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中国で日本のアプリ「旅かえる」が爆発的ヒット、その陰に孤独な一人暮らしの若者の姿―中国メディア

人民網日本語版    2018年2月1日(木) 0時0分

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中国で今、日本のスマホゲーム「旅かえる」が爆発的人気となっている。その理由は何なのだろう?

中国で今、日本のスマホゲーム「旅かえる」が爆発的人気となっている。その理由は何なのだろう?新華網が伝えた。

■一人暮らしの若者は孤独、時間はあっても貧乏

中国のショッピングサイト・淘宝が発表した「2017年中国の一人暮らしの若者図鑑」のデータによると、20〜29歳の一人暮らしの若者の総数は5000万人以上で、うち90後(1990年代生まれ)が60%以上を占めている。これは、90後の6人に1人が実家を離れて一人暮らしをしている計算になる。

一人暮らしの若者の最も際立つ特徴は「インドア派」と「貧乏」だ。社会に出て働き始めてまだ間もなく、彼らの多くが北京や上海広州深センなどの大都市で生活しているため、生活コストが高く、自由に使えるお金は少ない。淘宝の統計によると、一人暮らしの若者8割が淘宝で使う金額は年間5000元(約8万5000円)以下にとどまっている。

都市で一人暮らしをしている若者を対象に実施された実態調査では、それらの若者が「インドア派」であることがはっきり分かった。

「平日は週末の計画をじっくり練るが、週末になると、やはり一人でずっと家にいる」。

「日曜日の午後になると、外に出なければと感じ、ショッピングセンターにいってウロウロしながら人が多い場所を探す。すべての階を一周して、手ぶらで帰る」。

インドア派で貧乏で、いつも一人なのに、誰かと交流することを強く望む。そんな一人暮らしの若者は、どのようにして「孤独感」を解消しているのだろう?

■「孤独」な若者の心をがっちりつかんだカエル

一人暮らしの若者の多くが、「お供経済」の成長を促進している。ゲームの内容やSNSの分野にいたるまで、各企業は一人暮らしの若者の「孤独」に目を付けている。

まだ中国語対応していない「旅かえる」が中国で大ヒットしていることは意外なことであるものの、一人暮らしの若者という角度から見ると、決して不思議なことではない。

「旅かえる」に登場するカエルは、話をすることもなければ、ユーザーがその行動を操作することもできず、おべんとうやどうぐを持って、好きな時に旅にでかけ、時々旅先からポストカードを送ってくれ、好きな時に帰ってくる。完全無料のアプリで、それに時間や精力はほとんど費やさなくてよい。そう聞くだけでは、「何が面白いのか?」と疑問に感じるかもしれないが、多くの若者はカエルの生活に自分の生活を重ね、「カエルは自分の世話が必要」と感じさせるため、ユーザーの心を捉えている。一人暮らしの若者らは、自分の「愛」をカエルに注ぎ、「いつ家に帰って来るのだろう?」、「ポストカードは届いていないかな?」と、母親になったような気持ちを楽しんでいる。

■「孤独」な若者に目を付けた機能やサービスが続々登場

斬新なコンテンツの登場だけでなく、「お供経済」はSNSの発展をも促進している。また、一人暮らしの若者の「インドア派」という特徴もSNSの発展の余地を大きくしている。動画や音声、VR(バーチャルリアリティー)技術など、一人暮らしの若者の交流を刺激するために、関連の機能が大活躍している。

音声関連の機能では、完成済みの音楽などを配信できるほか、リアルタイムで音声を配信することもでき、音声チャットができるようになっている。中国の「茘枝FM」の音声チャットルームでは、ユーザーはパーソナリティーと音声でやりとりができるほか、その他のユーザーとテキストチャットをすることもできる。

海外でも、動画チャットの人気が高まりつつある。グループ動画に注目し、オンラインライフスペースを作り、学校や会社などのチームが時間の合間に動画通話できるようにしているSNSプラットフォームもある。実際にあるチームのメンバー同士の動画通話であるため、1対1の電話よりもハードルが低くなり、一人暮らしの人に交流の機会を提供することにもつながっている。

VR技術の登場により、時空や次元という垣根がなくなり、二次元の世界で友達を探すことができるようになっている。

バラエティーに富む機能やサービスが続々と登場しているが、本当に若者は「孤独感」を解消することができているのだろうか?実際には、社会現象を巻き起こすような機能やサービスが登場しているものの、大都市に住む一人暮らしの若者の寂しい思いは決して解決されていない。

■社会から仲間外れにされる若者たち

現代社会において、人々のつながりは、血縁関係や恋愛関係ではなく、経済的影響力を中心とするようになっており、人と人、人と社会の関係が疎遠になっている。社会の「勝ち組」と仲良くできていない人は社会の脇に追いやられ、孤独になり取り残されてしまっている。

一人暮らしの若者は、そのような社会の直接的な産物だ。各種共同体から離脱し、一人で生きており、他の人とのつながりはどんどん希薄になっている。技術の進歩により、交流の機会は増え、一人暮らしの若者は自由でオープンに見えるかもしれないが、グループという観点から見れば、それらの若者は仲間外れにされてしまった孤独な人たちだ。

社会学者のジグムント・バウマン氏は著書「廃棄された生」で、「『過剰』が現代化の最大の特徴。その結果『余る人』が出てくる」と指摘している。

現代社会の普遍的なルールにおいて、すべての人は自分の「交換価値」を証明しなければならない。まだ十分な資本がない若者が即座に自分の価値を証明できないとなると、「余り」というレッテルを貼られてしまう。そうなると、若者らは自分の居場所がなくなり、いら立ちを感じるようになり、一人暮らしの若者らは深刻な「孤独感」に悩まされることになる。

「旅かえる」も、一人暮らしの若者の現状を映し出していると言えるのではないだろうか?「旅かえる」のカエルは、自分の部屋で一人で本を読んだり、何かを書いたり、一人で旅に出かけたりする。多くの若者はその姿に自分を重ね、カエルの世話をすることで、「このカエルだけが自分を必要としてくれている」と感じ、自分の価値を見つけ出しているといえる。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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