工藤 和直 2017年8月24日(木) 0時10分
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1979年12月31日から38回も継続している日中友好行事を紹介したい。写真は筆者提供。
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1979年12月31日から38回も継続している日中友好行事を紹介したい。第38回「寒山寺新年听鐘声活動」が、2016年12月31日蘇州「寒山寺」で開催された。除夜の鐘を聴く風習は昔からあったが、1人の日本人の提案から再開されたこの会は、当時電気すらなかったここ寒山寺で始まった(写真1)。その日本人とは藤尾昭(故人)池田市中日友好会名誉会長・蘇州市名誉市民である。残念ながら35回目を聴くことなく2013年11月に86歳で逝去されたが、その強い意思は蘇州市政府を動かし、今後も永遠に続く日中友好の架け橋となっている。
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大阪府池田市と石川県金沢市は呉服(絹織物)の関係で蘇州市と友好姉妹都市である。その中で38年の長きに渡り途切れることなく続いた「寒山寺の除夜の鐘を聴く会」は、尖閣問題から何かとギクシャクする日中間政治問題を払拭する毎年の大イベントである。蘇州市政府主催イベントであるが、これが38年前の一日本人の提案で始まったという事を本当に誇らしく思う。
2016年12月31日も例年と同じく、蘇州市委書紀・人民政府市長・副市長ほか市政府幹部の方々(写真2)、池田市からは倉田薫市長(池田市中日友好協会会長)、故藤尾昭氏の奥様・ご子息、在上海領事館の皆様と蘇州日系企業代表などが集い、故人の遺業を回顧しながらこの1年を振り返り、来年以降もさらなる日中友好が進展することを期待して、108回の除夜の鐘を本堂前に居る数千人の観衆(もちろん日本人ほか多くの海外の方々も含む)と一緒になってカウントダウンした(写真3)。そして最後の108回目には大きな歓声とともに新年が始まった。今年で38回目であるが、過去一度も風雨や大雪もなく開催されたと聞くに及び、神がかり(ここはお寺なので、仏がかり)と思うばかりである。境内に入れない観衆は数万人と報道された。
寒山寺、それは日本人が一番知る中国の名刹である。蘇州城(旧市街)の西にあたるショウ門(ショウ=門構えに昌)から運河沿いに2キロほど、京杭大運河に遭遇する楓橋鎮にある。建立は南朝梁年代(西暦502〜519年)で、唐代高僧の寒山と拾得が天台山国清寺から来て、この寺の住職なったことから「寒山寺」と称された。1500年の間に5回、火事や戦火によって消失したが、現在の建物は清朝末に再建されたものである。寺には唐代詩人「張継」が船旅の途中、楓橋で詠ったといわれる「楓橋夜泊」の石碑(詩碑)がある。
月落烏啼霜満天(月落ち烏啼きて霜天に満つ)
江楓漁火対愁眠(江楓漁火愁眠に対す)
姑蘇城外寒山寺(姑蘇城外の寒山寺)
夜半鐘聲到客船(夜半の鐘声客船に到る)
除夜の鐘は108回、連続して繰り返し叩かれる。それは煩悩の数とかいわれる。年が替わる0時の15分ほど前から1打目が始まり、最後の108回目は新年に叩かれる。108の数字のいわれとしては、1年は12カ月、24節気そして72候を合わせて108となるとか、四苦八苦の数字は合計で4×9+8×9=108となるからだとか諸説がいわれている。
寒山寺の山門前にアーチ式の石橋がある。唐代に建立され清康煕45年(西暦1706年)に重建された「江村橋」である。花崗岩からなる長さ40メートルのアーチ式石橋であり、省級文化財でもある。この橋を渡り数多くの方々が寒山寺を訪れ、この橋の上で除夜の鐘を聴いたと思われる。故藤尾昭名誉会長は、ここ寒山寺境内にて静かに眠っている。「今夜の鐘声はどうでしたか?今年もこれからも、日中友好は続きますよ!」。2016年大晦日も、同じく「寒山寺新年听鐘声活動」が市政府主催で盛大に執り行われ、成功裏に終わった。
■筆者プロフィール:工藤和直
1953年、宮崎市生まれ。韓国で電子技術を教えていたことが認められ、2001年2月、韓国電子産業振興会より電子産業大賞受賞。2004年1月より中国江蘇省蘇州市で蘇州住電装有限公司董事総経理として新会社を立上げ、2008年からは住友電装株式会社執行役員兼務。蘇州日商倶楽部(商工会)会長として、日中友好にも貢献してきた。
■筆者プロフィール:工藤 和直
1953年、宮崎市生まれ。1977年九州大学大学院工学研究科修了。韓国で電子技術を教えていたことが認められ、2001年2月、韓国電子産業振興会より電子産業大賞受賞。2004年1月より中国江蘇省蘇州市で蘇州住電装有限公司董事総経理として新会社を立上げ、2008年からは住友電装株式会社執行役員兼務。2013年には蘇州日商倶楽部(商工会)会長として、蘇州市ある日系2500社、約1万人の邦人と共に、日中友好にも貢献してきた。2015年からは最高顧問として中国関係会社を指導する傍ら、現在も中国関係会社で駐在13年半の経験を生かして活躍中。中国や日本で「チャイナリスク下でのビジネスの進め方」など多方面で講演会を行い、「蘇州たより」「蘇州たより2」などの著作がある。
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