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日米貿易戦争から中国がくみ取れる教訓は?―中国メディア

人民網日本語版    2018年4月18日(水) 17時50分

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中国と米国の間で起きた貿易摩擦がヒートアップしている。日本銀行元総裁の白川方明氏は、「この情景には既視感を覚える。目下の米中貿易摩擦は以前の状況にとてもよく似ている。だが今の中国が直面する問題はもっと複雑だ」との見方を示した。写真は中国の工場。

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最近、2大エコノミーの中国と米国の間で起きた貿易摩擦が徐々にヒートアップしている。日本銀行(中央銀行)元総裁の白川方明氏は、「この情景には既視感を覚える。目下の米中貿易摩擦は以前の状況にとてもよく似ている。だが今の中国が直面する問題はもっと複雑だ」との見方を示した。中国青年報が伝えた。

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歴史を鏡とすれば、栄枯盛衰がわかる。1960年代から90年代にかけて、日本と米国の間にはしばしば貿易摩擦が発生し、最終的に両国間の「貿易戦争」へとバージョンアップし、深刻な影響を与えた。このほど開催されたボアオ・アジアフォーラム2018年度年次総会で、日本や米国からの来賓がかつての「日米貿易戦争」の歴史を振り返り、この間の歴史は目下の米中貿易摩擦に多くのヒントを与えるとの見方を示した。

▽中国は日本から教訓をくみ取るべき

1970年代、日本では家電産業が勃興発展し、米国市場で30%のシェアを占め、ピーク時には日本のテレビ輸出に占める米国の割合が90%前後に達した。だが貿易摩擦が激化したため、1977年に日米間で貿易協定(日米カラーテレビOMA<市場秩序維持>協定)が締結され、日本は「輸出自主規制」を始めた。

80年代には、日本の自動車産業の対米輸出が急増し、日本の対米貿易における巨額の黒字を生み出す中核的産業になった。米国の抗議と攻撃を受けて、日本の自動車メーカーは米国現地での投資、輸出自主規制、関税の撤廃にシフトした。

70年代以前には、日本の繊維産業や鉄鋼産業も同じような経過をたどっていた。そして80年代後半から90年代にかけては、半導体産業が米国の同産業に打撃を与え、米国はアンチダンピング、アンチ投資、アンチ合併買収(M&A)などの手段で保護貿易を展開し、最終的に日本の対米輸出製品に対する価格統制などを導入することで決着した。

日本政府は当時、米国や欧州の圧力を受けて金融政策を緩和し、経済活性化プロジェクトを打ち出し、中央銀行も金利を引き下げた。85年には米国、日本、西ドイツ(当時)、フランス、英国の蔵相と中央銀行総裁が米ニューヨークで、有名な「プラザ合意」に調印し、円とマルク(西ドイツの法定通貨)の大幅引き上げと米ドルの大幅引き下げを規定した。その後、この5カ国は共同で外国為替市場に干渉し、米ドルを投げ売りしたのに続き、持続的で大幅な円高を後押しした。

プラザ合意締結からの数年間、大量の円資金が不動産市場と株式市場に流れ込み、特に不動産分野に流れ込んで不動産価格の急上昇をもたらし、バブルが発生した。オリックスグループの宮内義彦シニア・チェアマンは、「当時の政府は『1つの誤りを犯した』。不動産などの分野での資産バブルを崩壊させて、正常な水準に戻そうとしたことだ。だが『曲がったものを真っ直ぐに直そうとする調整プロセス』を取り、消費者物価指数(CPI)を過度に低下させることになった」との見方を示した。

宮内氏によると、「当時、CPIは根本のところでは上昇しておらず、バブルもなかった。日本政府の判断の誤りと、その後に続いた経済バブルにより、10年近く続いた経済発展の『停滞期』が訪れ、これは根本的にみて、日米『貿易戦争』後の一連の貿易政策や金融政策に端を発したものだ」という。

