<コラム>中国の街の修理屋でiPhoneの電池交換、耳に残る店員の「一言」

小坂 剛    2018年2月6日(火) 19時10分

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最近、私の所有するiPhoneの調子が悪かった。というよりも、電池の消耗が激しかった。日本に一時帰国した際に交換しようと思っていたが、休暇を有意義に使うため、上海の街の修理屋に持って行った。写真はiPhone。

最近、私の所有するiPhoneの調子が悪かった。というよりも、電池の消耗が激しかった。6sを使用してはや2年になるのだが、私が住む上海では、スマートフォンがないと不便さが倍増する。現金などは持たず、買い物や食事の際はウィーチャットペイやアリペイを用いるし、シェアバイクの使用もスマートフォン頼り(一部店舗では現金の支払いが嫌われる)。外国人未対応とはいえ、地下鉄もスマートフォンで乗ることができる(2018年1月30日現在)。将来的には身分証明もスマートフォンでできるようになるというではないか。この状態で2時間で充電がなくなるというのは非常に辛いのである。

たまたま7年来の友人と食事をした際、そのような話題になった。日本ではアップルストアで安く電池交換できるという話は知っていたが、品切れが多く、順番待ちであるという。そのため、その友人は上海に来た機会に近所の修理店で電池交換を依頼したとのこと。春節の休暇の際に一時帰国し、電池交換をしようと思っていたのだが、貴重な日本滞在時間に交換を待つのは何ともと思い、私もそれに乗じて、修理店に携帯電話を持っていったわけである。

もちろん、このようなお店を初めて利用したわけではない。上海に滞在して7年、パソコンが壊れれば、電気街に持っていって修理をしてもらったし、このiPhoneもスクリーンのガラスが買って早々破損したので、交換を依頼したこともある。何よりも、そもそもこの電話を買ったのはそのようなお店であった。したがって免疫はついている。この拙文を読まれている方が、このような街の修理屋さんや、電気街で修理を依頼する際はあくまでも自己責任でお願いしたい。

中国の街角には、多くの修理屋があり、リンゴのマークを看板につけたお店を目にすることもあるだろう。今回利用したのもそのスタイルのお店。中に入り、店員に電池交換を依頼する。すると店員が言う。「正規版がいいですか。それとも国産がいいですか。正規版は300元(1元約17円)。国産は150元」。電池はいずれにせよ、中国製だろうという思いが頭をよぎったのだが、「何が違うのですか」と聞くと、店員は不敵な笑顔を浮かべて何も答えない。「ということは、あまり変わらないということですね。リンゴのマークがあるか、ないかでしょう。それなら国産で」というと、早速目の前でiPhoneの解体に取り掛かる。

特に静電気を防ぐ作業などもなく、てきぱきと解体が行われるのだが、「リンゴのマークはあるよ。違うんだよ、作ってる工場が。でも、正規品も中国製だけどね」。まさに図星である。店員の言うようにまさにそれだけならば、ある意味OEMである。再度私も「それなら、同じだね」と。ちなみに、形状は、正規の電池と何ら変わらない。リンゴのマークももちろんついていた。

作業時間はおよそ10分ほどだろうか。再起動させ、動作確認をする。持っていたポータブル充電池で充電をすると、もちろん問題なく充電は行われる。半日経った今、電池の減りはおそらく買ったばかりくらいの感じに戻っていると思う。スクリーンプロテクトのシールも貼ってもらって165元で終了した。

中国にはご存知のとおり、コピー商品が多い。ブランドのカバンをはじめ、衣類、電子商品、ありとあらゆるものを作る。工場の横流し品も多い。加えて、かつて「世界の工場」であった中国には、世界各地からの生産注文があり、そこで学ばれた技術を利用・応用して製品を生産していることも多い。たとえば、私は中国製のイヤホンを長年愛用しているのだが、形状・音質ともに、ドイツの某ブランドの商品の技術を使っているのではないかと思ったりすることもしばしばある。

しかし、もちろん疑問はひとつ残る。正規品と言っていた300元の電池のことだ。それは果たして、本当に正規品だったのだろうか。店員の言葉が耳に残る。「使ってみればわかるよ」。

■筆者プロフィール:小坂剛

1978年生まれ。東京大学大学院博士課程満期修了。専門は中国民間信仰と社会変動。子どものころから中国の歴史に興味を持ち、大学院まで専攻は中国地域文化研究。大学院修了後は高校社会科教師として勤務。上海に新設校が開校された際、上海に移り、現在はインターナショナルスクールにて様々な国の子どもたちに接し海外の教育を学びながら、文化交流活動などをプロデュースしている。趣味は陳氏太極拳。

■筆者プロフィール:小坂 剛

1978年生まれ。東京大学大学院博士課程満期修了。専門は中国民間信仰と社会変動。子どものころから中国の歴史に興味を持ち、大学院まで専攻は中国地域文化研究。大学院修了後は高校社会科教師として勤務。上海に新設校が開校された際、上海に移り、現在はインターナショナルスクールにて様々な国の子どもたちに接し海外の教育を学びながら、文化交流活動などをプロデュースしている。趣味は陳氏太極拳。

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