<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼・五輪運営スタッフも本番モード…「ノーというな」「政治宣伝には厳しく」

Record China    2008年7月23日(水) 14時5分

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北京五輪まで、いよいよカウントダウンが始まる。市内の地下鉄3線も開通。20日からは、五輪に向けた各規制が始まり、北京市内はオリンピックモードに突入した。写真は北京市内で活躍するボランティア。

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北京五輪まで、いよいよカウントダウンが始まる。今日は市内の地下鉄3線も開通。明日20日からは、五輪に向けた各規制が始まり、北京市内はオリンピックモードに突入する。

こんな中、北京五輪の運営側も最終段階を迎えている。この週末、北京五輪の各競技を運営するスタッフの最終研修会が北京各地で行われた。

北京五輪では各会場で組織委員会のスタッフ、ボランティアなど10万人以上が競技運営に携わる。会場での選手誘導、VIP接遇、観客対応、メディア対応、治安維持など様々な分野で多くの人員が集められており、北京五輪の成否は彼らにかかっているといえる。

そのうち、メディア対応のスタッフ研修が、18日から北京市内の大学で行われた。

本番前、最後の研修ということもあり、かなり具体的な事項も含めて、研修が行われた。参加したのは、組織委員会スタッフや大学生ボランティアなど70人。初日は、各持ち場の仕事の確認や注意点などがあった。非常に面白かったのは、各国の報道陣の特徴について、説明がなされ、日本の記者たちは「英語はほとんどしゃべれない。礼儀正しく、仕事熱心。必ず集団で行動し、記者席でもひとかたまりに座っている」となかなか的を射た分析がされていた。

また、基本的な英単語の確認や競技自体の細かいルール説明など、研修の内容も非常に幅広い。トラブルが生じたときの対処法なども、場合分けして、非常に細かくマニュアル化している。

印象的なのは、運営スタッフの原則が繰り返し強調されること。それは「相手(メディアや観客、選手等)のため、必ず“行動すること”。」「Noを言わないこと」の2点だ。五輪テスト大会のときにも感じたが、もちろん個人差があるものの、競技場内でのスタッフサービスは非常に行き届いていたし、仮に無理な要求をしても、今までの中国人のように「できない」の一言で終わらされることなく、きちんと向き合ってくれるスタッフが多かった。このあたりは、研修でしっかり叩き込まれているというわけだ。

最も時間を割いて確認していたのは、やはり「緊急事態」への対応。特に、観客や選手が「政治的メッセージ」を叫んだり、横断幕を掲げる等の「宣伝行為」をしたときの対応、爆発や火災などが起きたときの対処など、数十あまりの場面を想定して、細かく、その対処方法が定められる。大イベントの開催においては当然のマニュアル化だが、特に「チベット、台湾、ウイグル」、そして「宗教」に関して、事細かくシミュレーションがなされているのは、昨今の中国を取り巻く状況がそうさせているのだろう。

このあたりの説明になると、参加者の表情も真剣になってくる。みんな忙しくペンを走らせ、メモを取っている。迫りくる大イベントを前に、緊張感が漂う研修だった。

今後、最も早いスタッフは7月25日に競技場入り。その他のスタッフも開幕前の5日前後には全員配置につく。彼ら運営スタッフの「熱い夏」がいよいよ始まりだ。

<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>

■筆者プロフィール:朝倉浩之

奈良県出身。同志社大学卒業後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中国国際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。

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