こうした政治が絡んだ展覧会で思い起こされるのは1999年、中国の建国50周年を機にロンドンで開かれた「陝西省文物精華展」。当時の国家首脳である江沢民氏も訪英しただけに大規模な準備が展開され、大英博物館側の担当者の述懐では、「最初のうち中国側は月並みな展示物候補しか示さなかったが、大英博側の要求でそれまでに公開されたことがなかった多様な展示が実現した」という。その成果はこの時一瞬だけの「消えもの」ではなく、「Gilded Dragon〜Buried Treasures from China’s Golden Ages」(by Carol Michaelson、 British Museum Press)という書籍に結晶している。89年の天安門事件の悲劇から10年が経過し、国際社会に徐々に復帰しつつあった中国にとってはおろそかにできないという政治環境もこの展覧会の充実を後押ししたと思われる。
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