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希望の見えない日本経済、「内部留保」しつつ海外投資―中国メディア

人民網日本語版    2018年1月9日(火) 9時50分

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内部留保は一部の人から、「消費市場の低迷をもたらした悪の親玉」とみなされている。資料写真。

安倍晋三首相は2回目に政権を取って以来、量的緩和政策によって為替相場を円安で推移するようにし、大企業の帳簿上の収益が年々大幅増加するように仕向けてきたが、企業は政策の想定通りには動かず、大規模な設備投資を行うこともなければ、社員の給与を大幅に引き上げることもなく、利益を貯め込んで「内部留保」にするようになった。内部留保は一部の人から、「消費市場の低迷をもたらした悪の親玉」とみなされている。総合誌「環球」が伝えた。(文:劉雲・中国現代国際関係研究院副研究員、南開大学日本研究院客員研究員)

▽政客に注目される収益の内部留保

アベノミクス」政策のロジックによれば、つまり米連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン元議長の「量的緩和政策」の理論的枠組によれば、日本経済は次のように推移するはずだった。中央銀行が量的緩和政策を実施して大量の通貨を市場に流すと、通貨の「量」で「低下する資金の循環ペース」を補えるようになり、資本の流動や貸出の「ブラックボックス」が正しい軌道に乗り、経済はデフレからインフレに転じて成長ルートに入り、企業は設備投資を増やし、社員の給与を引き上げる、というシナリオだ。

だが理論と現実は一致しない。

日本の消費者物価指数(CPI)は2017年9月に前年同期比0.7%上昇にとどまり、日本銀行(中央銀行)は2年間でCPIを2%上昇させるという目標の達成時期を6回にわたり先送りした。企業の社員の額面給与の年平均増加額はわずか1000円で、これとて企業の労働組合が「春闘」で勝ち取った成果に過ぎない。世帯の実質可処分所得は「アベノミクス」実施前の12年を下回り、正社員のポストは12年より36万人分減った。

16年に日本を訪れて交流を行った米経済学者のポール・クルーグマン氏は、「量的緩和政策は日本では期待されたような効果を上げていない」と指摘した。

量的緩和の状況と鮮明な対比をなすのは、大企業の帳簿上の収益が激増している状況だ。

このアンバランスを是正するため、政客たちは次々に「内部留保」に目をつける。00年以降でも、二重課税の疑いがあり、企業の自由な経営の足を引っ張る「内部留保への課税」が政客たちによって繰り返し提起されたが、これでは日本経済の構造的矛盾を根本的に解決することはできないとして、常に議論の段階にとどまってきた。

▽希望がみえない日本経済

1990年代にバブル経済が崩壊して以来、日本経済は「失われた10年」、「失われた20年」に突入し、さらには「失われた30年」に足を踏み入れた。日本企業が「財布のひも」をしっかり締める原因は希望がみえないからで、ここには日本経済の構造的矛盾が反映されている。

そのうち、最も核心的な矛盾は「少子高齢化」だ。

日本は70年代に「高齢化社会」に突入し、94年に「高齢社会」になり、05年に「超高齢化社会」に入った。「少子高齢化」の直接的な結果として、次の3点が挙げられる。第1に、若者の税負担が増加し、高齢者を支える社会コストが増大し、政府の財政赤字は巨額になり、経済発展が重い荷物を背負うことになった。第2に、労働力の深刻な不足を招き、失業率が3.6%まで低下する中、企業が再生産を拡大しようとしても常に「人手不足」というボトルネックに悩まされ、政府が財政支出を増やして建設プロジェクトを進めようとしても、しばしば「人手不足」で頓挫することになった。第3に、人口減少により社会全体のニーズが減り、企業の投資意欲を押さえ込んだ。

次の矛盾は投資の期待収益の低下だ。

一方で、日本政府は90年代に不動産価格が暴落した際、思い切って「ゼロ金利政策」を打ち出しており、これは量的緩和の始まりとみなされる。安倍政権下の量的緩和では「マイナス金利政策」すら打ち出し、社会の正常な収益レベルを示す国債の利回りを長期的にゼロに近づけ、さらにはマイナスにしようとしている。

また一方で、日銀の試算では、ここ数年の日本経済の潜在成長率は0〜0.5%まで落ち込んだことがあり、17〜27年も1%に満たないという。潜在成長率には日本経済が低成長を維持するしかない状況が反映されている。この2組のデータからわかることは、企業がマクロ的観点からみて、日本で行う投資の収益はゼロになり、成長率は1%以下になると考えていることだ。ここから企業の日本国内での投資意欲の低下を説明することは難しくない。

▽海外投資により意欲的

日本企業は実は投資が好きで、海外で大規模な投資を行っており、日本国内での「けちけちした」イメージとは大きく異なっている。ある意味で、日本企業の国際化レベルや国際競争力は国境による制約を超越しており、海外の資産と国内の資産がほぼ釣り合いをみせる。

20世紀に日本経済が大いに発展すると、日本企業はずっと休まずに国際化を進めてきた。「雁行型モデル」は日本企業が主導するアジアの産業チェーン分業モデルであり、日本企業の国際化の第1歩であり、最も早く海外進出を果たしたのは製造業企業だった。

製造業企業はコストに導かれ、「安価な労働力」を追い求めて世界各地で工場を建設し、製造した製品を米国や欧州に輸出し、日本でも販売してきた。グローバル化のレベルが高まるにつれ、北米自由貿易協定(NAFTA)の原産地ルールといった新しい貿易ルールが登場し、日本企業は市場主導型の「現地生産」の原則に基づいて工場を配置するようになり、たとえばメキシコに北米市場向けの大型SUV(スポーツ用多目的車)工場を建設するなどした。

日本企業は近年、インドでの投資でも突出した動きをみせる。過去5年間の年平均投資額は50億ドル(1ドルは約113.1円)で、09年の2.5倍に相当し、20年までこの規模が続くとみられる。

日本国内市場の萎縮ぶりを踏まえて、日本のサービス産業も合併買収(M&A)方式によって海外に打って出るようになった。

企業のM&Aをサポートする日本の調査会社レフコがまとめた統計では、14年の日本企業の海外M&Aは557件で、サントリーによる米ビーム社の買収、第一生命による米プロテクティブ社の買収、大塚製薬による米バイオベンチャー企業の買収があり、15年のM&A規模は10兆元を超え、東京海上ホールディングスによる米保険会社の買収、日本郵政のオーストラリア物流大手トール・ホールティングスの買収があった。16年は16兆円を超え、ソフトバンクグループによる英半導体大手アームホールディングスの買収が行われた。

興味深い現象がある。中国人消費者の「爆買い」の対象となった商品のメーカーが日本国内での投資を増やしていることで、小林製薬、安川電機、花王グループなどがそうだ。国際化レベルの高い日本企業は急速に増加する中国市場のニーズを機敏にとらえるとともに、新時代の要求に対応しようとしている。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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