Record China 2011年8月29日(月) 18時46分
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日本経済が少子高齢化や長期デフレで低迷し、欧米経済が失速する中で、主要国で断トツの経済成長を維持している。ただ、インフレ高進や地方政府の財務残高が高水準となっており、アクセルとブレーキを同時に踏む注意深さも必要だ。写真は北京のデパート街。
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日本経済が少子高齢化や長期デフレで低迷し、欧米経済が失速する中で、中国は世界の成長センターの中心に躍り出、世界主要国で断トツの経済成長を維持している。北京の繁華街、王府井は多くのデパートやオフィスビルが林立し、おびただしい数の中国人や外国人で賑わっている。
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日本の企業が「失われた20年」から脱却するためには、アジア全体、特に最も近く巨大な中国を自らの広義の市場ととらえ、その成長力を積極的に取り入れることが欠かせない。ただ、インフレ高進や地方政府の財務残高が高い水準となっており、アクセルとブレーキを同時に踏む注意深さも必要だ。
日産自動車、コマツ、資生堂、ユニクロなど大手企業はもちろん、中堅企業でも中国ビジネスを積極的に手掛けているところが成功を収めている。日本の10倍の13億人を擁する中国の人口当たりの自動車保有台数は欧米や日本の10分の1 以下で潜在需要は測り知れない。このことは他の業種にもいえること。巨大な隣国中国と真のウィンウィンの関係を築く必要がある。
中国経済は、昨年の実質成長率が前年比10.3%と予想を大幅に上回る高い伸びとなり、世界第二の経済大国に躍進した。今年に入っても、最低賃金上昇による消費拡大、インフラ建設や民間設備投資の拡大などにより、高成長が続いている。2011年の経済成長率も10%前後に達するとの見方が大勢だ。
一方で中国経済の先行きには課題も多い。目下最大の至上命題はインフレリスクの回避。インフレは庶民の生活を直撃する。中国での今回のインフレの特徴は食品価格の上昇が顕著な点。これによりエンゲル係数の高い一般庶民の生活が圧迫され、不満の声は高まっている。
中国の消費者物価上昇率(前年同月比)目標は4%だが、今年3月に5%を超え、6月は6.4%と08年6月の7.1%以来、3年ぶりの高水準となった。この結果、今年上半期の上昇率は前年同期比5.4%を記録。中国政府は今年3月の全国人民代表大会で経済政策の最優先課題として「インフレ抑制」を掲げ、今年の通年の消費者物価上昇率を「4%程度」とする目標を改めて確認したが、その達成は困難な情勢だ。
インフレの要因は、大幅賃金上昇、食料品価格の上昇、国際商品市況の高騰、米国など先進国の超金融緩和による過剰な資金流入―など複合的。今後も、天候不順や国際的投機マネーの流入が物価高騰に拍車をかける恐れがある。
以前は、中国人の給与水準は日本人駐在員に比べてはるかに低く、2割程度だったが、現在、ホワイトカラーの平均的な給与水準は日本人駐在員の半分程度まで追い付いてきているという。中国政府は「所得倍増」を目標に掲げ、今後5年間で中国人の賃金は2倍に達する見通しだ。
インフレ要因が目白押しの中、中国政府が志向しているのが人民元レートのさらなる引き上げ。インフレ抑制には輸入物価下落や外国資金流入抑制につながる為替レート引き上げが有効だからだ。
庶民の不満のもう一つの矛先は住宅問題。昨年からマンションなど不動産価格の高騰が続いている。しかも所得格差が拡大し一般庶民は大都市での住居購入が困難になりつつある。中国政府は価格高騰を抑制するために、マンション保有規制など相次ぐ抑制策を打ち出し、一部大都市で不動産保有税の導入を開始。低所得者向け住宅の建設に注力しているが、旺盛な需要に追いついていない。
不動産市場はバブルと言っていい状態。地方政府が工業団地やショッピングセンターなどの開発プロジェクトを推進するために設立した融資プラットフォーム会社向け貸し出しが巨額に達しており、その焦げ付きの恐れが囁かれている。地方政府の開発競争バブルがはじけることが目下の最大のリスク要因とみられ、警戒を要する。(取材・編集/HY)
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