<詳報>世界的に不可能なはずが、今中国で起こってしまった!「グーグル、百度と谷歌のこと」―JMM

Record China    2010年2月1日(月) 15時59分

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2月1日、作家村上龍氏のメールマガジンJMMの記事『大陸の風−現地メディアに見る中国社会』(第168回)でプログラマー出身のITコラムニスト霍炬氏のブログ記事「グーグル、百度と谷歌のこと」が紹介された。写真は中国のグーグル。

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2010年2月1日、作家村上龍氏のメールマガジンJMMの記事『大陸の風−現地メディアに見る中国社会』(第168回)で初めて紹介されたプログラマー出身のITコラムニスト霍炬氏のブログ記事「グーグル百度と谷歌のこと」の詳報は以下の通り。

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グーグル、百度と谷歌のこと

霍炬

長いこと、このブログで技術以外のことを書いてこなかった。特に業界関連の話なんて上滑りだし、人をけむに巻いた話になるのがオチで、関係のない人にとってなんの価値もないから書こうとは思わなかった。でも、今回はここ5、6年のグーグルと百度についてのぼくの観察について書くつもりだ。そこにはたくさん個人的な推察が混じっていて、それが完全に正しいとは保証できないので、ま、ブレインストーミングのつもりで読んでいただきたい。

 

1.グーグル:「Don’t be evil」と情報の流れ

 

ご存じのようにグーグルの目標は「世界的な情報の整合」にある。見方を変えれば、それは情報の流れを加速することだといえるだろう。情報の流れが速まれば、そこに巨大な経済利益が生まれる。加速はつまるところ人間の経済活動のメインストリームであり、スピードは利益を生む。蒸気の時代から現在に至るまで、移動を加速させる

方法は人類に巨大な変化をもたらしてきた。ただ違うのは、蒸気と機械の時代に加速されたのは人と物品の移動で、情報化時代に加速されるのは情報の流れという点だけだ。

 

詳細に眺めてみれば分かるだろうが、すでに多くの場合において実体的な物質の流れは必要なくなった。たとえば手紙を送る必要はなくなり、電子メールを書くだけでよくなった。我われはまた新聞を宅配してもらう必要をそれほど感じなくなり、ポータルサイトで読めばいい。これが情報化時代によってもたらされた変化だ。そしてグーグルがやっているのは引き続きそれらの情報の流れを加速することであり、人々が求めるものをさらにすばやく目の前に届けようというわけだ。

 

グーグルはずっと「ページランク」(グーグルが開発した検索システム)を大事にしてきた。不正を働いた者を処罰するほかはほぼランキングには干渉しないという態度が情報の正しい流れを加速し、加速された情報こそがグーグルにとっての価値あるものであり、巨大な経済利益を生むからだ。グーグルは検索結果に広告をはさみこむことを絶対に許さない。そうでなければ、検索結果の質低下→ユーザーの不満→検索数の低下→広告クリックの減少を招き、最終的に収入の低下を招くことになるからだ[後で述べるが、百度はこの点においてまったく違う方法を取っている]。

 

アドワーズ(グーグルを使った検索結果の横に検索キーワードに基づいた広告が表示され、利用者のクリックごとに広告主が収入を得ることができるサービス)を利用したことがあるネットユーザーなら知っているだろうが、その単価はものすごく高いわけではない。たとえ単価を非常に高く設定してもキーワードマッチの確率が低ければ広告へのクリック数は低くなるし、クリック回数が低ければグーグルはそんな広告の出現率を引き下げる。そうして、「AかBか」という検索の結果に「Bである」という広告を投げ込んでユーザーに誤解をもたらすようなことを避けている。

 

このようなシステムにおいて「使えるもの」はその効果を高めていくから情報の流れは速くなり、グーグルはそれをますます加速させる。「使えないもの」はゴミとなって情報の流れを阻害するので、グーグルはそのスピードをさらに落としてそれが打ち捨てられるのを待つわけだ。

 

「Don’t be evil」(邪悪なことをするな)というスローガンは東欧生まれの(グーグル創設者の一人)セルゲイ・ブリン氏の人生の目標といえるだろうし、グーグルの商業価値の準則と理解することもできる。邪悪なことをしなければしないほど情報には秩序が生まれ、正しく流れ、グーグルに流れ込む実質利益も増大するのだから。

