日本僑報社 2017年8月13日(日) 12時50分
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西安財経学院の楊茹願さんは、日本のテレビ番組で見た宗谷岬に魅力を感じているようだ。資料写真。
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先日来、北海道で中国人旅行者の女性が行方不明になる事件が大きな注目を集めているが、風光明媚な北海道は中国人観光客にとても人気のある観光地だ。西安財経学院の楊茹願さんは、日本のテレビ番組で見た宗谷岬に魅力を感じたようで、作文に次のようにつづっている。
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「もったいない」。私はいつもそう思います。なぜなら、親戚や友達に「日本に行く機会があれば、何がしたいですか?」と質問すると、帰ってくる答えは「買い物」だからです。
「せっかく日本に行けるのに、ただ買い物のためだけに行くなんて!私には行きたいところやしたいことがたくさんあるのに!」。私は心の中で叫びます。「じゃあ、あなたはどこに行きたいの?何がしたいの?」。友達や親戚からは当然この質問が出ます。そしていつも私が話すのは「宗谷岬の大晦日」の話です。
北海道には札幌や富良野など有名な場所がたくさんありますが、私はあえて北海道の最北端、宗谷岬に行きたいのです。私がなぜそんな変なことを考えたのかというと、私の大好きなNHKの「ドキュメント72時間」という番組の影響があったからです。この番組の中で大晦日からお正月にかけて、宗谷岬の取材をしていたのです。
オホーツク海から吹く強烈な風、それにもまして凍てつく寒さ。宗谷岬の冬は過酷です。冬に観光に来る人などほとんどいません。それにも関わらず、何かに駆られるように人が大晦日の夜に続々と集まるのです。とても不思議な光景でした。途中下車し、30キロも歩いた人、故郷から普通列車を乗り継ぎ、6日間かけてたどりついた人。みな、年を越し、日の出を迎えようとしているのです。
その岬にはどんな魅力があるのだろう。私はどんどん番組に引き込まれました。集まってきた人の中には、恋人にふられた男の人もいれば、仕事がうまくいかなかった新入社員もいました。そして、これから社会に出る高校生の姿もありました。彼らは皆、特に理由があるわけではなく、吸い寄せられるように宗谷岬を訪れているのです。
実際日本に行ったことがない私はこの番組を見ただけで、行きたいという気持ちが沸き上がってきました。うまく言葉では言えないけれど、そう、うまく言葉では言えない魅力を宗谷岬に感じたのです。おそらく、ここに集まった人たちもそうなのでしょう。
「ドキュメント72時間」の中で、もう一つ印象深い場面があります。ある一人の男性が「カニ鍋」を作って、宗谷岬のバス停にやってきました。彼は地元の教師で、毎年大晦日に「カニ鍋」を宗谷岬で振る舞っているそうなのです。すると、近くにいた人たちが皆、バス停に集まり、鍋を囲んで和気あいあいとし始めました。
それを見た私は驚きました。日本人といえば人見知りで、表面的なコミュニケーションしか取らない、そんなイメージがありました。打ち解けるのは難しい人たちだと思っていました。しかし、画面の中にいる人たちは初対面にも関わらず、みんな心から打ち解けているように見えました。立場も世代も違う人々が寄り集まって楽しそうに話しているのです。私は不思議でなりませんでした。でも、ここは特別な場所、きっとこれも宗谷岬の力なのかなと私は感じました。
私は一つ提言をします。せっかく遠い中国から行くのだから、中国人は特別な「日本」を感じるべきです。買い物や定番どころの観光だけでは感じることができないものが宗谷岬にはあるように思いました。私は日本に行けないので映像で見ることしかできないけれど、自分の目で、肌で特別な「日本」を感じることができたらどんなに幸せだろう。
旅は人を開放的にします。そこには立場、世代、国籍といったことに縛られることのない、飾らないお付き合いができると私は思うのです。いつか必ず、私も宗谷岬に行ってみたいのです。この作文を読んで、宗谷岬に魅力を感じてくれた人、一緒に行きませんか?(編集/北田)
※本文は、第十二回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「訪日中国人『爆買い』以外にできること」(段躍中編、日本僑報社、2016年)より、楊茹願さん(西安財経学院)の作品「宗谷岬の大晦日」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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