は司法省に対する圧力を強化するだろう。トランプ政権が妥協を望んだとしても、議会はそれを簡単に許しはしないだろう。両者は国境の壁の建設などをめぐり収拾がつかない状態になっているのだから」とした。

次に挙げたのが「孟氏が米国に引き渡された場合、人質にされたという印象が付き、貿易交渉に影響が及ぶこと」だ。

対米通商交渉を統括する中国の劉鶴(リウ・ホー)副首相が、継続協議のため今月30、31日に訪米する。記事は「米中の交渉チームが孟氏の事件と通商交渉を切り離して扱うなら、劉氏の訪米は予期された成果に達することができるだろう。なぜならこれは昨年末の米中首脳会談における一大共通認識だからだ。だが、切り離しが不十分なら、孟氏の事件が双方の交渉の雰囲気やリズム、そして成果にまで影響を与えることは必至だ。これはトランプ氏が孟氏を利用して中国政府に圧力を掛け続けられるかどうかによって決まり、さらに言えば中国政府が孟氏の身柄の米国への引き渡しに対しどのような姿勢と行動を取るのかによって決まる。米国が司法の独立性をどのように強調しても、外部はこの事件に対する疑念を止めることはしないだろう。カナダの身柄引き渡し法そのものは極めて政治化されている。カナダの裁判官が米国の引き渡し要請の利害を評価する時にも政治的な考量がある。身柄を引き渡すかどうかを最終的に決めるのはカナダの裁判官ではなくデービッド・ラメッティ法相だ。関連法によると、法相は孟氏をめぐる申し立てに政治的な意図を認めた場合、米国の引き渡し要請を断らなければならない。そのため、米司法省による引き渡し要請も国内政治と二国間政治に対する考慮を避けることはできない。カナダが孟氏を米国への引き渡す決定もまた、一種の政治的意思決定だ」とした。

3つ目に挙げたのは「中国政府が国内の民族主義的感情にどう対応するか」だ。

記事は「孟氏の事件をめぐる米中両国民の見解は異なる。米国人は、ファーウェイは米国のイラン制裁に違反し米国の安全に脅威をもたらすとする政府の公式見解を信じている。一方、中国は、ファーウェイを、民族のバックボーンや中国の5G(第5世代移動通信システム)技術発展の推進者、中国2025戦略の主要な参加者と見ている。ゆえに、どちらの側も容易に譲歩はしないだろう。そうしなければ、相手に軟化したとみなされてしまうためだ。特に中国では、中国政府は対応をめぐる国内世論の圧力にも直面しており、国内の民族主義的感情を統制する必要があるかもしれない」とした。

最後に挙げたのが「米国はいわゆる司法の独立性をどのように守るか」だ。

記事は「孟氏の米国への引き渡しは、米国がこの『厄介な問題』を正式に引き継いだことを意味する。外部からは、米国が孟氏を逮捕することに倫理上の問題が存在しないかなどの疑問の声、すなわち孟氏の逮捕はファーウェイに対する法的調査の第一歩に過ぎないのではないか、もしくは孟氏が米国に引き渡された場合、それはトランプ氏が中国政府をゆするための人質になるのではないか、こうした疑問の声は、米国の司法の独立性における試練となるだろう。米国の三権のチェックアンドバランスや司法省の役割、司法省(検察官)と司法権(裁判所)の関係から見ると、米国にはいわゆる司法の独立性は存在しない。司法省は米連邦政府の官僚制の拡大の産物であり、議会の影響を受け、行政府に隷属しているため、真のもしくは絶対的な司法調査の独立性を体現するのは困難だ。いわゆる司法独立問題の多くは党派闘争と切り離すことはできない。裁判官自身が政治的傾向を持っている。そうでなければ、彼らは共和党や民主党の大統領によって選出されず、上院で可決されることもない。さらに孟氏の事件は本質的に、米国の右派が中国の技術分野での台頭を荒々しく妨害しようとするやり方だ。トランプ氏が孟氏を米中交渉における人質にする意思があっても、米国の右派はあらゆる方法で妨害し、米国の司法の独立性を強調するだろう。要するに、孟氏が米国に引き渡された場合、米国は中国政府からの圧力に直面するだけでなく、各方面からの司法の独立性と民主的価値観に対する『拷問』を受け入れざるを得なくなる」とした。(翻訳・編集/柳川)

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