多くの人たちがこれをただのカッコつけのスローガンだと考えているが、実際にはこれはビジネスと個人的な目標という二つの準則なのである。

 

2.百度:有償ランキングとグーグル

 

百度は明らかに検索の巨大な利益を目にして、この市場に入ってきた。その検索の質はともかく、まずは百度の利潤源を見てみよう。

 

百度でも右側に広告[グーグル・アドワーズそっくりだ]、左側にランキングが示される。左側のランキングはいわゆる有償ランキング(広告主がオークション方式で検索順位を買い取る方法)と言われるもので、これは百度の「オリジナル」だ。有償ランキングは百度の主な収入源になっている。

 

前述したとおり、有償ランキングはユーザーの検索を妨害するものだ。これについては(利用した人なら)覚えがあるはずだ。ある人気キーワードを百度で検索すると数ページにわたって有償ランキングの結果が並ぶ。なぜグーグルはそんなことをせず、百度はそうやって利益を倍にしているのか?

 

昨日、ぼくは「ついったー」でこうつぶやいた、「アドセンス(上記グーグルのアドワーズの広告システム)は情報の秩序ある流れを促して利益を得る。有償ランキングは情報の流れを破壊して利益を得る。だからこそ、この二社は問題の見方が違うのさ」ってね。

 

多くの人たちがこんな経験をしたことがあるはずだ。キミのサイトがよく検索にかけられていると、百度のセールスが有償ランキングに参加するよう声をかけてくる。もしそれに乗らなければ、キミのサイトが検索で出現する回数は激減する。これこそが「情報の流れを阻害しても利益を生むことができる」ことをまさしく説明するものだ。

いうなれば、他人の子供の面倒を見ることでお金を稼ぐことができるけど、他人の子供を脅して保護費をもらってお金を稼ぐこともできるってわけだ。

 

となると、前述したように情報の流れを阻害するものはユーザーに打ち捨てられるべきなのに、なぜ百度はその逆をいけるのか?

 

検索エンジンがはじき出した結果を評価するのは実のところ非常に難しい。一般的には「10%ほど優れている」となんて答はまったくあてにならない。それは市場でたびたび証明されている。検索結果の10%程度の良しあしなんてユーザーにはそれほど大した影響をもたらさない。(国産検索エンジンの)二番手にある「捜狗」や「有道」だって、その検索結果を百度と比べたところで実際にそれほど大きな違いがあるわけじゃない。でも、どうしてもトップにはなれない。同じようなことがグーグルや「ビング」(マイクロソフトの検索エンジン)、「ヤフー」に起こっている。つまるところ、検索エンジンなんて早く市場入りした者勝ちってわけなのだ。

百度が創設されたとき、グーグルは深刻なアクセスブロックに遭った。誰もが知っているように、あの頃(中国国内の)大企業から普通の方法でグーグルにアクセスすることができなかった。その黒幕が百度だったかどうかをここで議論してもしようがない[百度がそのような行為をバックアップしたかしなかったかに関わらず、それは起こるべくして起こったのだから]。あの数年間はちょうど、中国のインターネットユーザー数が最も急速に伸びた時代でもあった。そうしてインターネットの新ユーザーたちが大量に直接、百度のユーザーとなった。

検索エンジン市場では「一次ユーザーの獲得」が一番重要なのだ。

百度とグーグルの製品と買収戦略を比較してみると、百度は一般にツールバーや情報ナビゲーションサイト、ソフトウェアダウンロードサイトなど、巨大なユーザーアクセス数をもたらす製品を買収してきた。グーグルのアクセスブロックもこのような行為を逆利用した手法であり、百度がそれを演出したのかどうかは別として、少なくともその結果百度はさらに多くの一次ユーザーを獲得したのは間違いない。

ライバルが基本的に存在しない市場においては、百度は「アクセス数で諸侯を手のうちにおさめる」ことができる。そんな時、情報の正しい流れを一部破壊したところでそれほど深刻な結果をもたらさない。というのも、ユーザーには比較の対象がないからだ。

