深刻なプラスチック汚染、リサイクルに努力する日本―中国メディア

人民網日本語版    2018年8月1日(水) 15時50分

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世界の国々はどこも深刻なプラスチック汚染のリスクに直面しており、ごみ分別やプラスチックのリサイクル利用で知られる日本も例外ではない。

世界の国々はどこも深刻なプラスチック汚染のリスクに直面しており、ごみ分別やプラスチックのリサイクル利用で知られる日本も例外ではない。雑誌「環球」が伝えた。

1990年代後半に、太平洋を漂う「太平洋ゴミベルト」が発見され、その面積は日本の国土の約4倍にも達していた。

世界経済フォーラム(WEF)の2016年年次総会の報告書によると、「毎年少なくとも800万トンのプラスチックごみが海に流れ込み、海を漂うごみの量はすでに1億5000万トンに達した。2050年にはごみの重量が海の魚類の総重量と同じになる見込み」という。

国際連合環境計画(UNEP)がまとめた報告では、「(15年の)1人当たり平均のプラごみの量を計算すると、米国は45キログラムで1位、日本は32キログラムで2位。これまでに世界で生産されたプラスチック製品約90億トンのうち、リサイクルされたのはわずか9%」だという。

■現状と課題

環境省のデータによると、日本のプラごみのうちリサイクル率は60%で、残り40%は可燃物または不燃物として焼却処理や埋立処理をされる。リサイクルされるのは主に飲料のペットボトルと食品のパッケージで、「プラスチック製容器包装(資源ごみ)」と呼ばれるものだ。

日本では00年から「容器包装リサイクル法」が全面的に試行され、地方自治体が回収し、リサイクルを一手に引き受け、新たなプラスチック製品に生まれ変わらせてきた。注意しなくてはならないのは、リサイクルされる60%のうち、かなりの部分が日本国内でリサイクルされるのではなく、発展途上国に輸出されるという点だ。

回収では分別が前提になる。飲料ペットボトルや食品パッケージのような「容器包装プラスチックごみ」には、三角形に「PET」などと書かれた識別マークが表示され、洗ってつぶして、指定の収集日にごみステーションに出すことになっている。これ以外の玩具、使い捨てプラスチックカップ、歯ブラシ、体積の大きなプラスチックの箱などのプラスチック製品は、容器包装プラごみとして収集されない。

日本の各自治体のごみ収集ステーションは、容器包装プラごみは洗ってつぶして体積を小さくするよう呼びかける。ペットボトルの場合、プラスチックのパッケージ、ふた、本体を別々にし、本体は洗って軽くつぶし、パッケージとふたは本体とは別に捨てる。また、容器包装プラごみ用のごみ袋についても明確な規定があり、透明なもので、2枚以上重ねてはいけない。専用のごみ袋を売っているところもある。

同省のデータによると、こうした容器包装プラごみは日本の家庭から出るプラごみの60%を占める。同省はその他のプラごみについてもリサイクルの可能性を検討し、19年までに使い捨てプラ製品の削減とリサイクルの総合戦略「プラスチック資源循環戦略」を制定する予定だ。その内容には、使い捨て容器包装の使用削減、使用済み製品の徹底した回収とリサイクル、植物などを原料とするバイオプラスチックの実用化と化石燃料由来のプラスチックからの転換が含まれる。

同戦略では、玩具、文房具、雑貨、光ディスク、ビデオテープ、プラカップ、プリンターのインクジェットなどが新たに資源として回収対象になる。これらの回収では、しばらくは普通のごみのようにごみステーションでの収集は行わず、同省が企業や商業施設と提携して、ショッピングセンター、スーパー、小売店などに回収箱を設置する。同省の統計によると、こうした回収テスト拠点のうち、ショッピングセンターでの回収量が最も多いという。

