Record China 2009年5月19日(火) 17時7分
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日本に働きに来て間もない頃、私は毎日疲れていた。職場が遠かったこともあり、地下鉄に乗る時はいつも座りたかった…。写真は新宿。
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日本に働きに来て間もない頃、私は毎日疲れていた。職場が遠かったこともあり、地下鉄に乗る時はいつも座りたかった。電車がホームに入ってくると、目を皿のようにして空席を探す。ドアが開いた途端、並んでいる人がいようが下りてくる人がいようがお構いなく、空席に向かって突進すれば必ず座れた。だが、しばらくすると少し不安になった。なぜいつもライバルがいないのだろう?人混みをかき分けて乗り込んでいくとみな道を開けてくれる。列が乱れることもない。
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ある時、ホームにはいつものように長い列が作られていた。空席はたった1つ。私はドアが開いた途端に思いっきり駆け込んだ。ところがこの時はもう1人、ライバルがいた。しかし、相手の動きが遅いのが幸いして、私は無事に席をゲットする。だが、良く見ると相手は老人だった。私のおじいさんくらいの年齢か。私はゆっくりと席を立ちあがった。車内中の人が私を見ている。老人は私に何度もお礼を言った。私は慌てて別の車両に移った。それ以来、私は列に並ぶようにしている。
また、ある雨の日。私は水が滴る傘を持って地下鉄に乗った。ちょうどラッシュの時間帯で車内は混んでいた。突然、私の傘が誰かの服に引っ掛かり、傘の骨が曲がった。ちょうど私が何か言おうとした瞬間、相手が先に口を開いた。「すみません、服があなたの傘に引っ掛かってしまいました」。相手は言い終えると、自分の服から傘を外した。私は何も言えなかった。もし相手が何か言いがかりをつけてきたら、絶対に口論になっていただろう。だが、相手は先に謝った。それどころか、自分の服が悪いという言い方をした。私は返す言葉がなかった。その後また、別の人の服に傘が引っ掛かった。だが、この時も相手は「すみません」と言い、軽く会釈までした。私は少し恥ずかしくなり、慌てて「すみません」と返した。その時、私の横に立っていた小学生が「おじさん、傘をたためば良いんだよ」と言ってきた。傘をたたむ?私はその子に冷たい視線を向けた。電車に乗るたびに傘をたためというのか?「おじさん、みんな傘をたたんでいるよ。そうすれば他人に迷惑をかけないでしょう?」とその子は私の視線などお構いなしに続け、自分の傘を見せた。私はこっそりと周りを見渡した。その子の言う通りだった。それ以来、私は傘をたたむということを念頭に置いている。
ある日、日本に出張に来た女友達に付き添って洋服を買いに行った。彼女はいろいろ見て回った末に気に入った物を見つけた。女性は洋服を選ぶのにものすごく時間がかかる。彼女に「なぜどれも生産地が英語で書かれているの?」と聞かれたが、すでに面倒になっていた私は適当に「外国からの輸入品か日本からの輸出品だ」と答えた。だが、買って帰った後に良く見ると「メイドインチャイナ」という表示が。彼女は大泣きした。せっかく日本で洋服を買うために何日もカップラーメンで節約したのに、中国製のものを買うなんて…。私は思い切って「返品しよう!」と言った。
「返品できるの?」と彼女は疑いの眼差しで私に聞いた。「理由はどうするの?中国製だから、で通用するの?」
「それは…」と私は一瞬言葉に詰まったが、「小さすぎたことにしよう」と続けた。
「買う前に試着したわよ。返品できなかったらどうしよう?」
適当な理由も見つからないまま、私たちはとにかく買った店に向かった。私はたどたどしい日本語で一生懸命に理由を説明した。緊張のあまり少し震えていた。すると女性店員は笑顔で「構いませんよ。お気に召さないのならすぐに返品処理いたしますから」と言いながら、お金を返してくれた。その後、私たちを出口まで送り、「ありがとうございました」と言いながら深々とお辞儀をした。
彼女は少し申し訳なさそうに「もう少し店内を見てみようか。他に良いものがあるかも知れない」と言った。私たちがもう1度店内に戻ると、先ほどの女性店員はまた深々とお辞儀をし、私たちが物色するのをじっと見守った。そして、彼女はその店で「メイドインジャパン」の服を買った。(男性/東京在住)(翻訳・編集/NN)
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