熱烈なグーグルの支持者たちは二つに分類される。まずは初期ユーザー。彼らはグーグルを使ったことがあり、また百度も使ったことがある。はっきりとした比較と識別能力によって彼らはグーグルを選択した。もうひとつはプロフェッショナルユーザーである。彼らは百度では彼らが求めているものを見つけることができないことを知った。そんな彼らには百度に対するグーグルの優位がぐっと高まり、ユーザーたちの満足度が最高潮に達して彼らもグーグルを選択するようになった。

中国のインターネットの世界は、エンターメントを目的としたユーザーが断然多い。そんなユーザーたちにはグーグルと百度の区別がつかず、百度の方が良いと感じることすらある。というのも百度にはとても便利なMP3検索があるからだ。彼らはまず百度に触れてそのままそこにとどまり、引き続き百度のユーザーとなる。それが現在、我われが目にしている情景なのである。

3.「Google.cn谷歌」はなにをしたのか

2006年、グーグルは中国オフィスを開設し、それを「谷歌」と命名した。これはグーグル始まって以来最も大胆で、また最も注意深くなされた試みだった。彼らはそれまで、コンテンツの検閲を求められるような国に進出したことがなかった[前述したように、それは情報の流れを阻害し、同時にグーグルの価値観にも背くものだったからだ]。

細かな点にグーグルの慎重さを見てとれる。たとえば、Google.cnにはグーグルアカウントがない。ユーザーは(Google.cnにおいて)個人情報を登録することができず、パスワードもない。だからパスワード漏れという心配もない。後で「谷歌音楽」(楽曲視聴サービス)が始まった時に、「どんなアカウントでも登録できるのにグーグルアカウントだけ使えないじゃないか」とそれをあざ笑った人もいた。グーグルは登録が必要なサービスを中国入りさせていないのだ。Gメールも、Gトーク(グーグルのインスタントメッセンジャーサービス)も、ブロガー(グーグルのブログサイト)もだ(つまり、中国でこれらのサービスを利用するには海外グーグルのサイトでアカウント登録することになる)。

グーグルは中国入りしたその日から、自分にボトムラインを引いた。そのボトムラインこそが、李開復氏(元グーグル副総裁として「谷歌」設置をけん引、そのトップを務めた。昨年辞職し、中国国内でIT人材育成会社を開設)が口にした「本社の圧力」だったのだ。

李開復氏の谷歌は「Google.cn」であって、決し「Google.com」ではなかった。それは百度そっくりの外資企業でしかなかったのだ。

谷歌のここ数年の仕事は「アクセス転がし」という言葉でくくることができる。それはグーグルの伝統的な手法とは全く別のもので、グーグルはほとんど積極的にアクセス数を求めることはせず、サービスの質がすべてを解決するという態度を採って来た。しかし、谷歌はアクセス数を高めることを必須とし、あわただしく大学で講座を開いたり、本を書いたりするプロジェクトマネージャーを務めるようになり、(グーグル)創設者のようにじっくりと一つの市場を守ろうとする忍耐をもたなかった。それがますます谷歌を百度そっくりにしてしまった。

誰もが知っているように、相手と同じ手法を使ってライバルを打ち負かすことはできない。

谷歌がこれまで最も力を入れたサービスが「谷歌音楽」だった。これは明らかに、百度がMP3検索で先んじていることを見据えたもので、エンターテイメント中心のインターネットユーザーを取り込むことが目的だった。もちろんグーグルには世界的な名声があるから、そこで楽曲を紹介するためには版権を取る必要があった。そのサービス自体の良しあしはここでは評価しないが、これは明らかにグーグル本社がやってきたこととは違うものだった。グーグルに音楽製品のダウンロードを運営できないとでも? グーグルにダウンロードサイトの運営能力はないのだろうか? いや、グーグル本社がそれをやらなかったのはそれがその価値観にあわなかったからだ。

同じように価値観に合わなかったのが、討論サイトの「天涯」などとの協力だろう。先にも書いたが、特殊なデータ以外、グーグルがコンテンツ作りに手を出すことはない。グーグルは肝が据わっていて、そこでは百度のBBSサイトやその百科事典サイトも検索することができるし、その結果が目立つ場所に現れる。しかし、彼らは自分たちがそれを真似てBBSサイトを作る必要はないと考えている。そんなことをすれば競争のレベルが下がってしまうからだ。

