Record China 2012年12月10日(月) 8時44分
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中国に工場、店舗などの拠点を設立せず、日本から出張ベースで現地業者との提携等による事業展開を図る「拠点を設立しない」中国ビジネス・スキームの原点とも言える「現地駐在員派遣」について、留意点を整理してみよう。写真は北京市。
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中国に工場、店舗などの拠点を設立せず、日本から出張ベースで現地業者との提携等による事業展開を図る「拠点を設立しない」中国ビジネス・スキームの原点とも言える「現地駐在員派遣」について、留意点を整理してみよう。
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1、日本からの短期出張ベース
日本政府発給の普通パスポートで中国に入国する場合、15日以内の滞在であればビザは不要とされているが、16日以上の滞在となると「Fビザ」(訪問・商用)が必要となる。期間は半年間あるいは1年間有効で期間内なら何回でも入出国ができるマルチビザもある。入国後に滞在期間の延長も可能だが、一回の滞在期間は最長3カ月までとされる。年初から一年内で合計183日以上中国内に滞在した外国人は、中国で納税義務が生じる。
中国内では外国人による個人事業経営は認められていない。中国企業に就労する場合は外国人就労許可証が必要で、さらに業種によっては保育士、設計士など中国政府の資格免許が、業種や商品によってはメッキ塗装や食品薬品など製造販売の取扱企業ライセンスが必要である。このように、外国人駐在員は何でも自由にできるわけではなく、滞在期間制限と不法就労、無免許営業に注意が必要である。
合法的に事業展開していなければ、売上代金や利益の海外送金も認められない。
2、現地人個人に業務委託
法的にグレイゾーンに属する分野だけに、契約での取り決めが難しい。正式な委託契約を締結できたとしても、中国政府の許認可、登記、税務申告等の関門がある。特に、売上代金や利益などを中国人個人が海外企業に送金する、あるいは海外企業から個人が送金を受け取る手続き、納税申告の問題が常に伴うことになる。中国の法律により中国人個人の外貨両替は年間5万米ドル(約400万円)以内に制限され、一回3万米ドル(約240万円)を超える貿易以外の海外送金には国税局への内容説明と納税証明の取得が必要とされる。
3、現地企業に出向派遣、現地就職
駐在員の派遣ではなく、すでにある現地企業の社員として就職する、あるいは出向するという方法も考えられるが、日本企業駐在員として活動するには先方企業との合意契約、給与負担、指揮権等の問題がある。取引先や親子関連の日系企業に限られるだろう。
4、常駐代表機構(駐在員事務所)の設置
中国政府に申請して駐在員事務所として拠点を設置すれば、正式な駐在員を置くことが可能となる。しかし、営業は不可、年間報告書の提出義務があり、営業活動していると見なされれば税務局検査を受け、事務所経費に対し「みなし課税」を受けることになる。
いずれのケースも、「ヒト・モノ・カネ」の現場管理と管理営業情報の把握、言語と現地意思疎通、品質保証体制とブランド管理(コピー、クレーム事故等)、海外送金・受取に対する外為規制、現地利益の回収方法など多くの課題が残される。また、事業運営をめぐる現地パートナーとの各種トラブル、紛争解決の方法(損害責任範囲、適用法律、裁判管轄権など)も事前に契約で明確に取り決めておく必要がある。
(<時流自在>は筧武雄・チャイナ・インフォメーション21代表によるコラム記事)
<筧武雄氏プロフィール>
一橋大学経済学部卒北京大学留学、横浜銀行北京事務所初代駐在員、同行アジアデスク長、海外経済協力基金(OECF)派遣出向などを経てチャイナ・インフォメーション21を設立。横浜国立大学経済学部非常勤講師、神奈川県産業貿易振興協会国際ビジネスアドバイザーなど多くの役職を経て、現在も横浜市企業経営支援財団グローバルビジネスエキスパートなど、日本企業を支援する中国ビジネスコンサルタントとして活躍中。
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