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インターネット通信販売が徐々にブームを巻き起こした様子は、現代の中国消費者の買い物習慣を映し出すものだ。ブラジルでは中国に比べてネット通販環境がだいぶ遅れており、消費者は実店舗での買い物によりなじんでいる。
インターネット通信販売が徐々にブームを巻き起こした様子は、現代の中国消費者の買い物習慣を映し出すものだ。ブラジルでは中国に比べてネット通販環境がだいぶ遅れており、消費者は実店舗での買い物によりなじんでいる。だがここ数年の決済環境や物流環境の改善にともない、ブラジルの消費者は徐々にネット通販の魅力を知るようになり、ネットでの買い物を好む人がますます増えている。こうした動きの中、海外のネット通販サイトもブラジルの消費者に大いに歓迎されるようになり、中国ECも幅広く人気を集めている。「経済参考報」が伝えた。
これまでは祝日や休日になると、ブラジルの大型ショッピング店舗は人であふれかえり大賑わいになるのが常だった。だが今では一連の店舗は来店者数こそ多いものの、取引量が目立って減少した。プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が行った調査では、電子製品、衣類、書籍などを購入する際、ブラジルの消費者の半分以上がネット通販を選ぶことがわかった。
実際、消費プラットフォームの転換は個別の商品に起きているだけではない。2017年上半期、ブラジルのネット売上高は前年同期比7.5%増加した。自動車ディーラーを除くブラジル10大小売産業のうち、5つでネット売上高が総売上高の半分以上を占めた。ブラジル販売研究所のカルロス・クルス総監は、「オフラインの実店舗での消費がネット消費へ転換するのが目下のブラジル消費者の消費スタイル転換の流れだ」との見方を示す。
消費者がネット通販の習慣に目覚めたことで、ブラジル現地のECサイトの人気に火がついただけでなく、海外通販プラットフォームの多くもロイヤリティの高い膨大な顧客を獲得した。世界各地のネット通販族にとって、ネット通販最大の魅力は次の2点に他ならない。1つは買い物における地域的な制約を取り払ったこと、もう1つは価格が安く節約できることだ。ブラジルの様子をみると、ブラジルは物価が高く、現地の商品は種類も相対的に少ないため、ブラジル現地のECサイトより越境ECに価格面でも品揃えの面でも軍配が上がりやすい。ブラジルの与信サービス機関が行った調査によれば、ネット利用者の22%が海外のサイトで買い物する習慣があるといい、このうち約8割が、「海外通販を選ぶ主な理由は価格にある」と答え、半数以上が、「海外通販ではブラジル市場に入ってこない商品が買えるから」と言い、半数近くが、「海外通販では価格交渉ができ、効果的に節約できる」と述べた。
注視されるのは、多くの海外通販サイトの中で、中国ECプラットフォームの発展の勢いが急激なことだ。ブラジルの世論・統計研究所がまとめた調査データを見ると、2016年に阿里巴巴(アリババ)の全球速売通の受注量は2位だったブラジル老舗ECのB2Wグループを大幅に上回り、速売通はブラジルで一番のネット通販プラットフォームになった。記者の周囲にも中国ECの忠実なファンが大勢おり、今年の「ダブル11」(11月11日のネット通販イベント)までまた1カ月ほどあるが、すでに虎視眈々と待ち構えている。中国資本企業で働くオマルさんは、「いつもはアリババの全球速売通、淘宝(タオバオ)の海外版などのプラットフォームで中国製品を買う。待つ時間がちょっと長いけれど、価格、品質、品揃えとどれもすばらしい」と話す。
オマルさんの背後で、膨大な数のブラジル海外通販愛好者が集結しつつある。百度がこのほど発表した「ブラジルO2O産業白書」によると、2024年にはブラジルの総人口は2億2500万人に達し、うち若年層と中産階級の割合がさらに増加する。潜在的消費クラスターの増加とますます普及するインターネットが出会えば、目を見張る取引額が生まれる。こうしたわけでブラジルEC市場が各方面から高く評価されるのだという。
9月に閉幕した2017年の新興5カ国(BRICS)ビジネスフォーラムでは、5カ国の閣僚がBRICS間のECをめぐる協力イニシアティブで一致し、EC作業チームの発足、政府主管部門とEC業界との対話強化、EC共同研究の展開などを進めるとした。こうした措置が中国やBRICS各国の越境ECを後押しして発展の黄金期を迎えるようになることは確実だ。ブラジルという中南米最大のEC市場は、潜在的な市場は巨大だが、現地の専門家は、「参入を考える企業は十分に慎重でなければならない。時間をかけてブラジル消費者のネット通販の習慣と決済システムを理解しなければ、消費者の期待を満足させることはできず、収益が保証されることもない」と注意を促す。(編集KS)