さらには、谷歌では中国から「Google.com」へアクセスした人を自動的に「Google.cn」に引っ張り込んで、自分たちのシェアを高めようとした。それが多くの昔からのグーグルユーザーを苛立たせた。ある著名なネットユーザーはかつて李開復氏が参加した場で手を挙げて、「どうしたら中国できちんとGoogle.comにアクセスできるのか」と詰問したことがある。

「アクセス転がし」の後、谷歌の市場シェアは上昇した。当たり前だ。しかし、新たに伸びたシェアのうち、どれくらいが正式な検索アクセスなのかは分からない。それは百度の検索とBBSなどのサービスの割合と同じようにヒミツなのである。

そうして、「グーグルの後ろを百度が追い、百度の後ろを谷歌が追いかける」という図が出来上がった。谷歌は「アクセス転がし」のほか、さらに「収入奪取」もやってのけた。

(中国で)アドセンスを利用したことのある人なら、そのキーワードマッチのレベルがだんだん下がり、医療関連の広告が増えて来たのに気づいた人もいるだろう。以前なら不正なことをしてアカウントを抹消されたりする人がたびたびいたものだが、その後誰からもアカウントが抹消されたという話を聞かなくなった。

ぼくは07年にブログで、「悪いけど、あれは谷歌であってグーグルじゃないね」、「ブログのグーグル・アドセンスをはずしたよ」という二本のエントリを書いた。

あの事件はどちらもグーグル・アドセンスの特徴からしてありえないことだった。グーグル・アドセンスのマッチ率は正確で、ユーザーを混乱させず、有効な情報を提供するものだったはずだ。英語のサイトをのぞく人ならだれでも知っている通り、アドセンスの広告のマッチ率はかなり精確で、時としてクリックする「必要」すら感じられるほどなのだから。

その二つの特徴を放棄してしまった谷歌の広告は「広告連盟」でしかない。それは小さなウェブサイトの広告バナーのアクセス量で広告主と交渉するのと本質的には同じ。そのような広告戦略ならマッチ率なんて必要ないし、クリック詐欺を杜絶する必要もない。そんな広告に一番お金を投じるのが医療業界や美容業界なのだ。

それらの業界からはたっぷりとお金が取れる。谷歌にとっても百度にとっても、そしてどこかのテレビ局にとってもそれは同じ話だ。

この5年間、マスコミがいつも話題にしてきた「谷歌の困難」とは「本社からの圧力」だったのだ。わずかにぼくが挙げた部分だけでもすでにグーグルの価値観に抵触しているのだから、グーグル(本社)が不満に思わないわけがない。

興味があれば、2005年から2010年の5年間、グーグルが何をしたのか、谷歌が何をしたのかを比べてみるといい。そこには全く違うプロジェクトが並んでいる。

結果からすればそれはどれも「市場シェアの拡大、収入の増大」と言えるのだろうが、グーグルはここ数年間、検索インフラを固めて来た。検索のコンテンツソースとその規模を拡大し、検索を非デジタルなコンテンツにまで引用し、地図や衛星画像、アースやストリートビューなど一連の重要なサービスを発表し、モバイルや3Gに進出した。谷歌はなにをした? 音楽、人気ランク、そしてどっかからコピーしてきたインプット方法だけじゃないか。

谷歌が生まれたその日、ぼくは一本の原稿を書いた。それは「中国を研究開発基地と見なして投資、研究開発を行うだけで営業は行わないか、あるいはインドで支社を開くべきだ」という内容だった。それが今、見事に的中したわけだ。

4.孫雲豊氏の視点について

商業価値と経済利益という面から考えても、グーグルの「邪悪なことはするな」というのはただの「カッコつけスローガン」ではないことが分かる。情報の秩序化でもうけようとする企業にとって、邪悪なことをしないことは「マスト」である。百度はその逆なので、邪悪なことをしなければならないのだ。

