人民網日本語版 2017年11月22日(水) 7時10分
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環太平洋パートナーシップ協定(TPP)は米国が離脱を宣言した後、一度は窮状に陥ったが、最終的に転機を見いだした。
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)は米国が離脱を宣言した後、一度は窮状に陥ったが、最終的に転機を見いだした。日本の茂木敏充経済再生担当相とベトナム商工省のチャン・トゥアン・アイン大臣はこのほどベトナム・ダナンで行われたアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の会期中に、米国を除く11カ国で引き続きTPPを推進することで一致し、11カ国は新たな自由貿易協定に調印するとともに、新協定の名称は「全面的かつ先進的なTPP」(CPTPP)、略して「TPP11」になると発表した。国際商報が伝えた。
▽変身後のTPP、変身前との違いは?
このように「変身」したCPTPPだが、変身前とどこが違うのだろうか。最大の違いはなんと言っても、「世界のボス」の米国が不在であることだ。TPPはもともと12のエコノミーをカバーする自由貿易協定で、参加国の国内総生産(GDP)の合計は世界の40%を占め、貨物貿易額の合計も世界の25%を占めた。米国の経済規模が巨大であるため、米国が抜けた後の11カ国の経済規模は名目GDPで世界の13%、貿易額で世界の15%に減少した。
数字の変化は単なる表面的なことに過ぎない、米国が去った後のCPTPPには、TPPに比べて多くの実質的な変化がみられる。
まず、標準のレベルが下がった。TPPが標榜したのは高い標準の自由貿易協定を打ち出すことで、関連の標準の設定では、現行の多国間自由貿易協定に比べて、確かに多くの面でよりレベルの高い標準は打ち出された。これはTPPのこれまで何度にもわたる交渉で、一部の参加国が一貫して譲歩しなかった原因でもある。だが米国市場の巨大な潜在力があったため、一部の国は米国市場に進出することの便宜と引き替えに、最終交渉では譲歩し、こうしてTPPは妥結にたどり着くことができた。だが今や米国は離脱し、譲歩しても米国市場に進出することは不可能になったため、11カ国はそれぞれにソロバンをはじいて計算するようになった。最近のメディアの報道をみると、CPTPPはTPPの中身の95%を残してはいるが、20項目については一時停止するとしており、このうち知的財産権に関するものが11項目、労働基準や文化の保護に関するものが4項目あり、今後の話し合いが待たれる。
次に、発効条件が変化した。これまでTPP発効の条件は協定を批准した国のGDPが全調印国のGDP合計の85%以上でなければならないというものだった。もともとの12カ国のGDP合計のうち、米国が60%を占めており、米国の離脱は合意が実質的に廃案になったことを意味していた。そこでCPTPPの発効条件は緩和され、6カ国が批准すれば発効することに改められた。
最後に、内容に変化があった。これまでTPPがカバーする内容は、投資、サービス、EC、政府調達、知財権、国有企業、労働、環境など30を数えた。このたびの合意内容には変化がみられる。茂木大臣は、「新たな枠組みの中でのCPTPPは市場や取引だけに限らず、投資などの内容も含んだものになり、全面的なバランスと完全性をより重視するものとなった。これと同時にすべての参加国の商業上の利益とその他の利益を確保しつつ、各国固有の管理権を保留しており、これには締約国が柔軟に立法と監督管理の重点を定めることが含まれる」と述べた。
TPPの変身は日本の強力な後押しの下で行われた。これはつまり、米国離脱後、日本は「大きな旗」を掲げて、新たな合意の早期締結を推進したということで、日本の目的は当然、自国経済を牽引することにある。
典型的な外向型エコノミーである日本にとって、経済に対する貿易の牽引の役割は言うまでもない。自由貿易合意を通じてより多くの市場を開拓し、関税コストを引き下げることは、経済復興の基礎がまだ十分に定まらない日本にとって、喫緊の任務だといえる。より重要なことは、以前のTPPにしろ、現在のCPTPPにしろ、日本は中国を「迂回する」のに成功し、ひいては中国商品が日本の建設を目指す「自由貿易経済圏」に流入するのを制限したことだ。
だがこうした日本の目的が実現するかどうかには、大きな疑問符がつく。こちらで日本が力を尽くして他の10カ国を説得して協定を継続推進しようとすると、あちらでは賛同しない国が出てくる。カナダがその典型だ。カナダの国際貿易相がさきに公開の場で、「カナダはTPPの全面的な再交渉は主張しない」と述べ、トルドー大統領は11月10日に行われたTPP首脳会合に参加しなかった。このことはCPTPPの最終合意や発効にとって潜在的な危険を植え付けたものといえる。
これと同時に、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)も現在進展中で、この協定の参加国はCPTPPとかなり重なっている。中国はRCEPの参加国であり、交渉の早期妥結をかねてより願ってきた。中国外交部国際経済司の張軍司長はTPPの新名称についてのコメントの中で、「中国はTPPの成果にそれほど注目していないし、RCEP交渉がTPPの影響を受けるとも考えていない。RCEPが成立すれば、参加国間の貿易取引がますます緊密になり、CPTPPによって中国を牽制しようとする日本のもくろみはご破算になる」と述べた。
さらに注視すべき点は、同じく今回のAPEC首脳会議の会期中に、各国がアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)プロセスに積極的なシグナルを発したことだ。APECの「ダナン宣言」ではFTAAPの推進と早期実現に力を入れることが明確に提起された。FTAAPが実現すれば、日本の計画は完全に達成不可能になる。(提供/人民網日本語版・編集/KS)
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