Record China 2018年6月3日(日) 7時20分
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北朝鮮が韓国に亡命したレストランの女性従業員12人の送還を声高に要求している。米国に対しては首脳会談の「復活」を求めて低姿勢に徹したものの、韓国には強硬な態度を見せている。写真は北朝鮮。
2018年6月2日、北朝鮮が中国内の北朝鮮レストランから脱出し、韓国に亡命した女性従業員12人の送還を声高に要求している。米国に対してはいったん中止になった首脳会談の「復活」を求めて低姿勢に徹したが、仲介役の韓国には「平和と統一のための先決条件」などと強硬な態度を見せている。
12人は16年4月、男性支配人1人と共に当時働いていた中国浙江省寧波の北朝鮮レストランを離れ、マレーシア経由で韓国に亡命した。計13人の集団脱北は珍しく、しかも大半が若い女性とあって韓国内で大きな反響を呼んだ。
集団脱北後、北朝鮮は「韓国の情報機関によって拉致された」と送還を談判。韓国内でも入国の公表が朴槿恵政権下で行われた国会議員選挙の投票日5日前だったことから、「選挙対策では」と疑問視する声が上がっていた。
その後、13人の動静はほとんど伝えられていなかったが、5月10日、韓国のテレビ局は男性支配人のインタビューを放映。男性支配人は「当初は妻と2人で脱北しようとしたが、国家情報院(韓国の情報機関)の職員から従業員を全員連れて脱出するよう指示を受け、従業員たちを脅して脱北した」と発言、波紋が広がっている。
ハンギョレ新聞は女性従業員の話として「マレーシアに到着して、タクシーに乗ってどこかに向かった。韓国大使館だった。その時、韓国に行くということを初めて知った」と報道。別の女性従業員は「韓国大使館で自分の意志で脱北したという供述書に署名をしなければならなかった。北朝鮮に帰ることもできない状況だったため、選択の余地がなかった。今からでもできるなら、母親のもとに帰りたい」などと訴えているという。
こうした動きを受け、左派系の弁護士団体「民主社会のための弁護士会」は李炳浩・前国家情報院院長らを告発。ソウル地検が捜査に乗り出した。韓国政府は「南北が対話を通じて問題を解決していこうとする立場に変わりはない」としている。
女性従業員について、北朝鮮の朝鮮中央通信は5月29日、「民族的和解と平和の気流が流れている今、被害者(女性従業員)の家族をはじめ、わが人民たちは期待を抱いて愛する娘たちが戻ってくることを待ちわびている」との論評を配信。送還を拒否した場合は「(4月27日の南北首脳会談後に発表された)板門店宣言の履行に逆行する重大な犯罪行為になる」と主張した。
北朝鮮の複数の対外向けメディアは、日本と韓国が軍事情報を共有する軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄も要求。聯合ニュースは「1日から始まった南北閣僚級会談を皮切りに南北間の分野別会談が急ピッチで進むと予想される中、韓国世論の攻勢に乗り出したものとみられる」と伝えている。(編集/日向)
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