グーグルは幸せだ。商業価値を正確な価値観の上に築くことができるのだから。それは非常に貴重なことだといえる。残念なことに、百度にはそれはできない。

孫雲豊氏(百度のトッププロジェクトデザイナー。グーグルの中国撤退示唆後、「胸クソ悪くなる」というタイトルでグーグルを批判する内容のブログエントリを発表したが、その後それを削除した)の発言は支離滅裂だ。彼は一方で「グーグルは人権戦士などではなく、利潤を求めるケチな野郎」と言いながら、社会的公正さという旗を振り回して百度の道徳感を持ちあげた。この二つは明らかに矛盾している。もしグーグルの目的が利潤だけだというのなら、百度も同様なんだから道徳なんて振り回すべきじゃないだろう。

さらに彼は自分の視点は全く間違っていないと言いながら、自分のブログエントリを削除した。削除は必ずしも彼の意志によるものじゃないとかばう人もいるが、ならば、「道徳感」を持った百度のスタッフとして彼は他人の意見に屈服して自分が正しいと思うものを削除すべきではなかったはずだ。

百度のスタッフたちは孫氏を弁護しているが、それだって支離滅裂だ。百度が非常に良い企業だということを証明しようとしても、孫雲豊氏が行っていることが正しいという証明にはならない。ナチスドイツが戦闘力の高い軍隊を持っていたところで、ヒトラーが正義だということを証明したわけではないのと同じだ。さらに彼ら自身が矛盾していて、孫雲豊氏がライバルに対して罵詈雑言を発するのは正しくて、他人が孫雲豊氏を罵るのは間違いだと思っているのだから。もし、孫雲豊氏が個人としてある企業を罵ったのであれば、その企業のユーザーには反撃する権利がある。孫雲豊氏が百度を代表しているのならば、彼には職業道徳というものが可哀そうなほど欠けている。いかなる点からしても、ぼくは百度スタッフたちの意見にうなずくことができない。

もちろん、ぼくは百度が無茶苦茶な会社だと思ったことはこれまで一度たりともないし、どちらかというと百度はだんだん責任感のある企業になって来たなと感じたことがたびたびある。しかし、残念ながら、スタッフの上から下まで企業と同じように変化を遂げたわけではないらしい。

この事件がグーグルの中国におけるシェアに打撃を与えたと喜ぶのは間違っている。現実には、中国のインターネット市場が消失したのである。それは市場シェアとは関係なくて、マクロ環境に関わるものだ。この国で脈々と温められてきたインターネットの時代はここで終わり、ITエリートたちは彼らが日ごろバカにしている伝統的なビジネスマンたちと同じように合併され、再編され、消失していき、多少残ったそれは利潤の薄い片隅へと追いやられるだろう。キミのアパートの階下で路上管理局の目を気にしながら路上に野菜を並べて売る、気の毒な野菜農家のように、びくびくしながらほんのちょっとの収入を求めていくしかなくなるのだ。これはこの業界にいる一人ひとりにとっての悲劇だ。

「ついったー」ユーザーのTinyfoolは言った、「百度の矛盾は、彼らが世界的な資本市場で注目を浴びることができるのはグーグルの成功があってこそなのに、彼らは常にグーグルがつぶれてしまえばいいのに、と考えていることだ。そして世界的に不可能なはずのそれが、今中国で起こってしまった。彼らは本当にそれを喜んでいるんだろうか?」。

グーグルがぼくらにくれた最大の価値は、情報の流れを加速させることのほかに情報を永遠に残し続けることだ。ぼくがこのブログエントリを書いて「発表」というボタンをクリックすれば、数分後にはクモの子たちが押し寄せてこの文章をなんどもコピーして世界各地へと押し出してくれる。そしてこのエントリは永遠に生き続ける。

どこかの組織が管理したり削除することはできないし、その流れを阻止することもできない。広告会社にもできないし、ある国の政府もできない。孫雲豊氏の言論、そして百度のその他スタッフの言論もこのエントリと一緒に永久に生き残って歴史の一部となるだろう。これこそぼくらがグーグルを熱愛する理由なのだ。

さてと、「発表」をクリックしようか。

<()は訳者による補足、[]は霍氏による:翻訳・ふるまいよしこ>

(編集・NK)

※本記事は訳者の承諾を得て掲載したものです。

注・霍炬氏は同ブログ(http://blog.devep.net/virushuo/2010/01/14/blog56google_blogtinyfool_1_go.html)上で記事を自由に転載して良いとしているが、JMMの筆者ふるまい氏は霍氏の了解を得て日本語でこの記事を紹介した。

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