白川氏も、「日米貿易に巨大な格差が生じると、米国は日本に為替相場を調整し、円安を誘導するよう迫り、これにより長期的な金融緩和政策がもたらされ、日本のバブル経済と『停滞』を引き起こした重要な要因の1つになった」との見方を示した。

▽内部の構造改革が重点

かつての日米「貿易戦争」の当事者で、その後の日本の金融政策の制定者の一人である白川氏は、目下の米中間の貿易摩擦には慎重に見守る態度をとり続ける。白川氏によると、「『貿易戦争』のような政治性を帯びた経済問題こそ、より理性的に全面的に考察する必要があり、両国の『基本的問題』に回帰する必要がある」という。

白川氏は日本のかつてのマクロ経済状況を例に挙げて、「日本の80年代の経済成長ペースは世界各国よりも確かに速かったが、その数年前に比べると低下していた。ただ当時の政策決定者は経済成長ペース低下という現実を受け入れることができず、レバレッジなどの措置によって経済を活性化させて高度成長を維持しようと考えた」と振り返った。

白川氏は当時の歴史を振り返りながら、「『貿易戦争』の背景にある潜在的経済成長率の低下といった核心的問題を詳しく検討しなければならない。たとえば人口構造についていえば、日本は『人口増加のメリット』が最大になった時に、経済バブルが崩壊した。持続的な貿易摩擦の背後にあって、日本は自国経済の内部構造の問題を解決する方法により注目し、これを追求すべきだった」と述べた。

宮内氏は、「当時、欧米諸国からの圧力に直面して、日本銀行が取ったやり方は正しいものだったが、外部から来た貿易摩擦を解決し、内部にある経済構造などの問題を解決するために、よりどころとなるのは金融政策だけではなく、財政政策を通じて供給側の需要を引き上げることも必要だった。現実のプロセスでは、金融政策の緩和はツールの一つに過ぎないのに、これだけが役割を発揮していることに失望している」と述べた。

実際、日米「貿易戦争」の頃の日本経済は典型的な輸出主導型経済で、国内の消費需要が経済発展の「トロイカ」に占める割合は小さかった。そして現在では内需が日本経済の最重要部分になっている。宮内氏は、「内需を安定させ、サービス産業の労働生産性を高めるにはどうするかが、日本政府の第一の関心事になっている」と指摘した。

ジョン・ホプキンズ大学高等問題研究大学院(SAIS)ライシャワー東アジア研究所のケント・カルダー所長は、「日本の『貿易戦争』当時の財政政策はそれほど積極的ではなく、これも問題の一つだった。その背後にあるのは、自国産業が高度成長しながら、日本国内の当時の体制モデル転換プロセスが成功したとはいえず、特にグローバル化プロセスは非常にスローテンポで、日本の一連のメカニズムの破壊にもつながった。中国はここから教訓をくみ取ることができる」と述べた。

北京大学国家発展研究院の林毅夫(リン・イーフー)名誉院長(世界銀行元チーフエコノミスト)は、日米「貿易戦争」のもう一人の主役に注目する。

林氏は、「米国は60〜90年代に貿易赤字の責任は日本と『アジア四小竜』の輸出主導型経済にあると断定し、日本に生産プロセスを米国に移転するよう迫ったが、いまだに米国が直面する貿易赤字は減少していないどころか、かえって増加を続けており、ここから問題のカギはやはり米国自身の経済構造にあるということがわかる」との見方を示した。

林氏は、「現在の米国の貿易赤字はかつてと同じく、貯蓄率の異様な低さに原因がある。対症療法的に薬を出して、病気の原因を取り除くしかない。残念に思うのは、米国が自分自身の問題から手をつけようとはせず、いつまでも貿易摩擦に固執していることだ。中国はかつてと同じような状況に直面しており、今、自分たちがやるべきことをやる十分な理由がある」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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