だが日本では新たに回収対象となったプラごみの具体的な回収量目標が未確定で、回収の難しさとコストが最大の難関になっている。玩具、文房具、雑貨などはペットボトルや食品パッケージと異なり、プラだけでなく金属など他の素材も使用されており、分解しなければリサイクルできず、余分なコストがかかる。たとえば眼鏡なら、レンズと金属のフレーム部分などに分けなければならない。

同省の試算では、新た内回収対象になったプラごみを一般ごみと同じように収集日にごみステーションに出せば、1キログラムあたりの分別・回収コストが最大で63円かかることになる。ペットボトル、食品パッケージなどの回収コスト53円が約19%上昇することになるという。

プラスチックの業界団体は、「容器・包装以外のプラごみは品質がバラバラで、ごみ総量に占める割合も大きくない。負担とコストを考えたら、ルールが制定されても長期的な実施は難しいかもしれない」との見方を示す。リサイクル企業も、「新たに回収対象になった製品は回収の経験が乏しく、コストも増加するので、他のごみの回収業務に影響がでないかと心配だ」と話す。

また、日本の超党派の国会議員が提出した「海岸漂着物処理推進法改正案」が参議院本会議で可決・成立し、今年の夏から施行されることになった。主に国民に5ミリメートル以下の微小な粒「マイクロプラスチック(MP)」を使用した洗顔料や歯磨き粉の使用を控えるよう呼びかけ、産業界にプラごみのリサイクルを強化するよう呼びかけるものだ。だが法的な強制力はなく、「努力義務」にとどまる。

■ごみ削減が根幹

6月に行われた主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)で、欧州連合(EU)が「海洋プラスチック憲章」を提起した。2030年までに使い捨てプラスチック製品を禁止し、2040年までにプラスチック容器の再利用・リサイクル率を100%にするという具体的な数値目標を示し、行動を呼びかけるものだ。

使い捨てプラスチック製品とされたのは、プラスチック製ストロー、芯がプラスチックの綿棒、プラスチック製のナイフや皿、風船につけるプラスチックの棒などのリサイクルできないプラ製品。この憲章が「ごみ削減」を根幹としていることが容易にうかがえる。

今回のG7サミットで、日本と米国は「市民生活や産業への影響を慎重に調査・検討する必要がある」として、憲章への署名を拒否し、メディアはこれを強く批判した。

毎日新聞は「海のプラごみは新たな地球環境問題としてG7の主要課題となっていた。(日本)政府は危機感を持って国内対策を促進しなければならない」と報じた。朝日新聞も「この問題は3年前の(G7)首脳会議からの懸案だ。今さら調整のための時間が時間が必要だなどといっても説得力を欠く。『環境よりも産業』という政権の姿勢が、日本の評判を傷つけている」と手厳しい。

日本の人々はプラごみ削減への意識が非常に高い。スーパーやコンビニで買い物した際、レジ袋をもらわない人が相当数に上る。インターネットフォーラムやソーシャルメディアには、プラごみ削減を呼びかける声があふれる。「プラごみの減らし方」を文章にして発表する人もいる。その方法は次のようなものだ。まず自宅で一日にどれくらいごみが出るかをチェックする。ペットボトルや野菜が入っていたプラスチックトレーの多さに気づくことが多いので、こうした商品を買わないように気をつける。次に1回に大量買いすることを控える。大量買いの商品はパッケージが過剰であることが多く、こまめに少量ずつ買うようにすればマイバッグや自前の容器で事足りるようになる。さらに加工食品を食べず、目新しい商品に飛びつかないようにして、買い物量と消費量を全体的にスリム化するなどだ。

プラごみは海を汚染するだけでなく、プラスチック原料の石油などの資源価格が上昇傾向にあり、資源量もますます減少しているため、ごみが出ないようにし、ごみを資源として有効利用することが、国際社会のすべてのメンバーにとって等しく重要だといえる。

リサイクル問題を専門とする日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所の小島道一エコノミストは、「長い目でみると、プラごみの発生を抑えると同時に、リサイクル率を高める必要がある」との見方を示す。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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